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夢への階段 ep26

社長の視点になります。

少し話しは長めかもしれません。

町田剛士まちだごうしは最初に就職したのはタレントを多く抱える企業のマネージャーとして働いていた。この業界に入ったのも夢を追う人達の手助けをしたいと思い、タレント事務所の門戸を叩いた。


この業界はタレントのシッターをするのがマネージャーの仕事だと先輩に教わってきた。蓋を開ければ表向きの顔をした人物がゴロゴロしている魔窟のように町田は感じていた。


タレントの愚痴のはけ口やタレント同士のいざこざの仲裁、しまいには暴力をしてくる人物もいる。マネージャーの仕事はそれだけでは終わらず、タレントのスケジュール管理、送迎や仕事前の打ち合わせなど、数えたらきりがないほど多岐にわたって事細かな仕事がある。


20歳でこの業界に入って5年が経とうとしていた。この仕事は多分自分には向いてないのかなと、漠然な考えに頭を悩ませている時に1人の作曲家に出会った。


その人は見目だけでも近寄りがく感じるが、人懐っこい性格で楽しそうに仕事をしている姿に良いなと、思っていた。


その方の名前は山本雅信やまもとまさのぶと言ってこの業界では知らない人が居ないほどの作曲家であった。私が雅信さんと出会ったのはタレントから小言を言われている時だった。


ふらっと来た雅信さんはそのタレントと話して数分で、はけ口にしていたのをやめさせてくれた。感謝とお礼を言いに行くと「気にしなくて良い。この仕事、マネージャーの力がないと回らないから。辞めないでね。」と、そう勇気付けられた。


でもそれがいけなかったのか。他のタレントに告げ口をされ会社からはお叱りの言葉を言われ、弁明をする間もなく退社を余儀なくされてしまった。


5年勤めた実績は意味をなさなかった。何をこれからどうすれば良いのかも判らず、公園のベンチで途方に暮れていた日に雅信さんと会った。向こうは最初は気付かなかったが、よく見ると見知った人だと分かり近づいて声をかけてくれた。


私の風貌が違うので心配そうに見つめる彼の目を見た時涙が止まらず、気づけば涙を流しながら訳を話していた。


私が退社させられた事を聞いて、雅信さんがとった行動が自分の専属マネージャーにする事に繋がるとは思わず、ただ呆然と話しを聞いていた。


正直、何が起こったのかわからなかった。


ただ私も呆然としているだけでは意味がないと思い、雅信さんのサポートを出来るようにがむしゃらに業務をこなす片割れで、音楽についても調べ上げていく。


マネージャーとしての業務と音楽のサポートを私はそこに心血を注ぐつもりでやっていた。雅信さんとはもともと、音楽は好きなジャンルが同じだったこともあって、仲良くなるのにそれほど時間もかからなかった。


私と雅信さんは8歳程離れているが、本当の兄弟のように接してくれていた。そんな時に雅信さんは一般の方と結婚した。名前は穂乃果ほのかさんという方で、物事をハッキリと告げるが夫を立てることも忘れない強かな女性だった。


その時に友達のサプライズで立たされ、号泣しながら挨拶をしたのは今となってはいい思い出だ。


でもそんな幸せな世界は長くは続かなかった。雅信さんが乗っていた車に運悪く居眠り運転をしたトラックが突っ込み、帰らぬ人となったからだ。


私は私用で出かけていたため、知らせを受けて視界が暗転したのを今でも覚えている。その日ほど、人生を呪ったことはなかった。

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