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夢の折り返し ep28

早々に収録が終わり、1人と取り残されたように感じた鈴花だったが周りのスタッフは忙しなく動いていて、町田やカメレオンは曲について話し合いをして収録スタジオを後にしていた。


新井に促されて、帰り支度をして礼奈と2人で事務所を出たがなんだか腑に落ちない感情が鈴花にはあった。収録が一発で終わったのは良かったがそれでもまだ詰められると思っていたからだ。


「う〜ん、良いのかな〜。もう少しリテイクがあっても良いのに、何でなかったんだろ?」


「えぇ?凄く良かったのに、何でダメ出しが来ると思ってるのよ。」


「でも、今日貰ったばかりの歌詞なのよ?甘くなってる部分なんかあるじゃない。粗さ出てる場所とかもあったと思うし。なによりぶっつけ本番で、はいOKですって言われても・・・・」


納得が言っていないように1人愚痴を溢す鈴花に苦笑する礼奈。鈴花は難しい顔でリテイクが何で出なかったのか、はっきりした答えが提示されたわけではないため分からなかったが礼奈はあれ以上はないように思えた。


鈴花は歌に感情が乗っている時、正確な発音や音程コントロール、リズム感をほとんどと言っていいほど外したことがなかった。礼奈が初めて気づいた時は鍵ニが曲を作って貰った時、嬉しそうにアカペラで歌を歌っていたのに外さずに歌いきっていた。


鍵ニもその時に気付いたはずだ、この子は天性の才能を持っていると、礼奈は少なからずその時に鈴花に嫉妬した。


この子は全部持っている子なんだと、歌だけで解らされた。でも関係が崩れなかったのは鈴花の人柄だった。辛い時に寄り添って、悲しい時には一緒に涙を流してくれた。自分がイジメを受けている時にも・・・


そして自分の事のように喜んでくれて笑顔に励まされて来た。どんなに辛くても鈴花と一緒なら越えられるとさえ、思っている。


「れいちゃん、やっぱりもう一回直談判しに行かない?もう少しやれば、何か良くなるかもしれないから。」


「無理だってば。さっきので収録終わったのに、直接言おうとも状況は変わらないわよ。ただでさえ締め切りすぎてるのにこれ以上伸びると同時発売出来ないでしょ?」


「うぅ・・・そうなんだけど。でも・・・」


まだ諦めきれないのか食い下がろうとするが決定権を、持ってるやつがこの場にいないことには何をしても覆ることはない。


仮に礼奈が持っていたとしてもあのレコーディングでOKは確実に出していたことだろう。


「ほら、予定より早く終わったから収録前に昼食抜いたんだしご飯食べに行こう。もうペコペコだよ。」


「ちょ、ちょっと待ってれいちゃん。わかったから押さないで。もう相変わらず強引なんだから・・・・・それで、何食べたいの?」


「う〜ん、悩みどこよね。朝食かちょっと小洒落た感じになったからカフェでも良いわね。あ、久々にニコの家に行きましょう。今日は定休日じゃなかったはずだから。」


そう礼奈が発言し、鈴花も礼奈の案に頷いて2人で昼食を取りにニコの両親が経営しているお店を目指した。

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