第3話
「という訳で、早速出発するわよ」
「え?どこへ?」
「ここにいたら危険なの。分かるでしょう?さっきの奴らを忘れた?」
「こんなこと言うのもなんだけど…また焼いちゃえば?」
「まだ力が完全じゃない。ちょっと体がなまってるわ。数が多かったりすると困るの。」
「なるほどぉ。で?どこ行くって?」
「とりあえず」
「とりあえず?」
「走って逃げるわよ!」
「えーー!!」
こうしてマホロとルベライトはその場を後にする。
「ぜぇ、はぁ…」
「ちょっと、なにもたついてんの?遅い!」
「そんなこと言ったって、僕まだ10才だよ?そりゃあ遅いさ!」
「しょうがないわねぇ…」
と言うと、ルベライトはマホロをお姫様抱っこして走り出した。
「どわー!な、何すんの!?」
「ほら、とっとと行くわよ!」
さすがは魔剣といったところか、マホロを抱えたままかなりのスピードだ。
「ところで君、道知ってるの?ちなみに僕は知らないよ?修学旅行生だからね。土地勘はゼロさ」
「…わよ…」
「え?」
「知らないわよっ!」
「はぁ!?じゃあどこに向かってるって?」
「とりあえず、ここから去れればそれでいいの!」
「テキトーだなぁ」
そんな2人の前に、1人の男か立ちはだかる。
「待て」
男が言った。かなり風格のある男だ。
「ほら言わんこっちゃない。迷走してるから。また君のお友達だ」
「はいはい。もう一回私が剣に戻るから、またやりなさい」
「またぁ…?もう人殺しはやだよ…」
「じゃああなたが代わりに死ぬ?」
「しょうがないなぁ~。じゃあ…エイッ!」
再び先ほどの大火災が起こる。
「はい。じゃあ行くわよ!」
しかし。
「待てというのが聞こえないか?」
男は立っていた。しかも無傷で。
「あれ?生きてるよ?よかったぁ~、また殺しちゃってたらどうしようかと思った」
「…うっそぉ…」
ルベライトは露骨に動揺する。
「今度はこちらからだ」
そう言うと男は剣を振るった。
「避けて!」
「へ?」
するとマホロの居た地点の数メートル右に攻撃が炸裂し、巨大な光の十字架が立った。
「…う、うわぁ…」
マホロは完全に怯えてしまった。
「ルベライトさんや、僕もう降参したい」
「ダメに決まってるでしょ!」
そうすると、男は今度はこちらに向かってくる。
「小僧、その魔剣を置け」
「はぁ~い!て、あれ?手から離れない…」
「ほう、飽くまでやる気か」
「いやいやいや!そんなことないですぅ!こら!離れろルベライト!」
マホロは剣を握った手をブンブン振るう。
「やはりやる気ではないか。いいだろう、力づくでねじ伏せる!」
「ヒェー!誤解されとる!」
男の剣がマホロに振り下ろされる。すると
キィィィン…!剣と剣が交わる音がした。
「…あ、あれ?」
「ぼう、受け止めるとは、やるなぁ」
マホロの体は自動で動かされていた。ルベライトの仕業だ。
そのあとも男の剣を何度も受け止める。
「ひ、ひぃ!」
マホロはもう気が気でない。
「ちょ、ちょっと!おじさん誰?何者!?なんでもいい、一旦ストーーップ!!」
男の斬撃が止む。
「私は騎士団団長だ。それ以上は何も言う必要はない。さぁ、早くその魔剣を渡せ」
「ほら、君を欲しがってるよ?早く貰われなさい」
「逃げるわよ」
「え?」
「こいつには今は勝てない。逃げるわよ」
「え、どうやって…って、ぎゃぁぁーーー!!!」
魔剣は炎を吹き出しながら天高く舞い上がった。そして上空を滑空する。
「待てぇぇぇ!」
騎士団長は全力で走るが、空を飛ぶ相手には到底追いつけない。
「…ふん、逃がしたか。この件はあのお方に報告せねば」
マホロとルベライトはしばらく空を駆けた。
そしてある所に着陸した。そこは岩場だった。大きな岩と岩の隙間に入っていったのだった。
「な、何すんだいきなりこの野郎…」
「何って、ちょっと飛んだだけじゃない」
野郎でもないしとボソッと言う。
「で?ここはどこなの?」
マホロは聞く。
「とりあえずの隠れ蓑よ。しばらくはここを拠点に活動するわ」
「活動って何をするの?ルビー。推し活でもするの?てかちょっと酔ったんだが?」
「そんなわけないでしょう。100年経ってて一体だれを推すってのよ?」
「確かに、ルビー世代のアイドル僕知らないかぁ。」
グサッ ルベライトの手刀がマホロの頭に刺さる。
「痛いなぁ、何すんの?ルビー…」
「誰がルビーじゃあっ!!!」
ルビーが食い気味に言う。
「え?君だけど」
「分かってるわよ。そういうことじゃなくて、何を愛称つけとんねん!?」
「そりゃあそうだろう。呼びにくい。それに可愛いじゃないか、ルビー。あーカワイイ。」
「やかましいわ!」
「え~だってぇ~、正直言って可愛いんだからしょうがなくない?見た目がいい方だって君自身も分かってるだろ~?」
「アンタは恥ずかしくないの?そんなストレートに…」
「え?ナニナニ?照れた?」
マホロはニヤニヤ顔だ。
「…はぁ~。アンタみたいなガキの挑発に乗るわけないでしょ。まったく。それと何でイントネーションが関西弁なのよ?」
ふ~ん。と、マホロ。
「ところで、活動ってホントに何すんの?」
「決まってるじゃない。私を封印した連中を1人ずつ焼きつぶしていくのよ…!」
「うわぁ…。ん?ていうか、100年前なんだよね?そいつってまだ生きてんの?」
「きっと生きてるわ。そうじゃなくたって末代まで焼きつぶす…」
「うわぁ…こりゃ復讐鬼ですわ。」
「何ですって!」
「い、いえ、なにも」
「ふーん。それじゃあ早速作戦を練るわよ!」
「へ、へ~い。」
こうしてマホロは復讐の片棒を担がされるのだった。
3話までお読みいただきありがとうございます!
復讐鬼さんにようやく名前が付きました。これからこのでこぼこコンビがどう変わっていくのか……
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