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新年会 月斗目線

「ママ、ナウシカ何回見たことある?」

娘が突然聞いてきました。

とりあえず、「いっぱい」って言っときました。

 その日、新年会でまたも楽しくない飲み会があった。

 早く帰りたい俺と、俺を帰したくないストーカー女。

 この子まだあきらめてないらしい。

 隙あらば俺の腕にしなだれかかる。

 胸が当たってても嬉しくない。

 喰われそう。

 怖い。

 とりあえず新年会が終わり店を出ると、彼女に腕を捕まれた。


「課長、二次会ぬけましょ~」

「いや~」


 誰か助けてくれ。

 周りのやつらは俺を助けようとするも、彼女に睨まれスゴスゴと引き下がっていった。

 誰でもいい、助けてくれ!

 そう思ったその時、向かいの居酒屋から出てきた男と目があった。

 あれ?一樹君?

 未成年で酒を飲んではいけない彼が何故居酒屋から?

 そう思った瞬間。

 一樹君はムッとした顔をして俺に近寄ってきた。


「月斗さん!」


 一樹君は俺の腕にしなだれかかる彼女を引き剥がすと、抱きついてきた。


「他の女とイチャつくなんて浮気だ!酷い!」

「………一樹君」

 

 助けようとしてくれているのか?

 それとも、俺の社会的地位を揺るがす嫌がらせか?


「やっぱり巨乳が良いんだろ!」

「巨乳好きは一樹君でしょ?」

「うん!………ってちょっとぐらいのってくれても良くない?月兄さん!」

「俺があらぬ疑いを向けられちゃうから」

「………」


 一樹君は俺から離れると、ストーカー女にニコッと笑って言った。


「お姉さん、月兄さんはちっパイ好きだからお姉さんは圏外じゃないかな?頑張っても無駄だよ」


 また、あらぬ疑いを………

 周りの同僚達にそうなの?って顔されてるんだけど。

 

「一樹君」

「月兄さんは俺の認めた男なんだからちっパイ好きでいてもらわないと困るんだよね」

「別にちっパイじゃなかったけど……」


 思わず呟いた言葉に一樹君はブリキのおもちゃみたいに俺の方を見た。


「月兄さん?」

「?」

「えっ?ちっパイじゃなかったってどういう事?触ったの?」

「あっ」


 ヤバイ。

 思わず視線をそらすと一樹君は俺の背けた目線を合わせるように移動した。

 口元のひきつった一樹君が怖い。


「えっ?俺、そこまで許してないけど?事と次第によってはぶっ殺すよ」

「事故です」

「はい?えっ?ラッキースケベ的な何かとか言う?それで納得するとでも?」


 一樹君が胸ぐらを掴む勢いで俺に詰め寄った。


「本当にラッキースケベでした!こたつのコードに引っ掛かって転びそうになったの支えたらウッカリ……」

「………花ちゃん天然だなら何となく納得だけど………他になんもない?」


 むっちゃメンチ切られてる。

 ああ、シスコン怖い。


「………それぐらいです」

「まだ、なんかあるな」

「何で!」

「変な沈黙怪しい」

「鋭い」

「月兄さん、ちょっと本気で一回フルボッコにして良い?」

「駄目だよ!ってか、俺じゃなくて花さんに注意した方が良いって」

「何を?」


 ノーブラ!

 って言いかけて飲み込んだ。


「………よし、一樹君家においで!そこで話そう」

「今ここで言えない事なのかよ?」

 

 言えない。

 言えるけど、花さんが滅茶苦茶無防備な子だと思われて変な男がよってきたら嫌だ。

 俺は一樹君の耳に内緒話をした。


「花さんが無防備美人だって知られたくないでしょ?」


 一樹君は驚いた顔の後俺の脇腹に蹴りを入れた。

 酷い。

 

「………とりあえず、それで少し許す!詳しい話は月兄さんの家で」

「了解。一樹君、マジで痛いんだけど」

「花ちゃんに何かしてたら骨折ってる」

「………家にあげたくないな~」

「えっ?今病院送りになりたい?」

「話すから!」


 俺は会社のやつらに笑顔を作った。


「悪いけど今日は帰る。皆は二次会楽しんで」


 会社のやつらの沈黙が嫌だな~。

 仕方なく、俺は皆から離れると一樹君のもとに向かった。


「月兄さん」

「………そうだ、一樹君未成年なのに居酒屋から出てきたって花さんに言って言い?」

「別に~俺悪くないもん!ただのバイトだもん」

「なんだ」

「でも、花ちゃんには言わないでよ!花ちゃんの誕プレの資金集めだから」

「………何月何日?俺もプレゼントする」

「そんな事も聞いてないの?2月の22日だよ」

「にゃんにゃんにゃんの日?」


 俺の言葉に一樹君が吹き出した。


「月兄さん、にゃんにゃんにゃん似合わね~」

「似合いたくないし!」


 でも、花さんには似合うな~。

 俺は猫耳をつける花さんを想像して思わず微笑んでしまった。


「月兄さん、変な妄想したでしょ?」

「してない」

「嘘だね!スッゲー緩んだ顔してたもん」

「………」

「ドスケベ」

「違うし、花さんは猫耳似合いそうだって思っただけだし」

「ドエロじゃん」

「………耳つけただけなのに」


 俺は何故か一樹君にドスケベの烙印を押されてしまったのだった。


今日、旦那様が新年会で居ません。

息子と娘とご飯食べに行ったのは旦那様には内緒です。

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