『十日間で火星へ』第一部:軌道カタパルト計画発動 第二十節:「バックアップクルーの家族への手紙」
### 1.ジャン=ポール・デュボワ(フランス/操縦・整備)
**Français(フランス語原文):**
Ma chère maman,
Cette fois, je ne partirai peut-être pas sur Mars, mais chaque minute d’entraînement fut une aventure.
Si l’on m’appelle, je serai prêt, et si non, je soutiendrai mes amis de tout mon cœur.
Je pense à toi sous ce grand ciel.
Ton fils,
Jean-Paul
**日本語訳:**
親愛なるお母さんへ
今回は火星へ行けないかもしれない。でも、訓練の一分一秒が冒険でした。
呼ばれればすぐに行くし、そうでなければ仲間たちを全力で支えます。
この大きな空の下、いつもあなたのことを思っています。
あなたの息子 ジャン=ポール
---
### 2.張 薇(チャン・ウェイ/中国/通信・科学観測)
**中文(中国語原文):**
亲爱的妈妈,
虽然我作为候补队员,未必会登上火星,但我为自己能为这个伟大的计划贡献一份力量而自豪。
无论我是否出发,我的心都与你和团队同在。
请放心,我会照顾好自己。
薇
**日本語訳:**
親愛なるお母さんへ
私はバックアップクルーとして、火星に行けないかもしれません。
でも、この偉大な計画の一員として力を尽くせたことを誇りに思います。
出発してもしなくても、私の心はあなたと仲間たちと共にあります。
心配しないで、必ず元気でいます。
薇
---
### 3.アレクサンドル・スミルノフ(ロシア/資材・重機)
**Русский(ロシア語原文):**
Дорогие родители,
Я остался в резерве, но каждый день здесь — это новая вершина.
Я горжусь тем, что могу быть частью команды.
Если потребуется — я буду готов.
Целую,
Александр
**日本語訳:**
親愛なる両親へ
僕はバックアップクルーに残りましたが、ここで過ごす毎日が新しい山を登るような気持ちです。
このチームの一員であることを誇りに思います。
必要とあれば、いつでも行く覚悟です。
愛を込めて
アレクサンドル
---
### 4.キャサリン・ブラウン(米国/医療・衛生)
**English Original:**
Dear family,
As a backup, I may not leave Earth, but I’ve learned more than I dreamed possible.
If called, I’m ready; if not, I’ll cheer the team with all my heart.
I love you, and I hope you’re as proud of me as I am of you.
With love,
Catherine
**日本語訳:**
親愛なる家族へ
バックアップクルーとして地球を離れないかもしれないけれど、
ここで想像を超える多くのことを学びました。
もし呼ばれれば行くし、そうでなければ心からチームを応援します。
みんなを愛しています。そして、私がみんなを誇りに思うように、どうか私のことも誇りに思っていてください。
愛をこめて
キャサリン
---
### 5.イブラヒム・ファラジ(エジプト/基地設営・生命維持)
**العربية(アラビア語原文):**
يا أمي العزيزة،
قد لا أذهب إلى المريخ هذه المرة، لكن وجودي هنا شرف كبير.
إذا احتاجوني، سأكون مستعداً.
أدعِي لي، وكوني فخورة بي كما أنا فخور بك.
ابنك،
إبراهيم
**日本語訳:**
親愛なるお母さんへ
今回は火星に行けないかもしれませんが、ここにいられること自体が大きな誇りです。
もし必要とされれば、すぐに行く覚悟です。
どうか祈っていてください。
そして、僕があなたを誇りに思うように、あなたも僕を誇りに思ってください。
あなたの息子 イブラヒム
---
### 6.山本 純一(日本/航法・記録)
**日本語原文:**
父さん、母さんへ
本番クルーにはなれなかったけど、影から支えるのも大切な役割です。
みんなの努力が無事に実を結ぶよう、全力で準備と記録を続けます。
心配せず、誇りを持って見守ってください。
必ずまた笑顔で会いましょう。
純一
いよいよ、プロローグで描かれた、発射の時がやってきました。次話では、クルーへのインタビューを描きます。