夢の折り返し ep11
視点が鍵ニになります。
通信電話を切り、デスクの前に置いてある水を飲んで喉を潤し小さく息を吐く。
「ふう、何とか話しはまとまって良かった。」
柄にもなく、一月近く頑張り過ぎたせいか疲れが溜まった。だが想定内で収まり永井社長のとこの2人を確保出来た。想定外は鈴花の行動だ。あそこで踏み込んで来ることは想像できたが、あんなに行動力あったかな?と、思案する。
それでも問題はまだ片付けられないのが多いがあの2人が入れば、アクティブな配信も出来る。そして身辺周りが片付けば永井社長も後に仲間に加わる。
周辺は盤石になりつつあるがまだまだ弱い。事務所が少し大きくなったからと言って取れる選択肢が増えるわけではない。むしろ制約や規約で首が締まる場合がある。
「少しずつだが、着実に登ってる。今はそれで良しとしよう。しかし・・・・・」
ふとデスクの引き出しにある封筒を出して中身を出すと、そこには男性配信者がやって来た悪行の数々が書かれた書類がある。興信所に依頼した物がきたしこれであの男は刑務所から出られなくはなるが、暴力団の方は何も手応えがなかった。多分尻尾切りになるだろうとは思っているが、手を入れられないのはなかなかに歯がゆい。
「でも今はこれで喜ぶとしよう。この書類があれば、あの男と繋がりのある暴力団の動きを鈍らせることができる。」
コピーを何枚か取って、警察と芸能記者に売り込みに行こうと考えていた。金はいらないが、鈴花と礼奈の2人を邪魔するなら容赦するつもりはない。それだけ考えていたら携帯が鳴り、画面を見ると町田社長からだった。
「はい、山本です。・・・・はい、一応の説明は済ませました。ミカさんとココさんの2人もこちらに来ることなっています。ただ、住まいの提案をしようとしたらずかちゃんが家に住みなよと言って、その方向性でまとまってしまいました。」
当初の計画では、ずかちゃんの隣の部屋が空くから隣人にするように動いていたが、まああの部屋はそのままで配信活動始めたら2人にはあの部屋に住んでもらおう。
「はい、永井社長の方は・・・そうですか。警察の方には僕も後ほど伺います。興信所の書類が上がってきたので、警察と芸能の記者辺りに売るつもりで居ますので。・・・・はい・・・はい、永井社長によろしくお伝え下さい。それではまた後で、失礼します。」
電話を切り出した書類のコピーをする。事務所用のコピー機を1台買っといて良かったとこういう時に思うがあまり使い道がない。今回は助かるがそうそう出番がないことを祈る。年1では維持費が嵩むから、契約を切ろうかと考えてはいる。
「さて、コピーも終わりこっちの準備は整ったな。後はあの男と永井社長がいる警察署に行くとするか。」
スーツに身を包みながらそんな事を思う。懸念があるとすれば、楽曲が後少し足りないことぐらいだが・・・まあなんとかなるだろ。
そう楽観視しながら書類が入った封筒をビジネスバッグに入れ、自室を後にした。




