表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/87

部隊の現状

 気がつくと、自分のトレーラーで、制服を着たまま、ベッドの上だった。昨夜も酔いつぶれたみたいだな、とミラー中尉は強張った頭皮をマッサージする。自分の吐息からホルムアルデヒド臭がした。

 記憶は、まったくなにもない。誰かに迷惑をかけていなければよいのだが。


 すでに、通常の勤務時間に入ってずいぶんになる、具体的にはもう、日暮れが近いのだけれど、誰もミラー中尉を起こしにはこなかった。


 この頃、毎晩酔いつぶれているミラー中尉の惨状は明らかで、もしかしたら若い兵士たちに気を使われているのかもしれない。


 すでに命令は下されていて、手続きはミラー中尉の指示を待つ状態だった。準備を整えたと報告すれば、トルコ・インジルリク空軍基地に展開する米軍の航空部隊は、焼夷弾頭による精密爆撃を準備することになっていた。

 野犬と防疫キャンプを焼き払う為の弾頭だ。引き金を引くのは、ネイサン・ミラー中尉の役割だった。それが、ここ数日酔い潰れている理由だ。


 シモーヌや、イツキ、その他のスタッフ達を、患者ももちろん含めて、行動能力を奪い足止めする。

 まるで、火を放つ前に十字架にかけるような仕事だ。


 いつまでも、先送りすることはできない。けれど、他になにか方法はないのか? と、ネイサン・ミラー中尉は考える。感染者数が増えているのも事実だ。学者が危惧するように、飛沫感染が起こるのであれば、このまま放置すれば、爆撃による悲劇とは、比べ物にならないほど多くの死者が発生することになる。


 シャワーを浴びて、髭を剃る必要があったけれど、職務上、部隊の現状を把握するのが先だと考えた。


 部屋を出て、ミラー中尉はすぐに異変に気付いた。

 多国籍軍として参加したミラー中尉の部隊は、六台のUGV9(スプリガン)を、二十人の兵士で運用し、『ハルシオン』のチームとシフトを組んで防疫キャンプの警戒に当たっている。六台が一時に参加するのはコスト負担が大きい為、警戒任務は四台でこなし、残りの二台は待機状態を維持している。

 だから、日中でも出張駐留基地には、手持無沙汰な兵士がうろうろしている筈だった。

 だが、トレーラーを出ても、兵士の姿は、一人もいなかった。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ