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僕《スウィンダラー》は決して正義を騙らない。  作者: 雉里ほろろ
第一章:王女と嘘つきの国盗り
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第四話:決意と意志は揺らがない

毎日小説を投稿していらっしゃる作者の方々ってすごいですね。尊敬します。

私には無理そうです…………。

 第四話:決意と意志は揺らがない



 あのまま王の間的なところから出た後、僕たちにはそれぞれ個室が与えられるとのことなのでそこに案内された。

 中に入ると、小奇麗なベッドと簡単なソファーにテーブル、そしてクローゼットがあった。

 そしてベランダこそ無いものの、大きな窓もついている。

「この部屋にあるものはご自由に使っていただいて構いません。入浴は大浴場がありますので、そちらをご利用ください。食事はこちらへお持ちします」

 この部屋まで案内してきてくれたメイドさんがそういう。

「なるほど、わかりました」

「では、失礼します」

 そういってメイドさんは部屋から出て行った。


「さて、と」

 とりあえず着ていた学ランを脱いでクローゼットの中にあったハンガー(らしきもの)にかける。そしてそのままふかふかしてそうなベッドに寝転がった。

「うわー、ホントにふかふかしてるよ。―――ってそうじゃなくて、スキルの確認しなくちゃいけないんだった」

 危うくそのまま寝てしまいそうになったので慌てて上体を起こし、さっき貰ったステータスカードを取り出す。


「確か、これでスキルの詳しい説明が見れるんだったよな」

 スキルによって使える技が異なったりするらしいから確認しておかないと。


「さってと、それじゃ見てみますか」

 ステータスカードを再びおでこに当てて詳しい説明が見れるように念じる。こうすれば頭の中に情報が入ってくるらしい。

 そして僕の詳しいスキルの情報はすぐに頭の中に入ってきた。何か気持ち悪い感覚だな。


『【言語理解ワード】 ランク:特殊

  異なる言語でも理解し、話すことが出来るようになる。 武技:なし


能力偽装スキルフェイク】 ランク:S

  自身の持つスキルを任意で偽ることが出来る。なお、このスキルは他者から確認されない。 武技:【能力偽装】


至高の演技アルティメットアクト】 ランク:SS

  演技力が格段に上昇する。 武技:なし


能力隠蔽スキルハイド】 ランク:S

  自分の持つスキルを任意で隠すことが出来る。なお、このスキルは他者から確認されない。 武技:【能力隠蔽】


欺瞞の詐欺師ペテン】 ランク:SS

  相手を騙すとき、相手がそれに絶大に騙されやすくなる。 武技:なし


大嘘吐きライアー】 ランク:B

  嘘をつくとき、嘘を見抜かれにくくなる。 武技:なし


煽動家アジデーター】 ランク:A

  大勢の大衆に自分の言葉が響きやすくなり、大衆が自分の言葉に流されやすくなる。 武技:なし』


「おおう、何ともまぁ、僕向けなスキルだな」

 直接戦闘力は皆無だけど、色々と出来そうだ。というより、元の世界でも僕はこのスキルを持っていたんじゃないだろうかといわんばかりに僕にピッタリのスキルが揃っている。周りに隠していたこともスキルを隠すスキルで再現されてるし。そこのところどうなんだろう。

「確か使えば使うほどこの武技って言うのが増えていって、さらに使えば上位のスキル変化することもあるんだったな。……ほとんど武技とやらが無いけど」

 この場合、ゲーム的に言うと僕にはパッシブスキルばかりでアクティブスキルがほとんど無いってことになるのかな。


「ふぅ」

 ステータスカードをポケットに仕舞い、ため息を吐いてそのままベッドに仰向けに倒れこむ。背中が柔らかいベッドに沈む。


「知らない天井……的なお約束ネタを一つ入れておいてと…………………ほんとに異世界なんだなぁ……」

 寝転がって気がゆるんだ所為でなのか、ここにきて自分が本当に異世界にやってきたんだと自覚する。

「……こーゆー自覚って、普通お話の中じゃ、初めて魔物や人を殺したときにするもんじゃないの?」

 僕は前世ではそれなりにはネットに浸っていた。おかげでいわゆる転生モノの小説も知っているし、そういったものは異世界転生とかで手に入れたチートを使っての無双か、知識と現代技術による無双かが多かった。

「これからどうするかな……」

 木下くんや早乙女さんや椎名さんは勇者の名に相応しいチート能力を持っていたからそのまま勇者をやるんだと思うけど、さ。

「僕の場合チートは……ないし、リアルな話、喧嘩なんてしたことない僕自身に戦闘能力は皆無だし、現代知識………魔法があるんなら………コタツくらいなら作れるかも? 火の魔法とかで。……それはそれで便利そうだし欲しいかもだけど―――どう間違っても銃とかそういう近代兵器関係やら精密機器なんかは無理。僕はあくまでも普通の男子高校生でしかないしね」

 銃の知識なんていくつか有名な銃の名前を知っているくらいでしかない。銃やら戦車やらの構造なんてこれっぽっちも分からない。

「内政チートっていっても、暇つぶし感覚でシュミレーションゲームを齧ってたくらいで、内政やらは実際にできるかって言えば出来なくは無いかもしれないけど、どう頑張ってもチートは無理そうだよなぁ。―――あ、歴史の授業で習った千歯こきなら仕組みが分かるか。この世界にお米があるのか知らないけどさ」

 お米はあって欲しいかも。日本人の魂だから。欲を言えば醤油と味噌も。

 とにかく、今の僕じゃ、お話の中みたいに無双をしたりできないし、逆にひっそり生きていくのも呼び出された以上不可能に近い。このままじゃ逃げ出してもすぐ捕まりそうだし。


「でも、せっかくの異世界なんだよなぁ―――」

 そう、異世界。剣と魔法の戦争の起こる、血生臭い異世界。周りと同じじゃないと弾かれるような、空気を読んであわせなくちゃいけないような、そんな学校とも、日本とも違う。やりたいと思ったことを行動に移せる舞台。

「―――――だったら、僕に出来ることをすれば良いか」


 騙す。


 この世界では騙したほうではなく、騙されたほうが悪い。だったら、全部欺いてやりたい。全部手の平の上で転がして、僕の手の平がどれだけ大きいのかを確かめたい。

 スキルもそのためにそろえられたようなスキル。だったら思う存分、僕の出来る限り騙してやる。

「そう、僕は嘘が得意なただの高校生なんだから」

 悪魔の囁き。僕は囁く側だ。

 ベッドから起き上がって部屋の窓から空を見上げる。

 そこには、星一つ見つからない、月明かりすら見当たらない真っ黒な空が広がっていた。

 ここが舞台。

 僕の嘘を正々堂々と使えるせっかくの舞台。楽しまなきゃ。

「それじゃあまず何をしようかな。とりあえず、僕の安全が第一だからこの国をどうにかしないといけないよなぁ…………。それに、木下くん達はいい人だからきっといいように使われちゃうよね」

 あの王様も、王女様も信用なんて出来ない。そもそも、嘘をつくならもっとばれないようにしなきゃ。

 あの王様が木下くん達勇者に何をやらせたいのかは知らないけど、まあたぶん碌なことじゃないんだろうな。

「だったら引っくり返しますか。まずはこの国から」

 まず何かをするにはきちんと地盤を固めてから。何かをするときの基本。

 僕のやりたいようにさせてもらおう。


「僕の戦場で、ね」

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