『十日間で火星へ』第一部:軌道カタパルト計画発動 第十九節:「もう一つの勇気――バックアップクルー選抜」
### 1.**バックアップクルーの選抜会議**
訓練場の会議室、選抜チームの前に新たな名前が読み上げられる。
アリアがゆっくりと語る。
「本番クルーと同じ条件、同じ鍛錬を積んできた仲間たちです。
どんな時も、全員が同じ“火星への道”を歩んできました。
彼らがいなければ、この計画は成立しません。」
主任アルノーがリストを掲げる。
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### 2.**バックアップクルー名簿**
* **ジャン=ポール・デュボワ(フランス/操縦・整備)**
* **張 薇(チャン・ウェイ/中国/通信・科学観測)**
* **アレクサンドル・スミルノフ(ロシア/資材・重機)**
* **キャサリン・ブラウン(米国/医療・衛生)**
* **イブラヒム・ファラジ(エジプト/基地設営・生命維持)**
* **山本 純一(日本/航法・記録)**
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### 3.**現場の雰囲気――静かな誇りと主役クルーとの交流**
本番クルー発表の後、バックアップクルーたちは一瞬だけ悔しさと安堵の入り混じった表情を見せる。
だがすぐにお互いを讃え合い、主役クルーに握手とエールを送る。
ジャン=ポールがピエールにフランス語でささやく。
「君が行くなら、僕の魂も一緒に火星へ行く。」
キャサリンがエリックを抱きしめ、
「あなたが倒れそうになった時は、私たちが後ろで支えてるから。」
山本はアリアに深く頭を下げる。
「必ず“記録”は残します。地上で見守る僕らも、あなたたちの仲間です。」
イブラヒムとアミナは、エジプト語で家族の話をしながら祈りの言葉を交わす。
張 薇とリーは静かに計算式を確認し、どちらが行ってもベストを尽くすことを誓う。
アレクサンドルはリディアと笑いながら肩を組む。
「次は俺たちが月を狙う番さ。」
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### 4.**訓練最終夜のバックアップクルー座談**
夕暮れ、バックアップクルーだけの小さな集い。
焚き火を囲んで、苦しい訓練や友情、家族への想い、
「主役じゃなくても未来を支える誇り」を語り合う。
キャサリンが静かに言う。
「本番クルーに何かあれば、私たちが行く。けれど、彼らの無事を誰よりも願っているの。」
張 薇がノートを閉じて微笑む。
「私たちは“影の火星飛行士”――でも、この影があってこそ、道が照らされる。」
ジャン=ポールが締めくくる。
「本番クルーの笑顔が、僕たちの勲章さ。」
遠い台地の星空の下、
“もう一つの勇気”が静かに輝いていた。
次はバックアップクルーの家族への手紙を**各国語(フランス語・中国語・ロシア語・英語・アラビア語・日本語)**で書きます。