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夢の途中 ep9

視点が礼奈になります。

苛立ちが抑えられず、スマホの画面に憎い相手に連絡をし何回かのコールで「もしもし」と応答が出たのが聞こえた。


「いきなりぶっ込んだ配信してくれたじゃない。何なのあれは、聴いていないんですけど。ずかちゃんなんか何が起こったのかわからなくて、その後ご飯食べずに寝ちゃったわよ。」


文句を言うも苦笑が聞こえてくる。悪いとは思っているだろうけど、全然反省はしてないだろうことが分かるからだ。


「あはは、ごめんごめん。でも急ぐ必要があったんだ。ずかちゃんは大丈夫だろうけど、れいちゃんは・・・そうでしょ?」


もっと文句を言うつもりでいたが、その言葉に詰まる。礼奈は何故バレたのかが分からないがこの男に嘘は通用しないのをムカつくが知っている。


「だから急ぐ必要があったんだ。時期尚早かもしれないけど、手っ取り早く販売にこぎつけてデビューすればまた数年は遅らせられる。・・・近年の高騰で作物値付けが厳しいから親御さんに帰ってこいって言われているんだよね。」


本当に全てこの友人にはバレているのかが分からないが、確かに礼奈は親の反対を押し切ってこの場所にいる。最近特にうるさく催促が来ると思っていた。それ以外にも何か理由がありそうだが。


「配信で正体バラすつもりだったんだけど、今日久々にずかちゃんに会ったら怖くなって逃げちゃったんだ。」


「は?どういうこと?ずかちゃんに会ったの?どこでよ」


聞けば、今日の日中に会社に行って社長と面談をしたらしい。作業服まで着込んですることかと思ったけど、そのおかげで鈴花にはバレずに済んだよと楽しそうに喋る友人の声に額に手をかざす。


「今更怖気づくなんてね。やっぱり8年の月日はでかいわね。」


「昔から逃げるのだけはうまかったけど、今回は本当に助かったよ。それよりこれからの話しをしようか。一応、秘密保持法の書類に社長がサインしてくれたからバレる心配はないけど。あの社長ならバラすことはしないだろうね。」


礼奈はその言葉を聴いてだろうなと思った。社長はテンパると何しでかすか本当に分からないほどのトラブルメーカーだが一人一人に寄り添ってくれる数少ない理解者だ。親の反対を押し切ってまで着たことを話したら、その場で私の実家に向かい親に土下座してまで頼んでくれた人だ。フットワークが軽すぎて振り回される事はあるけど、何故か憎めない人でもある。


「来週以降から歌の収録する手筈にはなっているから、そのつもりでいてね。今週には楽曲をそちらの社長に届く予定だから」


「わかったわよ。それよりいつバラすつもりでいるのよ。」


確信ついたが良い反応は得られなかった。酷い別れ方をしたから分からなくはないけど、鈴花が傷ついたのを見ていた礼奈としては、早いとこ会って欲しいと願っている。


「まあ、当分はないと思ってよ。僕の方もこれから忙しくなるから、それどころじゃなくなるだろうし。また近い内にれいちゃんに連絡すると思うからさ。それで許してね。じゃまた、妹をよろしくね〜」


最後聞き捨てならない言葉を聴いて慌てて問い質すと、シスターズに自分の妹が所属している事を初めて聴いた。山本なんてよくある名前だから完全に失念していた。本人は「凄い偶然だよね」と言っているが、そんなことはない。確実にこの男が仕組んだことに違いない。


「きー君め、最大級の爆弾よこしてくれたわね。」


鈴花のメンタルが回復するのはまだ先になりそうだなと思い、目下の心配事は今週の鈴花のホラーゲーム2枠かと心配事が尽きない礼奈であった。

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