任務中に発情する部下
米軍のシフトは、もう六時間も遅れていた。部隊の代理指揮官――ミラー中尉は二日酔いだそうだ――ウィルソン一等軍曹は、指揮操縦車両の不調を訴え、迷惑をかけたことについて謝罪した。
アリシアはもうひとつ腑に落ちない気分で、その謝罪を聞いた。
【ピクシー】もそうだが、無線操縦戦闘機械のデータリンクは、電子妨害《ECM》環境下でも簡単には制御を失わない、複雑で頑強な代物だ。
あらゆる帯域の電波信号、不可視レーザー、衛星経由信号、暗号化も行い、二重三重のフェイルセーフで構成されている。
逆に、簡単に故障されるようなシステムでは、戦闘できるわけがない。
米軍の故障連絡は、どう考えても理屈に合わなかった。
交代要員がいないので、結果的に超過勤務となって、トラッシュはいつものように、ぶーたれた。
「なあアリー。オイラ、彼女と約束しててさ」
「じゃあ、落ちれば。べつにここにいてくれって頼んでないんだけど。せいぜい貢いでくればいいじゃない」
「それは失礼だぜ、アリー。オイラの彼女は、ほんっとにいい子なんだから」
いい子はブランドのバッグをねだったりしないわよ! と思ったけれど、それを口にするのはあまりにも残酷なので、アリシアはキオミに助けを求めた。
「キオミ、こいつ遮断して。うざい。ここにいて欲しくない。任務中に発情する部下いらない」
『賛成。すぐに手続きする』
「ひどいな二人とも」
チャーリーは会話に加わらず、ぷぷっと笑っていた。




