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夢の折り返し ep27

ブースに入り、録音用のマイクの前に立ちメロディを聴くためにヘッドフォンを付けて楽譜スタンドに歌詞を乗っける。


鈴花は目を瞑り、深めの深呼吸をして自分の今のコンディションを確かめてから、外にいる人に合図を送る。


良い感じに高揚している自分と、早く歌いたいという焦燥に駆られる自分がいた。


もう一度深く息を吐き、外にいる人が手を挙げてヘッドフォンからメロディが聴こえてきた。


歌い出しまで少し間奏があり、いざ歌のパートが始まると自分でも思っているより声のハリが良く出ていた。


バラードを歌うのはこれが初めてじゃない。でも曲調と歌詞が前のやつだと少し違っているように感じていた。でも新しい歌詞はちゃんとそれらがマッチングしている。


とても歌いやすく、楽しくそして懐かしい思い出を呼び起こされる。それは何でかはわからないが、また歌が好きになったように鈴花は感じていた。


前の歌詞が決して嫌いだからではない。でも前の曲は私が歌うようではなかったように新しい歌詞は私用にチューンナップされたと思えるほど、合っていて歌いやすくあった。


それと同時にやっぱりカメレオンは鍵ニなのではないかと思えてならなかった。前に鍵ニに作ってもらったことのある歌詞に近いものを感じたからだ。


でも今は鍵ニの事よりもこの曲と歌詞に自分の持てる力で歌いたいという気持ちが勝っていた。そして自然と歌詞に込められた想いが溢れ気づけば、鈴花は涙を流していた。


だが本人はそれに気づことなく歌を歌い続けていた。ブースの外にいる人たちは急に鈴花が涙を流したことにスタッフが止めようとしたが、それに待ったをかけたのがカメレオンと礼奈だった。


「感傷的な歌詞で思いがあふれているだけだと思うからこのままで。」


「ずかちゃん今が1番良いコンディションだからこのまま継続でお願いします。」


そう言われて、とりあえず見守ることになったがスタッフを始め新井と町田は少し不安そうに見つめていた。


基本鈴花は感情の起伏が激しい方ではない。のんびりしている方だと思っている人が大半だが、事歌に関して言えば誰よりも激しくなるのを知っているのはカメレオンと礼奈だった。


だからこそ、継続を願い出た。感情が乗りに乗っている時、自分に当てて歌う鈴花は感傷的な歌詞のときは泣いて楽しい歌詞のときは全力で楽しそうに歌う。日常生活ではそこまでの起伏が激しくない変わりに歌やダンスの時だけは誰よりも表情が饒舌になるようなものだった。


最後のメロディの部分に差し掛かり、感傷的に歌う鈴花はカメレオンに礼奈、スタッフ達が見守る中で歌いきった鈴花は外に向かって手を挙げた。


ブースの中でOKの曲が聞こえ、一度ブースから出てダメ出しがあるなら聞こうとカメレオンに近づこうとしたら、礼奈の持ってたタオルを顔面に当てられた。


「わっ!?なに?れいちゃんどうしたの?」


「ずかちゃん、良かったよ〜。泣いてたから拭きに来たよ。」


そこで初めて自分が泣いていたことに気付いて、目尻触ると泣いていたのが分かった。いや、それよりももう少しうまくできるかもと思ってカメレオンに声をかけた。


「カメレオンさん、何処か直すところとかありましたか。もう少し歌の長尺短尺とか色々工夫を「ああ、問題ないよ。一番いい出来だったから、これで収録は終わりだよ。お疲れ様。」


「・・・・え??」


まさかの1発撮り終わるとは思っていなかった鈴花は呆然とした。

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