イミタリスの丘
むかし、イミタリスという大男が森に住んでいた。大きさは小山ほどあり、歩く度に重い鐘のような音を鳴らしていた。人々はそのあまりの大きさに恐怖した。イミタリスは普段海岸でじっと動かずにただ眠っていた。イミタリスは時折大きなクシャミをした。そのクシャミはまるで山が火を噴くように大きな音で村人は驚いていた。
ある時村人たちはイミタリスのクシャミに嫌気がさし、遠方の神が住む村に頼みに行った。村人は神様にイミタリスを退治してくれと頼むと神様は悲しそうな顔で言った。
『その願い叶えるが本当に良いんだな』
村人が小指を差し出すと神様は一人ずつ小指を噛みちぎり、本を取り出し読み上げた。
村人たちが帰ってみるとイミタリスは石になって森に横たわっていた。村人たちは大喜びしてイミタリスに砂をかけ埋めてしまった。
村人たちはそうして出来た丘をイミタリスの丘と呼んだ。
しかし半月が過ぎた頃イミタリスが居ないせいで村に強い潮風が吹き込んでくるようになった。畑の植物は枯れ家畜たちは寒さで死んでいった。ただイミタリスの丘の後ろだけは森が枯れずに残っていたので村人はそこに移り村を再建し、自分たちの行いを悔いた。