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狼男?

エロいシーンがふくまれます。

不快にさせたらごめんなさい。

 ピンポーン

 あ、ツッキーさんかな?

 インターホンが鳴り、私はこたつから出た。

 ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピポピポピポピンポーン

 ………絶対にツッキーさんじゃない。

 嫌な予感を感じながら玄関の覗き穴を見た。

 一樹?

 私がドアを開けると、口元をヒクヒクさせた一樹が仁王立ちしていた。

 開けるんじゃなかった。

 一樹の後ろには申し訳無さそうにツッキーさんが立っていた。

 

「花ちゃんは女の子だって自覚はあるの?」

「あるよ」

「じゃあ、何でノーブラで人前に出ちゃうの?」

「………」


 一樹の後ろで頭を下げるツッキーさん。

 裏切ったな!

 いや、口止めしとかなかった私のせいだ。


「女の子なんだよね?」

「はい」

「えっ?じゃあ月兄さん狙ってんの?」

「誤解です」

「じゃあ何でノーブラオッパイ揉ませちゃうの?」


 うわぁぁぁぁぁ!

 言わないで~。


「揉ませちゃったんじゃなくて、うっかりツッキーさんの手に収まっちゃったんだもん」

「うっかり?月兄さんが紳士だったから襲われなかっただけでしょ!普通の健全な男子ならそのまま喰われちゃうんだよ!解ってる?」


 解ってるよ!

 

「ツッキーさん、一樹が煩くてごめんなさい」

「一樹君は花さんを心配してるんですから、煩いとか言っちゃ駄目ですよ」

「月兄さんが紳士だから助かってんだからね!」

「ツッキーさんにも説教されたのに一樹まで………」

「花ちゃんが大事だから言ってんの!」


 一樹の顔が怒りでいっぱいだ。

 ツッキーさんは苦笑いを浮かべていた。


「月兄さん!」

「はい!」

「次、花ちゃんがノーブラだったら襲って良いから」

「!」

「一樹何言ってんの!」

「ノーブラでいなきゃ良いだけの話だよね?月兄さん、次ノーブラだったら花ちゃんは月兄さんにモーションかけてるから喰ってよし!」


 一樹がキレてる。

 訳の解らないキレ方をしている。

 しかも、ツッキーさんがかなり困った顔してる。

 い、居たたまれない。


「も、もうしないから!ツッキーさんに変な事言わないで~」

「花ちゃんの自覚が無いのが悪いんでしょ!」


 ツッキーさんも完全にフリーズしている。


「ツッキーさん、一樹の言ったことは忘れて~」

「月兄さん、花ちゃんのためだから!」

「………はい」

「ツッキーさん!返事しちゃ駄目~!」


 ツッキーさんは苦笑いを浮かべた。


「花さんは警戒心を持った方がいいですから」

「もう、しないから~」


 私は必死で訴えたが二人は聞き入れてくれなかった。





 一樹は散々キレて帰って行った。

 残された私とツッキーさんはとりあえず私の家で日本酒を煽った。

 無言でテレビを見ていた私達。

 沈黙が居たたまれなくて、私もツッキーさんも結構なペースで飲んでしまっている。

 このままじゃ駄目だよ!


「あ、あの………ツッキーさん、ごめんなさい」

「いえ、俺こそなんか……うっかりこたつのコード事件を口走ってしまって………」

「そ、そうですよ………何でそんな話に……」

「今日新年会で二次会抜けようって言い出した同じ会社の女性から一樹君が助けようとしてくれて………何故か好きな女性の胸の大きさの話になり、花さんの………ついうっかり、小さくなかったって言ってしまって……根掘り葉掘り聞かれてしまいまして………」


 小さくなかったって………

 じゃあ、あの時ツッキーさんは私の胸の感触が解って………

 ち、小さくなかったって………嬉しいけど、喜んじゃいけないとこだってのは…解る。

 でも、嬉しいから仕方がない。


「ありがとうございます」

「何で?」

「だって、小さいの気にしてるし……小さくないって思ってくれたなら、ちょっとはツッキーさんのラッキーになれたかな?って思えるって言うか」


 ツッキーさんは驚いた顔をした。


「俺に胸押し付けてくる女って結構多いけど、何にも思った事無かったのに……花さんの時はラッキースケベの神様が降臨したと思いましたよ」


 そ、それは………恥ずかしい。


「それに、そんな話俺に向かって言うなんて………本当に気を付けないと、俺だって狼になりますよ」


 ツッキーさんが狼男。

 狼男よりバンパイアの方が似合いそうだ。


「ツッキーさんは、狼男は似合いません!バンパイアの方が似合います」


 ツッキーさんは暫く黙ると、中指で眼鏡を上に押し上げると言った。


「じゃあ、最初に首筋に噛みつくので良いですね」

「………な、なんか、エロい感じがしますね」

「エロい事するって言ってるんです」


 私の目の前に居るのは、本当にツッキーさんなのだろうか?

 ツッキーさんからなんだか解らない色気が出ている気がする。

 突然、目の前の人物が一人の男なのだと解った。

 ツッキーさんは家族じゃない!

 普通の男の人なんだ。

 そう思ったら、なんだか動悸が………


「花さん?」

「ツッキーさん、もしかして酔ってますか?」

「………そうですね。フワフワしてます」


 酔うと色気が出るってなんなの?

 イケメンの色気にドキドキする。


「花さん、気を付けて下さい」

「はい。気を付けます」

「俺も、男なんですからね」

「はい」

「本当に解ってます?」

「解ってます」


 その時、ツッキーさんはヘニャっと笑った。

 うっ、か、可愛い顔した!

 ツッキーさんはインテリイケメンなのにそんな可愛い顔するなんて不意打ちだ!

 

「そろそろ帰ります」

「はい」


 ツッキーさんがこたつから出たのを見て、私もお見送りのために立ち上がろうとして気がついた。

 ツッキーさんが真横に立った事に。

 何かあるのか?って思ってツッキーさんを見上げるとツッキーさんは私の横にしゃがんだ。

 何がおきたのか?

 最初、私は解らなかった。

 ツッキーさんの手が私の肩にのっている。

 いや、ツッキーさんの唇が私の唇にのっている。

 の、のってるっていうか下唇をハムハムされている。

 頭がパンク寸前のところで唇が離れた。


「嫌がらないの?じゃあ、調子にのっちゃうけど良い?」


 唇が離れたのは数秒だった。

 直ぐにツッキーさんの唇は戻って来た。

 いや……戻ったというより次に来たキスは噛みつかれるように激しくて苦しくてツッキーさんの飲んでたお酒の匂いが私の口いっぱいに広がった。


「……鼻で息して」


 唇が離れてないのに喋れるなんて、何なんだ!

 キスって!!!!!!!!!!!!


「つ、ツッキー、ツッキーさん、嫌だ!怖い!」


 思わずツッキーさんの体に手をついて、突き飛ばした。

 突き飛ばされたツッキーさんは少し乱れた髪の毛を色っぽくかきあげると、ヘニャっと笑った。


「もっと早く嫌がらないと駄目ですよ」


 こ、こんな事しておいて、なんて可愛い顔するんだ!


「あ~世界が回る」


 ツッキーさんはヘニャヘニャ笑いながらこたつに戻り、横になると寝息をたて始めた。

 う、嘘でしょ!寝た!

 ツッキーさん、とりあえず帰って!

 叫びたいけど、目が覚めてまたエロい事されたら嫌だ。

 き、キスしちゃった。

 そんなことした張本人は幸せそうな顔で眠っている。

 酔っぱらいの戯れだ……わ、忘れよう。

 私はグラスに残った酒を一気に飲み干した。

 わ、忘れられるわけないじゃん!

 この日ほど、お酒に強い自分を呪ったことはない。

 私は幸せそうに寝息をたてるツッキーさんを見つめて眠れない夜を過ごしたのだった。

酔ったツッキーさん大暴走の回でした。


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