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新キャラです。

「花ちゃん!もう終わり?今日泊まって良い?」


 その日、弟の一樹(かずき)がバイト先にふらりとやって来た。

 一樹は私をお姉ちゃん呼びは一切しない。

 一樹は今年大学に上がったばかりで実家暮らしである。


「家で待ってる?」

「花ちゃんが終わるまで待ってるから、ご飯俺の好きなの作って!」

「嫌だ!面倒臭い」


 周りの同じバイトのおばちゃん達も岬の彼氏の幸村先輩も唖然としている。


「花ちゃんのご飯が食べたいの~」

「じゃあ、ご飯炊いてあげるね」

「………おかず………酒のつまみばっかり作ってると男よってこないよ飲んだくれ!」

「一樹、ぶん殴るよ」


 一樹はぐっと黙り、暫く考えると言った。


「じゃあ、俺が飯作ってやる!花ちゃんを俺無しじゃ居られなくする!」

「………一樹が居なくても死なないよ」

「花ちゃん、そこは乗ろうよ」

「嫌だよ。一樹料理できるの?私のキッチン壊さないでよ」

「花ちゃん俺を誰だと思ってんの?」


 私はポケットに入ったまんまだった鍵を一樹に渡した。


「一樹が料理出来るなんて思ってないよ!なにもしないで家にいて、話は帰ったら聞くから」


 たぶん、うちの両親に何か言われて家出だろう。

 いつものことだ。


「ちぇ。………花ちゃんが派手な下着買ってないかチェックしてやる!」

「何もするなって言った!」

「鍵をうけとれば俺の城」


 一樹はニコニコ顔で走って行ってしまった。

 あいつ、後で殴る。


「花ちゃん、か、彼氏?」

「はい?ああ、あれは…」

「水島!俺はあんなチャラチャラした男は認めないぞ!岬ちゃんが俺にかまってくれなくなるだろ!」

「幸村先輩、意味が解んです!」


 幸村先輩に肩をつかまれグラグラ揺さぶられた。

 お前は私のお父さんか?


「でも、イケメンだったわ!子犬系男子!」

 

 まあ、一樹は犬っぽい。


「イケメンは正義だけど、花ちゃんにはもっとしっかりした人が良いんじゃないかしら?」

「解る!花ちゃんってウッカリさんなところがあるもんね!」


 しっかりした人ってツッキーさんみたいな………ウッカリさんって………こないだのコケてオッパイ揉ましてしまったりはウッカリさんレベルなのだろうか?


「お、弟!一樹は弟です!似てたでしょ!弟です!」

「「「「………」」」」


 皆が黙ってタッパーにお総菜をつめて持たせてくれた。

 悪いと思ったのか?





 家に帰ると一樹とツッキーさんが玄関先で睨みあっていた。

 し、修羅場?


「た、ただいま」

「花ちゃん、こいつ誰!」

「つ、ツッキーさん」

「名前聞いてんじゃないの!えっ!何?馬鹿なの?」


 一樹が珍しくキレている。


「花さん、もしや彼氏さんですか?」


 ツッキーさんが気まずそうだ。


「違います!」

「花さんの家から出てきましたけど?」

「弟です。一樹がすみません」


 ツッキーさんは納得したように頷いた。

 どうせ、ツッキーさんの呪いがきいてますよ~だ。


「花ちゃん!」

「あの、こちらはお隣さんのツッキーさん!今、飲み友達でね!」

「はぁ?こんなイケメンが飲み友達?飲んでそのまま押し倒されちゃうに決まってんじゃん!花ちゃん馬鹿なの?それともこの人に惚れてんの?」


 うわぁ~面倒臭い。

 

「今、面倒臭せぇなって思ったよね!」

「だって、一樹、お母さんみたいなんだもん」

「俺は花ちゃんが心配なの!無防備も大概にして!」


 ああ、一樹がツッキーさんみたいなこと言ってる。


「あっ、解ります。花さんは無防備ですよね!心配だからもっと警戒心持つようにこの前言ったんですよ」


 ツッキーさんが思いっきり頷いている。

 まあ、最近言われたばっかりだけど。


「………何、この人、良い人?」

「良い人だよ!じゃないと家にあげたりしないって」

「花ちゃんこの人にエロいことされたりしてない?」

「やめて!変なこと言って気まずくなったらどうしてくれんの?」

 

 やめてくれ!ツッキーさんと気まずくなりたくない。


「まあ、こんなイケメンなら花ちゃんみたいな貧乳にエロいことなんてしなくても巨乳引っかけ放題か」

「一樹、歯食いしばれ」


 思わず一樹の胸ぐらを掴んだ。


「花ちゃん、男ってのはオッパイが好きなの」

「私だってでかくしたくてなるなら、とっくに巨乳になってる」


 こないだのオッパイ揉ませ事件だってもう少しツッキーさんに良い思いをさせてあげられたかも知れない。


「花さん、弟さん顔ひきつってるから」

「ツッキーさん、止めないでください!一樹が彼女にこんな心無いこと言わないように体に覚えさせるんです!」


 ツッキーさんに心配されるなんて、一樹のくせに生意気だ。


「俺は花さんぐらいが好みですよ」


 ツッキーさん、それ、慰めてると思ってんの?


「お兄さんちっパイ好き?俺は巨乳が良い!」

「一樹の好みなんか聞いてない!」

「でも、弟さん、全員とは言わないけど巨乳って自意識過剰で胸触らせたら男は皆、言うこと聞くと思ってるやつが多いですよ。なんつうか……性格悪い」


 ツッキーさん、巨乳にまで何かの技を繰り出されている。


「目の前に巨乳が現れた!巨乳の攻撃ボディータッチ!巨乳が胸を押し付けてホテルに連れ込もうとしてくる!みたいな?」

「花さん、どっかで見てました?」

「本当に!ツッキーさんその後どうするの?ホテルに行っちゃうの?」


 本気で興味があって聞いたのに一樹とツッキーさんに残念な人を見る目をされた。


「花ちゃん、玄関先で聞く話じゃないよ」

「じゃあ、一樹がツッキーさんを家に上げれば良いだけでしょ!」

「花ちゃんがエロ下着持ってないかチェック中」

「本気でやってたの?馬鹿じゃないの?………ってどんなチェックの仕方してんの?………ツッキーさん、5分待ってて」


 私は急いで一樹を押し退けて部屋に入って寝室を覗いて大絶叫したのだった。


花ちゃんはお兄ちゃんと弟がいます。

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