スマホ
インフルって怖いね。
次の日、よく眠れていない状態で大学に行くために家を出た。
ドアに鍵をかけてあるきだそうとしたら、ツッキーの家のドアが開いた。
「あ、おはようございます」
ツッキーさんの言葉に昨夜の記憶がなくなっているのは明白だ。
良かったのか?良くなかったのか?
「おはようございます……」
一応、返事を返した。
「いや~また飲みすぎちゃったみたいで、どうやって帰ったか記憶がないです」
「飲みすぎちゃ駄目だって言いました」
「………面目無い………」
私はツッキーさんと一緒にエレベーターに乗り、一階のボタンを押した。
「花さん………どうしたんですか?」
「?」
振り返ると、ツッキーさんが真剣な顔でこっちを見ていた。
「何が?」
「その首です」
「首?」
首なんてツッキーさんに甘噛みされ………
「キスマークがついてます」
………お前がやったんだろ~!
って叫んでやりたい!
でも、記憶がないんだよね?
私は思わず昨日ツッキーさんに噛まれた所を手で隠した。
「よくそこだって解りましたね?」
「へ?」
「………そこにしかされてないの?」
酔ってないツッキーさんから色気が出ている。
「花さん、彼氏出来たんですか?」
ツッキーさんは困ったような顔を作った。
「………出来てません」
「じゃあ、誰にキスマークなんてつけられたんです?」
「………聞いてどうするです?」
「……………そりゃ、付き合ってないのにキスマークつけるようなカス野郎はぶっ飛ばします」
ツッキーさんは拳を握って見せた。
いやいや、つけたのツッキーさんだから!
自分をぶっ飛ばすって………
思わず笑ってしまった。
「何を笑ってるんです?兎に角、そんなことしてくるやつに近寄ったら駄目です!良いですか?」
私はとりあえずツッキーさんから二歩離れてみた。
「………花さん?」
「何でしょう?」
「何で離れたんです?」
「………ツッキーさんが言ったんじゃん」
「へ?」
その時、エレベーターが一階についた。
私がエレベーターからおりるとツッキーさんは慌てて私の腕を掴んだ。
「あ、あの」
「ツッキーさんが夜中に来ても、もうドアを開けてあげません」
「!」
みるみる真っ青になるツッキーさん。
「お、俺……俺がやったんですか?」
「そうですけど?」
「すみません!」
勢いよく頭を下げるツッキーさん。
なんだか可愛い。
「ツッキーさんは酔うとドエロで困ります」
「すみません!」
「他所で飲むときは連絡してくれませんか?」
「れ、連絡ですか?」
「そうです。他所で飲むなら酔って帰る可能性があるって事でしょ?知らないでツッキーさんだからってドア開けて襲われて、次の日記憶がないなんてたまったもんじゃないんです」
「お、襲ったんですか?」
「覚えてないって良いですね~」
「!す、すみません~何したんですか?教えてください!お願いします!」
ツッキーさんの真っ青な顔がなんだか可愛い。
だけど、昨日のツッキーさんの話はしたくない。
「断る!」
「な、何故!」
「前の酔った時の事思い出したんでしょ?なら、そのうち思い出すんじゃないですか?」
ツッキーさんが固まったのが解った。
「そ、その、思い出したのはたしかです。ですが、絶対に思い出せるとは限らないではないですか?」
「兎に角、スマホを出して下さい」
「は、はい」
「ちゃんとメールして下さい」
「はい、あの、少しだけで良いのでヒントをくれませんか?」
「やたら、好きだとか嫁がどうとか言ってましたよ」
スマホをコートのポケットから出したところのツッキーさんの顔が一気に真っ赤になった。
私はスマホを受けとりツッキーさんのスマホに私のプロフQRコードを読み込ませて返した。
「そんなことを……」
「兎に角飲みすぎないで下さい」
「はい、すみません」
「では、学校があるので」
私はそれだけ言うと学校に向かったのだった。
自分のプロフを読み取れるQRコードが作れるんだよ!
………常識?
すみません。




