4.脅迫状
先に言っておくけど、場面の移り変わりには空白の行があります。
それと、感想に汚らわしいコメントはしないで下さい。
光一のマネージャー、折笠 清美の自宅。
彼女はベッドの中で眠っていた。
プルル、プルル
──突然、固定電話が鳴り響いた。彼女はそれで目が覚めた。
「もしもし?」
と、受話器を取って応答する。
「え、秋田県警?
はい・・・はい・・・。
えっ、中村さんが殺された!?
それって本当なんですか!?」
「ええ、本当です」
と、受話器越しに言う捜査一課の刑事。
電話の向こうからは、
「それで、場所は何処なんですか!?」
「新玉川温泉です」
「判りました。直ぐに向かいます」
そう言うと、清美は電話を切った。
ツー、ツー
──受話器にはその音が残る。
刑事はそっと、受話器を置いた。
旅館、新玉川温泉。事件はそこの205号室で起こった。
被害者は中村 総一。光一が出演するテレビドラマのプロデューサーである。
死因は胸を包丁で刺された事によるショック死。
死亡推定時刻は午後6:00〜7:00頃。
現場には血が飛び散っていた事から、殺害現場は此処である事が判明された。
これ、総て瞳が調べた事である。
気になる・・・一体、どうやって調べたのだろうか?
「何で、何でプロデューサーが・・・」
光一は自分の部屋でそう呟いて涙を流した。
「泣くなよ光一、男だろ?」
と、瞳は光一を宥める。
「人が殺されたってのに、お前は良く平気でいられるな」
「オレは・・・──元人殺しだからな」
「そうだったな。元人殺しのお前には判らないな」
そう言って、御機嫌斜めにした。
と、その時、折笠 清美が現場へとやって来た。
それに気付いた光一は涙を拭き、
「折笠さん!?」
と、彼女に声を掛けた。
「日下部君、どうして此処に?」
「泊まりだよ。今日と明日」
「そうなんだ。
あら、そっちの娘は?」
「こいつは・・・」
光一が言おうとした時、
「オレは黒田 瞳。光一のこれ、宜しくな!」
と、瞳が清美に小指を突き立てて見せた後、手を差し出して握手を求めた。
その隣で光一は赤面している。
清美は手を握り、
「こちらこそ宜しく」
と、微笑みながら言った。
刑事を前に、清美は一枚の封筒を取り出す。
「これは?」
と、刑事はそれを受け取り、中身を取り出した。
┌─────────────┐
│ │
│お前が15年前に轢き逃げを│
│した事は既に知っている。 │
│バラされたく無ければ、新玉│
│川まで口止め料1000万持│
│って来い。さもなくばお前の│
│命は無い。 │
│ │
└─────────────┘
これは、誰がどこからどう見たって脅迫状だ。
「これ、中村の下に来た奴のコピーです。本物は中村の荷物にあると思います」
「それってこれの事?」
そう言って一枚の紙を取り出したのは瞳だ。
その紙には、先ほどのと同じ物が書かれていた。
「おい、これ何処にあったんだ?」
「遺体の内ポケットの中。あんたがオレに手錠掛ける直前に見付けたんだ」
「あ、そう・・・。取り敢えず、これは証拠品として押収しておく」
そう言って、刑事は袋に入れた。