表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

忘年会 五十嵐目線

明けましておめでとうございます!

 忘年会とか滅びれば良いのに。

 クリスマスと同じことを思いながらビールを飲む俺の横には、同期入社の比較的仲の良い志村卓史(しむらたかし)が座っている。

 反対側は壁の席を選んだのは許してほしい。

 

「周りの女子が俺が退くの待ってるな」

「どっか行ったら俺は帰る」

「月斗も彼女作れば少しはおさまんじゃねぇの?」

「今はいらない」


 俺はビール片手に唐揚げを頬張った。


「クリスマスも一人とかしんどくなかったか?」


 俺は唐揚げをビールで流し込むと言った。


「一人じゃなかったし」

「はぁ?えっ?彼女できた?」

「彼女じゃない隣人」

「隣人?職業は?」

「大学生」

「大学生って………お前もとうとう男で良くなったか~」

「はぁ?女の子だよ」


 ビールを飲もうとしていた志村はゲホゲホしてから言った。


「馬鹿!女なら大学生じゃなくて女子大生だろ!えっ?どんな子?」

「……………リスザルみたいな?」

「はぁ?」

「ほら、リスザルって果物だけ食わせてると栄養失調になるから虫も食わさないといけないってなんかで見たんだ。そんな感じ」

「解んねぇ~よ!」


 すっごく解りやすかったと思うんだけどな~。

 花さんは可愛いのにちゃんとメシを食べてる感じがして健康的だ。

 

「見た目は?」

「………見た目は………フワフワの茶色いセミロング、目がパッチリで色白で身長は俺の頭1つ下ぐらいで顔が小さい」

「お前、その子俺に紹介しろ!」

「嫌だよ!なんで紹介なんてしなくちゃなんねんだよ」

「聞いただけで美少女じゃねぇか!紹介しろ!」


 そうだ、花さんは可愛い。

 美少女ってほど幼い顔立ちでは無いが、美人というよりは可愛いが似合うと思う。

 花さんが俺を意識していないから忘れてしまいそうになるが、かなり可愛い子だ。


「駄目だ。紹介なんてしない」

「なんだよ!付き合ってんのかよ!」

「付き合ってない。けど、お前なんか紹介しない」


 志村は物凄くしつこく紹介しろって言ってきたが俺はそれを無視した。








 終わりの時間が近づき、女子社員が酔ったふりして近寄ってきた。


「課長~酔っちゃいました~」

「………」

「歩けないです~運んでください~」

「………田島(たじま)、俺、会計してくるから彼女送ってやって」

「良いんですか?俺はいいですけど」

「頼んだ」


 俺は近くに居た男性社員にそれを押し付けた。

 それを何度か繰り返し、店を出ると皆は二次会に行くやつと行かないで帰るやつにわかれた。

 俺も、勿論帰る組だ。

 そこに現れたのは、会社の中でも可愛いと有名な藤本美優紀(ふじもとみゆき)だった。


「課長……二人で話したいことかあるんですが……」

「悪いけど今日はもう帰らないとなんだ」

「ちょっとだけで良いんです」


 周りに居た彼女の同僚やらがニヤニヤしている。

 この子はフラれる気がないみたいで、ぐいぐい俺に近寄ってくる。

 怖い、喰われる、帰りたい。

 俺が怯えているのを気がつかれないように2歩ほど下がった所で右手をガシッと後ろから掴まれて驚いた。

 振り向けばそこに居たのは花さんだった。


「やっぱり!ツッキーさんだ」

「は、花さん?」


 花さんは困ったように笑った。


「千円かしてくだい!五百円でも良いです!」

「は?」

「鞄電車に忘れて、終点の駅にあるって言うんです!でも、財布が鞄の中で……」


 俺は呆然と俺と花さんを見ている藤本に軽く会釈をしてから少し離れて、本気で困っているみたいな花さんの頭をポンポンすると言った。


「それは心細かったでしょうね。俺も、帰るだけなんで付き合いますよ」

「いや、千円かしてくれるだけで大丈夫です!そこまで迷惑かけられないです!」

「花さん、旨い焼き鳥屋があるんですけど付き合いませんか?奢りますよ」

「お、奢りの焼き鳥?」

「砂肝が旨いんですよ」

「砂肝?」

「焼き鳥屋で一杯引っ掻けてから帰りましょう。嫌な事も旨いもの食って一杯飲んだら良い思い出になりますよ」


 花さんはヘニャっと笑った。

 ああ、可愛い顔してる。


「月斗~なに可愛い子ナンパしてんだよ~」


 志村が近寄って来たのが見えて俺は花さんを背中に隠すようにたった。

 

「ナンパに成功したから帰る」

「え?マジで?俺もまぜて!」

「絶対嫌だ!」


 志村が俺の後ろの花さんを見ようとするのを阻止していたら、後ろから花さんがヒョコっと顔をだした。


「あ、あの、ツッキーさん………五十嵐さんをお借りしても大丈夫ですか?」

「もう帰る所だから、許可なんて要りませんよ」

「そうなんですか?ツッキーさんはイケメンだからこの後の時間を狙ってる人が居るんじゃないですか?」


 ホラーの話をしていただろうか?

 背筋が寒くなった。


「ツッキーって月斗の知り合い?」

「ツッキーさんの隣人の水島花花と言います」

「隣人?………リスザル女子大生!」

「リスザル?」


 志村め、変な呼び方すんなよ!


「花さんは可愛い物以外も食べるでしょ?」

「ああ、リスザルってコーロギとかでたんぱく質とるんですよね!………流石に虫はイナゴでも食べないですよ」

「俺も、イナゴ食わないです」


 ああ、癒される。

 花さんとは本当に気が合う。


「志村、ちょっと急いでるから後頼むな」

「はぁ?」


 俺はそれだけ言って花さんの背中を押すとその場を後にしたのだった。

今年も宜しくお願いいたします!

皆様にとって今年が良い年でありますように!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ