6.瞳の推理
推理ショーじゃねえからな。間違えるなよ?
旅館に戻ってきた瞳は、部屋のベッドで横になっていた。
事件の事について何か考えているのだろうか?
その時、扉を叩く音が聞こえた。
瞳は起き上がると、扉を開けに行った。
「戻ってたのか。お前、今まで何処にいたんだ?」
そう言ったのは、光一である。
「何処って、麓の交番だ」
「何でそんな所行ったんだ?」
「15年前の轢き逃げついて話を聞こうと思ってね。
てか、中入れよ?」
光一は返事をすると部屋に上がった。
「で、犯人解ったのか?」
と、光一が唐突に聞いて来た。
「まだだ。
でも、大体読めてきたぜ。この事件が、計画的犯行だって事がな」
「計画的犯行?」
と、光一は首を傾げた。
「ああ」
「それで、その計画とは一体?」
「恐らく、15年前の復讐・・・」
「復讐?」
「さっきも言ったけど、15年前、麓の交番の目の前で、一人の女性が跳ねられて死亡した。
女性を跳ねた車は、止まること無く去って行った」
「それって、轢き逃げじゃん!」
「ああ。
それが、今回の事件を引き起こしたんだ」
「どう言う事?」
「15年前の轢き逃げ犯・・・中村さんなんだよ。
それが原因で中村さんは殺された。そう考えれば、全てが繋がるんだ」
「それで、犯人は?」
光一はそう聞くが、瞳は答えなかった。
「なあ光一、オレが寝てる間、何処にいたんだ?」
「風呂に入ってたぜ」
「そうか」
そう言うと、瞳は部屋を出て行った。
事件現場となった205号室。
今頃になって、警察の現場検証が始まった。
「何だ、今頃現場検証かよ?」
そう言ったのは、いつからそこにいたのか分からない瞳だ。
「こら、勝手に入るな」
そう言って、刑事は瞳を追い出した。
「絶対入って来るなよ?」
そう言って、刑事は部屋の中に入って行く。
「待てよ、オッサン」
そう言って、瞳は刑事を呼び止めた。
「何だ?」
と、刑事は振り向いた。
「オレ、犯人解ったぜ」
「何!?」
刑事は側まで来ると、
「教えてくれ!」
と、肩を掴んで言った。
「痛い、放せ」
「すまん」
そう言って、刑事は手を放した。
「それで、誰が犯人なんだ?」
「その前に、用意して貰いたい物がある」
「用意して貰いたい物?」
すると瞳は、刑事の耳元で囁いた。
「そんなんで犯人が捕まるのか?」
「ああ、確証は無えけどな」
「解った。用意しておこう」
「じゃ、食堂で待ってるぜ」
そう言って、瞳は去って行った。
一体、あの刑事に何を用意させようと言うのだ瞳は?
次回はいよいよ最終話!
皆さん、此処まで読んで下さって、本当に有難う御座います。