夢の折り返し ep2
会社での初配信はなんとか無事に成功を収めてから、少しずつ状況が変わり始めた。会社での配信の仕事は月に1〜2回ほどで、それほど多くはなかったが6人でわちゃわちゃとやれているのが良かったのか。視聴者の反応も上々であった。
ゲーム配信は今の所、案件が来たら6人で分担する形でサイクルを組んで行っている。やりたい物があった場合に備えて、同時配信やコラボなども交えつつ視聴者を飽きさせないように勤めた。
そんな中、シスターズの面々の曲のリリースが行われた。会社からの発信でカメレオンのチャンネルでも良かったのだが、業務提携としては会社からの方が良いとのことで会社のチャンネルで告知をして、それに合わせてMVを発信した。
今回はずらした販売方法ではなく、CDとDLの同時発売となった。ただCDの方にはVirtualキャラクターのポストカードにサインが入っているものが同封されることになり、CDの売り上げも好調だった。
CDやDL販売のおかげでシスターズの4人も10万に達していて、鈴花と礼奈は20万を既に超えていた。更に鈴花と礼奈の曲を出すことが決まり、レコーディング自体はまだまだ先だが忙しいながらも社長がちょくちょく顔を出しては体調を心配された。
そんな多忙な日々を送りながらもいつも通りの生活が出来ていたのは、単に社長の手腕だった。他が混む前に予め新井に予想できる事を話して、スケジュール調節をして負担を軽減させていたからだ。
案件も2人を名指しでして来る方が居たが、社長は包み隠さず話して相手に誠意持って接してくれていたため、大きな問題にならずに済んでいた。
社長は裏で動いているとはあまり思っておらず、忙しくも充実した日々を2人は過ごしていた。
そんな秋口に他社とのコラボがあるとあらかじめ聞かされていたが、全容が分からなかった。今日久々に新井から2人に社長からの呼び出しがあり、事務所を訪れていたのだが・・・・・
「えっと・・・この状況、何でしょうか。」
「事務所に知らない人が押し寄せて警備員取り押さえられてるのはわかるんだけど。なんなん?」
「2人、いらっしゃい。あれは見なくていいわ。キチ◯イが暴れてるだけだから。それより社長室に向かうわよ。」
何人かの女性が喚き散らしながら騒いでいるのはわかるが、なぜこんなことになっているのか皆目見当がつかなかった2人の言葉を新井がバッサリと切り裂いて、社長室に向かった。
社長室の前でノックをして新井が失礼しますと言いながら、入室をするといつものように応接用の席に腰掛けている社長がこちらに顔を向けて挨拶してきた。
「ずかちゃんもれいちゃんも久しぶり、元気そうだね。」
「社長も久しぶりです。・・・相変わらずですね。」
礼奈が返答するも3人の目はテーブルに向いていた。テーブルにお茶をこぼした形跡があったからだ。
「社長、二度と配膳しないで下さい。」
「そんな!これは私が落ち着くためにやっているのに。」
「こっちが落ち着かなくなるからです!!」
いつも通りの新井の怒気を感じる声で、意外と冷静になれる鈴花と礼奈だった。




