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夢見た転生のその先は。  作者: 空静
第2章 まどろみの学園生活
21/22

7.初日のSクラス 1



入学式、歓迎舞踏会が終わった私たちに待つのは学園での新しい日常。つまり授業である。…が入学したて、初顔合わせの本日は自己紹介とか学園の説明とかをやるそうだ。


いやまあ…顔合わせの機会は正確にはあったんだけど…歓迎舞踏会途中でバックれたから…。


最後までいた部屋のみんなによると、クラスメイトは色々な国の貴族ばっかりだったそうだ。…うん、だろうね。教育には金がかかるから。





学園のクラスは男女それぞれの上位2班で構成されるSクラスと、ランダムに男女それぞれ4番ずつで構成されるA・Bクラスの計3クラスだ。基本クラス替えはないものの、Sクラスの条件は上位(・・)2班。だから入れ替えが発生するため現状安泰だとしても全く気を抜けない。それに見合った名誉と箔は当然ついて回るのでSクラスの人は必死にその座をキープするしA、Bクラスはその座を越し淡々と狙う。




学校生活なんて前世ぶりだ。だから少しワクワクしながら教室に入ると、どうやら一番乗りだったらしく教室はがらんとしていた。

いや、その印象を受けたのは誰もいないからだけではない。


「20人しかいないわりには教室大きいですわね。…なにを想定なさってこのサイズなのかしら」

「確かに50人のクラスですって言われても納得のサイズだよね」

「こんな広い部屋はじめてはいりました…」

「そんならはよ慣れなきゃあかんな」


さすが学園、サイズ感がおかしい。


なんて教室のサイズに驚いていると次々と生徒が入ってきた。始業半刻前。ちょうどいい時間だしね。




初めにやってきたのは女子。私たちがここにいる以上、恐らく女子2班の子たちだろう。


楽しそうに談笑している中に見覚えのある顔を見つけると、あまりの気まずさに私は目を逸らした。


「ココオン様…」


あちらも気付いたようで小さく私の名前をつぶやくのが聞こえた。

この体は五感も発達しているから聞かせるつもりのない呟きも聞こえてしまう。


「お会いしたく、なかったのに…」


だろうな、と思う。

だって、彼女の兄を殺したのは私だから。





あの時、お父様が亡くなったあの時。私はたった1人だけ斬り殺した。

大丈夫、鍛えているからとなんの覚悟もなく人を殺した。

その人物が彼女、ラズ・フォン・アコルデ=ファーストの兄。我がアコルデ家の一つ目の分家、代々城を守る第一騎士団の長を務めるアコルデ=ファースト家の嫡子だった。

あの戦いでアコルデ=ファースト家は当主と嫡子が死亡。スライドで第二子のラズが爵位を継承し、その際に挨拶に訪れた彼女と顔を合わせたがただ報告のみですぐに帰っていった。だからあの時のことはまだ話せていない。


「………」

「どうしましたか?ココオンさん。なにかありましたか」

「いや…。女子2班に親戚がいてね」

「ああ!あの方ですね。ココオンさんにそっくりだったので昨日は間違えてしまって」

「…私と間違えてラズは怒らなかったの?」

「いえ?全然。『わたくしはアコルデ家にお仕えする者です』と言っていたのでどういうことかな?と思っていたんですが」

「そっか…」


ここでのポイントはラズは『アコルデ家に仕える』と言ったことだ。あくまでココオン()ではなくアコルデ家()に仕える。


「まあ当然かなぁ」


と嘆息した。

…話し合う機会は早めに設けないと。


そのあと、沈む私に遠慮したのか特に誰かが話しかけてくれるわけでもなく半刻は経過し、始業の鐘の音とともに担任が入ってきた。




その先生はチョコレート色の髪を持っていた。

身長は190cmほどでかなり背が高く、相当なイケメンで人気であることは容易に想像できた。


「…どこかで見たことがあるような…ないような…」


なんとなくその顔をどこかで見たことがあるような気がするが思い出せない。

…チョコレート色の髪だから貴族でもドワーフでもないし、耳も尖ってないからエルフでもない。


「ココオン…人の顔と名前一致させるの苦手だもんね」

「え…サラはわかるの?」

「そりゃあまあ。わたしもココオンと一緒に会ったことあるもん」


え…?と必死に脳を回転させて思い出そうとすると、それより先に先生が話し始めた。


「はじめまして、僕はユーリカ・フォン・ワーファ。Sクラスの担任です。出身はシステル王国、よろしくお願いします」


その言葉に教室内がざわついた。

システル王国では知らぬものはいない。世界中でも有名なその家名。

そして、あまりにも特徴を継いでいないその容姿を見て。


「ワーファ公爵家?!」

「まあそうですがここでは一教師です。普通にワーファ先生と呼んでいただけると嬉しいですね」

「しかしワーファ公爵はドワーフ族、先生は…その…」


ある生徒がそう先生に言う。


「背があまりに高く、茶色い髪ってことかな?まあ確かに私はドワーフの特徴を継いではいないけれど、間違いなくワーファ公爵家の人間です」


はっきり言い切る先生に出自への自信と誇りを感じた。

それで、たとえ見た目がそうは見えずともこの人はワーファ公爵家の人間なんだと納得させるようなオーラがあった。


…なんでこんな人を忘れていたんだろう。

私は内心首を傾げた。




お読みいただきありがとうございました!

モチベに繋がりますので、下の評価欄より星1〜5の評価をいただけると嬉しいです。


アコルデ家の分家は5つ、分家の当主は第一から第六まであるうちの一〜五の騎士団の団長を任されます。なおファースト=アコルデなら第一騎士団、セカンド=アコルデなら第二騎士団と名字と対応しています。第六騎士団は裏方専門なので別。

なので現在、総隊長のココオンと第一騎士団の団長が学園に通い出払っているので有事の時の初動は少し遅いです。



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