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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

スイレン

作者:アポクリファ=ヴェリタス
初投稿により

文体構成の粗、誤字対 脱字等どうかご容赦ください


なおこの小説は
1ページ 5000字前後
語り部口調(登場人物の台詞有り)
主人公の名前は一切作中で語られることはない
作品となっています


黙示を観測する者へ

――この物語は、あなたを選んだ。
あなたが頁を開いたのではない。
頁が、あなたを観測したのだ。――

世界は九つに裂かれた。
光は祈りを捨て、闇は涙を覚え、
神々は秩序を語りながらも、自らの理を忘れた。
大地は血を啜り、空は沈黙し、
海は死を愛した。

やがて、理は壊れ、言葉は死んだ。
祈りが通わぬ神殿、笑わぬ英雄、崩れ落ちる塔。
誰もが救いを望みながら、
誰一人として“生きる意味”を知らぬまま、
ただ世界は、終わることを繰り返していた。

しかし、それでも、世界は終わらない。
なぜなら、“終わり”という概念すら、既に壊れていたからだ。

記録は呼吸し、魂は観測され、言葉は世界を縛る。
そしてこの小説もまた、観測の一部である。

この物語は、語られない。
それは記録され、保存され、
そして、あなたに“読まされる”。

読むという行為は観測であり、
観測は干渉であり、
干渉は罪である。

あなたが一行を読めば、
一つの魂が滅び、
あなたが息を呑めば、
一つの理が塗り替えられる。

この世界は、あなたの理解を測る鏡であり、
あなたの無知を暴く審判でもある。
この物語を読み終えたとき、
あなたは観測者ではなく、
被観測者となるだろう。

やがて頁は問いかける。

「あなたは、まだ現実を信じているか?」

この問いに答えられぬ者は拒絶される。
理解できぬ者は頁の外に弾かれ、
理解した者だけが、“観測の記録”として世界に刻まれる。

この書は誰にでも開かれてはいない。
選ばれた者のみが読み、
読まれた者のみが存在を許される。

――世界は、終焉の後に続くものではない。
 終焉そのものが、世界なのだ。

血は静かに流れ、
花は沈黙のうちに咲き、
神々は己の祈りに溺れて死んだ。

そして、ただ一つだけ残された。
「記録すること」。
それこそが唯一の罪であり、唯一の救い。

この物語はあなたを赦さない。
だが、あなたを拒まない。
それが、この世界が最後に残した“慈悲”である。

――ようこそ、この観測の世界へ。
  あなたが今、選ばれた読者である。
エピローグ 1
2025/10/29 03:03
エピローグ 2-1
2025/11/02 03:57
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