第1話 こんな妹知らない 1
夢とわかれば話が早い。
脱がせてヤるまでだ。
だが、非常に残念なことに、目の前の金髪ツインテールでロリ貧乳は俺の好みではない。
チェンジだ。
「あのー神様、チェンジお願いします。金髪ロリ貧乳じゃなくて、巨乳浴衣美人お願いします」
「チェンジ?」
「そう。チェンジ。君、貧乳でロリータだろ? 俺の好みと正反対だから。帰った帰った」
神様はやくチェンジだ。ほら、急げ神様。
ん? なんか焦げ臭い。
振り返ると、フライパンからもうもうと黒い煙が出ていた。
さっき2つ卵を割り入れた、あのフライパンだ。
「しまった! 目玉焼きが!」
あわてて火を消したが後の祭り。目玉焼きは真っ黒焦げだ。
「くそう、ラスト2個の卵だったのに」
「目玉焼き駄目になった?」
貧乳娘のリジーが話しかけて来た。
「ああ、駄目になった。貧乳のせいだ。おまえが巨乳だったらこんなことにならなかった」
今ごろ行為に及んでいたからな。目玉焼きなど、夢の中から消えてたはずだ。
「よくわかんないけど、ごめん……」
「いや、気にしなくていい。悪いのは神様だからな」
「神様?」
「そう。神様が悪い。お前は俺えっちな明晰夢に出て来た女の子。俺の欲望を口やら胸やら、全身で受け止めるはずだった。だが、残念なことに欲望を受け止めるだけの胸がない。よって、神様にチェンジ申請中だ。なのに神様がチェンジしないからこうなる」
「ねぇねぇ、本当にリジーのことわからないの?」
「わかるさ。俺の妹なんだろ? 残念ながら俺は貧乳は好みじゃない。さよなら。もう出てくんなよ」
「ヒンニュウ? 何、ヒンニュウって?」
「貧乳は貧乳だ」
「?」
あーめんどくせー。
わかんねーのか?
俺はいらつきながらリジーに返答した。
「貧乳ってのはな、胸が貧しいんだ」
「貧しい?」
「そうだ。貧しいんだ。つるぺた・ぺったんこ・まな板・見すぼらしい・乳首以外攻めるところがない、そういう意味だ」
「んんん?」
「……わかんねーのか」
俺はリジーの胸を右手人差し指で「つん」とつついた。
「な? つるぺた。これじゃ、男子高校生の性欲は満たされないんだ。はい、チェンジ」
リジーが恐ろしい形相でこっちを睨んだ。
「……へ、へんたい!」
猛烈なビンタが俺の左頬を直撃した。
「痛ってぇぇぇぇ!」
「へんたい! へんたい! サイテー!」
口の中が切れた。血が出てる。
かなり痛いぞ。
ん? ……夢じゃない?