表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/46

第8話 気持ちよかったんだな、クリストファ

魔法力無効(キャンセレーション)?」


 クリストファが言った。俺の思考を読んだのだろう。

 驚いたような顔で俺を見る。


「君は魔法力無効(キャンセレーション)固有技能(スキル)を持っているだと?」

「ええ、そう言ってましたね、リジーが」


 クリストファは黙り込んでしまった。

 じーっと俺を見ている。


「……どういうことだ」


 いや、それはこっちのセリフなんだけどね。


「ということは、特異点も存在するのか?」

「俺の家と俺がそうらしいとドラゴンが言ってましたよ」

「うーむ」


 またまた考え込むクリストファ。


「だとしたら、つじつまが合うな。今リジーが見えないのは、君の家にいるからか。あと、君の思考が読みにくいのも、君が魔法力無効(キャンセレーション)だったり特異点だったりするからか」


 クリストファが巨大な顔を俺の顔に寄せてきた。近くで見ると怖いな。


魔法力無効(キャンセレーション)の本当の恐ろしさについては……聞いてないようだな」

「恐ろしさ?……」

「そう、恐ろしさ。……ま、いいか」

「え? ちょっと教えてくださいよ」

「……そのうちな。問題は、いつ、誰が、何のために、君にそんな固有技能(スキル)を与えたかだ」


 クリストファが深刻な顔で悩みだした。

 俺だっていつから、どうやって、そんな特殊な能力に見つけたか知りたいよ。

 と、その時。


「お兄ちゃーん!」

「マメ君どこー?」

 リジーと花子、ドラゴンにアスカがやって来た。花子が2人+1匹を俺の家から連れてきたのだろうか。


 花子が体育館があった場所を指さした。

「ね、体育館なくなってるでしょ!? マメ君がまだそのへんに……あ、マメ君、いた! よかった!」

「ホントだ! 体育館なくなってる! 運動部の人どうなったの!」


「おお、そうだった」

 クリストファが呪文を唱える。轟音とともに体育館が戻ってきた。

「少々怪我人が出たが、治癒魔法かけといたからな」

 ……さすが次期魔王。気配り上手だ。


 リジーがクリストファに気がついた。


「ど、どうしてここに親愛なるクリストファお兄様が……! アスカ、ドラちゃん、逃げるよ!」

 リジーが逃げようと踵を返す。


「待ちなさい、リジー!」

「やだ!」

「やだじゃない! 待ちなさい! 待たないなら……」

「アリス、親愛なるクリストファお兄様を催淫して! 足止めしなくちゃ!」

 リジーが言った途端、クリストファの動きが止まった。


「ん……おい、リジー……だ……だめ……だ」

 クリストファの呼吸が荒い。


「……偉大なるクリストファ様を催淫できる日が来るだなんて、もう、なんて恐れ多いのかしら」

 異様なほどアリスの目が光っている。催淫を開始したようだ。


「でも、リジー様のご命令ですから! もう、思いっきり、催淫いたしますわ! 偉大なるクリストファ様ぁぁん! 私をむちゃくちゃにしてぇ!」


 アリスが顔を赤らめる。


「まて、待つんだ!」とクリストファ。


「嫌です! 待ちません! 待ちたくありませんの! 偉大なるクリストファ様……アスカの奥の方まで、ご堪能ください……あ、すぐはだめ……ちゃんと味わってください……最高の快楽を約束しますわ……あん、もう、えっちなんだからぁ……」

 アスカが体をくねくねよじらせつつ、淫靡に指を動かす。それに反応してクリストファの体がビクッと痙攣する。「偉大なるクリストファ様」が台無しだ。


「なあ、リジー。なんでクリストファは魔法で逃げたりしないんだ?」

「あのね、呪文唱えるときは精神集中しないといけないんだけど、催淫されると頭の中がエロいことで一杯になるから、集中できないんだよ……」


 なるほど。


 アスカの催淫はかなり強力なようだ。クリストファは必死で催淫に抵抗しようとしているようだが、全く無駄なようだ。


「ぐはう! や、やめろ! むむむ、こ、これは……いや、公衆の面前でそのような……んんん! おい、リジー、父上からの伝言があるんだ! 話を聞いてくれ! 悪い話じゃ……ああああ、そ、そんなところをそんなふうに? なんて独創的な! いや喜んではいかん……。頼む、リジー、サキュバスに催淫をやめるように言ってくれ!」


 2メートルの巨体で悶絶しながら、クリストファが懇願する。

「父上からの伝言?」

 リジーが身を乗り出す。

「そう……だ……。ドラゴンレースについても……んっ! あう! だから、催淫をやめさせてくれ!」


 クリストファは剣も盾も放り出し、地面に這いつくばって腰を動かしだした。

 うーむ。これは情けない。


「アスカ、催淫やめて。話聞いてみる」

 アスカは非常に残念そうな顔をしている。

「えー……」

「えー、じゃないの」

「……わかりました」


 アスカの目から光が消えた。

 クリストファの動きが止まり、やがてゆっくりと立ち上がった。じっとアスカを見る。


「さすが魔王家に仕える淫の血統(サキュバス)。私は並の催淫であれば精神力ではね返すのだが……これには降参だ。お前、名を何という?」

「アスカ・セクサロスでございます」

「おお、セクサロス家の……。そうか。魔王国に帰ったら……その……私の修練の相手を頼む」


 クリストファがやや赤い顔で言った。


「次期魔王として、いかなる催淫にも対抗できないとな。こればかりは魔法でどうにもならない。鍛錬しか無い。ということで……とりあえず、毎晩私を催淫してくれ。いつの日か、それに対抗して呪文が唱えることができるようになるまでだ」

「え?」

「聞こえなかったのか? 私の相手をしてほしいと言ったんだ。……催淫に耐える鍛錬の」

「い、いいんでしょうか、私なんかで」

「ああ。お前がいい」

「……は、はい! 喜んで、鍛錬のお相手をいたします!」

 アリスは満面の笑みだ。


「……身体的接触による催淫の方が強力なんだよな?」

「も、もちろんでございますっ!」

「……それも頼む……ついでに、淫夢に対する修練もいいか?」

「よ、喜んで!」


 アリスは今にも飛び上がりそうだ。


「すごーいアリス! 親愛なるクリストファお兄様のトレーナーになるなんて! これは名誉だね!」

 リジーも嬉しそうである。


 ……偉そうなこと言ってるが、催淫気持ちよかったんだな、クリストファ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ