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初詣

甘酒飲みたい。


 初詣とは神聖なものである!

 私はそう思っている。

 そして、今年の私はそれを見失っていた。

 初詣とは名ばかりの甘酒飲み会にくり出し、甘酒の紙コップ一杯200円にちょっとボッタクリではないかと疑うしまつ。

 甘酒を受け取り、口に運んで一言。


「何これ!滅茶苦茶旨い!200円安すぎ」


 子供騙しではない八海山の風味!

 アルコールをとばしているとはいえ、漂うお酒独特の高揚感!

 

「「おかわり!」」


 思わずの言葉は、ツッキーさんとかぶった。


「まあまあ!ありがとうございます。一緒に煮たまごと玉コンニャクはいかがですか!」

「「両方ください!」」


 また、ハモってしまった。


「花さん、旨いですね!」

「私が金持ちだったら、店ごと買うのに!」

「解る!毎日飲みたいぐらい旨い!」

「解る~!ツッキーさん買って~」

「店は無理です……俺も欲しいけど」


 私達はお互いに苦笑いを浮かべた。

 そして、すぐに店のお姉さんが持ってきてくれた煮たまごと玉コンニャクを受け取り口に頬張った。

 

「煮たまご神!」

「ツッキーさん、玉コンニャクが味染み染みで泣けるぐらい美味しいよ~」


 店先で大興奮の私達にお店のお姉さんがニコニコ笑って言った。


「本当に仲良しカップルさんですね!」


 私とツッキーさんはお互いの顔を見合うと言った。


「ツッキーさんは彼氏じゃないですよね?」

「友達ですよね?花さん」


 私達がキョトンとすると、お姉さんは更にニヤニヤして言った。


「恋人未満ってやつですか?素敵ですね!早くお二人が幸せになれますように」


 お姉さんはキョトン顔の私達をおいて次のお客さんのもとに向かって行ってしまった。


「ツッキーさん、誤解されちゃいましたよ」

「ですね。来年も一緒に来たら何時結婚するんですか?とか聞かれそうな勢いでしたね」

「ああ!来年も一緒に来れたら嬉しいかも!」

「この感動を一緒に分かち合う!最高ですね!花さんが良ければ来年も一緒に」

「勿論!」


 私達はその後も仲良く甘酒を楽しんだ。





 漸く初詣再開。

 列にならんでお賽銭を投げてお祈り。


「花さんは何をお願いしたんですか?」

「今年も沢山飲めますようにって、ツッキーさんは?」

「俺?……幸せになれますように?」

「疑問系?」

「早く手を合わせないと後ろの人に悪いな~って思って」

「ツッキーさんはいい人だから、幸せになれますよ」


 イケメンの上にいい人素晴らしい友達である。

 ツッキーさんには幸せになってほしいな!

 私がニコニコとするとツッキーさんは困り顔で言った。


「俺は小心者なだけですよ」

「優しいってことじゃないですか!」

「………優しいのは花さんです。花さんのお願いごとは神様じゃなくて俺が叶えてあげます」

 

 ツッキーさんはそう言うとイタズラが成功した子供のように笑った。

 あれあれ?あの顔はなんだか可愛かったぞ!

 すっごく得した気分で私は笑顔を返した。


「花さんには何時も笑っていてほしいな」

「へ?」

「花さんの笑顔はなんだか癒されます」


 あ、ツッキーさんは天然たらしなのか?ではなく、天然たらしなのだ。

 

「そういうことは、彼女に言った方がいいですよ」

「彼女は面倒臭いです」

「くっ、イケメンは面倒で彼女を作らないのか!私なんて彼氏欲しくても出来ないってのに……」

「彼氏欲しいんですか?」


 イケメンめ!


「欲しいですよ!」

「神様に沢山飲めますようにってお願いしたのに?」

「はっ!本当だ!彼氏欲しいが先だったかも!」

「要らないってことじゃないですか?」

「ち、違うもん!彼氏欲しいもん!」

「彼氏なんて必要ないですよ。必要なら俺が直ぐに駆け付けて側にいてあげますよ」


 うわ!自分が彼女要らないからってまた呪う気だな!


「彼氏欲しいんです!」

「要らない要らない!彼氏なんかよりも直ぐに呼び出せる隣人ですよ」

「だって、周りは彼氏持ちばかりで彼氏自慢ばっかりだし」

「他所は他所、うちはうち!」

「それ、よくうちのお母さんが言ってた!」

「うちの親もよく言ってました」


 私達はなんだか可笑しくなってきてお腹を抱えて笑ってしまった。

 こんな私達の初詣が罰当たりな気がするのは言うまでもない。

あれ?イチャイチャしてる?

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