神樹と新たな服(尚、元の服はスタッフが美味しくいただきました。)
修学旅行行ってきました。
頭痛い……
「さて、神樹。召喚なんだけどね」
自由はこちらを見て言った。
「今の君には無理だね。おつですね」
「おいてめちょっと面ぁ貸せや」
言い方に棘があるね。
「ごめんごめん、冗談冗談。……………1割」
ねえ君酷くない?
「まあそれはそれでいいとして、だ。ちょっとだけ、やることをやらないとできないんだな」
「やること?」
なんだろうね。ちょっと嫌な予感が。
すると、自由は右腕をこちらに向けた。
「手のひら合わせて?」
「それだけか?」
「何か?」
質問に質問を返して質問を返す。しかしこれで話が通じる。日本語って凄いね。やろうと思えばどういう言語でもできるとは思うけどね。
そして、手を合わせる。
すると、何だろうか、不思議な感覚が身体の中に伝わってくる。
これは、この感情は、何だ?
気が くと、意識が朦朧とし いる。
どう よう、立って られ い。
倒 た。
ぐっ、 目だ。
僕は呻 がら、意 手放した。
「お目覚めかな?」
掛けられた声に目を覚ます。見覚えのない、赤黒い床。まるで奥が見えない闇に包まれ、僕はクラクラする頭を押さえながらも身体を起こす。
目の前にいたのは、自由。いや、違う。僕だ。もう一人の僕だ。
「お、お前は、誰だ……っ?」
未だに朦朧とする意識を強引に戻し、目の前の僕に問う。
「私か?私は、 だよ」
クラクラする。よく聞き取れなかった。
「もう、一度、聞き取れなかっ、た」
「 だって」
駄目だ、全く分からない。もう少し時間が立てば、クラクラするのは治るかな?
「もう、ちょっと後で、いい?頭が、クラクラ、するんだ」
すると、寂しげに笑って、僕は頭を振った。
「ごめんね、私は持ってる時間が少なくてね、一応言いたいことは言っておくよ」
「 に、飲まれないでくれ」
「ま、待って、何、なんて言ったの、今?」
意識が再び朦朧としてきた。最後に、それは聞いておかないと……。最重要事項だろうし。
「すまないね、タイムアップだ。また、会える日まで。元気でね」
その言葉を聞くと同時に、身体の内側が焼けるように熱くなり始めた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
僕は苦笑するように、頑張って耐えてくれ、と言って消えていった。
「ああああああああああ、待って、まだっ、聞きたいことがっ、あああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
まるで溶かされるような熱さに悶えながら、僕は意識を手放していった。
「………はっ!」
目が覚めると、そこは草の上。先程までいた空間は跡形もなく消えていた。
……さっきのは何だったんだろうか。まだ身体には熱が籠っているように感じる。
「おおおおおおおおおおおにいいいいいいいいいいいたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんっ」
殺気。
跳躍して離脱。
ドゴオオォォォォッ………
悪夢の再来、ってところだね。
「寝起きのところごめんなさいでもおにーたにうむが不足して暴走してます愛してますお嫁に行かせて下さい」
どうやら先程の出来事の間に真珠さんは禁断症状を起こしたらしい。えっと、なんでこんな興奮しているんだろうね。
「し、神樹?やっと起き…………。………ごくっ」
美星さんが来ました。なんだろう、僕の一点を凝視している。何を見ているんだろう。
今度はコクカが眠そうにとてとてと駆け寄ってきた。
「ふぇぇ、マスターお目覚め?……………おおぅっ、お目覚めですね。ありがとうございます」
うん。上に同じく。目を大きく開いて何を見ているんだろうね。ちょっと寒くなってきたなぁ。
「「「とりあえず、ちょっと手をずらしていただきたい」」」
「やだよ!てか何を凝視してたんだよ!」
「「「ナニですが、何か?」」」
「もうやだ逃げるぅ!」
そう。何故か衣服が破れていた。辛うじて聖域は出ていなかったけど、いい感じにそこらへんがはだけて見えそうになっていた。やめてほしい。男のはいらないでしょ?尚女子勢の目からはハイライトさんが退出されていた。
「てか本当に服ないの!?」
「神樹ごめんね、私としても忘れてた」
「おにーたん、代わりと言ってはなんですけどこのメイドさんは?そそる……カッコいいと、思いますよ」
「絶対そそるって言ったよね今。聞き逃さなかったからね」
美星のミスで僕の服が1着しかなかったのだ。いやー、ちょっと勘弁してほしい。このままだとメイド服を着せられてしまう。
「美星さん創造神でしたよね!?服作って下さい!」
「え、私が神樹の服を……?」
「おねしゃす!」
「………チラッ」
「「………コクコクコク」」
「……じゃあ、や、やらせていただきます」
「っし!あざます!」
美星さんが創造神って忘れかけてたわ!創造してもらおう!
美星はこちらを見て大まかな寸法を測った。その際、1週間前とはどのぐらい変わっているかをぶつぶつ呟いていた。ミリ単位で言うのはやめていただきたい。
「さて、とりあえず1着創るよ」
「おねしゃす」
美星が宙に手を浮かべると、僕の身体が光り始める。
段々と、服を象っていく光。
その特徴は、まるで貫頭衣のような形状。肩にある袖口は作られておらず、腕をあげれば脇が見える。赤を基調としたその色は、金の刺繍を目立たせる。
その服の通称は。
「なんでチャイナドレスなんだよぉっ!?」
「い、良いと思いますっ」
「いや質問に答えようか?」
美星さんは僕を嵌めてチャイナドレスを着させた。これメイド服より恥ずかしいんですけど?
「おにーたんちょっとそのまま……そうそう」
なお真珠は下から頭を突っ込んではしゃいでいる。普通逆ですよね。
「えーい、ちゃんとした服を!」
「「チャイナいいと思います」」
「そういうことじゃのーて!」
「コクカは巫女服をおすすめします」
「「それだぁっ!!」」
「黙ってろアホ共め!」
話が通じない。どうしよ。
「服を!我に服を!」
そう言った瞬間。
チャイナドレスの上に服が現れた。
「「「え?」」」
「おにーたん何それカッコいいお婿に来てください」
真珠が真顔でそんなこと言い始めた。いつものことか。
現れた服は、真っ黒なコート。いや、どちらかと言えばローブに近い。
ポケットのようなものは全くなかった。しかし、背中には大きな穴が空いている。そしてそれを隠すように、同じ素材で軽く蓋がしてある。この蓋が開くことの意味は分からない。使う内に分かるだろう。
さらに、魔法のようなものがかかっているのか、ローブの中は外よりも快適になっている。気持ちのせいかもしれないが、身体も軽い。
とてつもない一着である。
しかし、問題が1つ。
「なんでチャイナの上から……?いやまあ分かるけどさ」
「「「これはこれでなんかいいです」」」
「頼むから黙れお前ら」
まあいいか。
「あ、神樹」
「どうした?」
美星さんがちょっと申し訳なさそうにこう言った。
「あのね、神樹が着てた服、ちゃんと保管してあるから」
「なんだよぉっ!?はよ言えやああああああああああっ!!てか脱がせたってことか!?」
「それは、その。……ごちそうさまでした」
「「極上の男の肉体、ありがとうございました」」
「もうお嫁に行けないぃ……」
最近僕の貞操が危険。安心して寝れない。
次回こそ配下を召喚させようかと。
頑張っていきます(働きたくない)