夢の途中 ep5
でもここ最近は前にも増して忙しそうにしているし、何かいい案件でも来たのかな。
「何か大きな仕事とかなんですかね?」
「さあ、わからないわ。一度だけ聞いたことがあるんだけど、案件は案件なんだけど・・・なんか守秘義務であまり言えないとか言っていたわよ。」
そんな大きな仕事か・・・・まだ私達の土台は盤石じゃないし、最近出来た妹グループ。フレッシュさと社長のようなフットワークの軽さを出して1日1回は誰かが配信をしている。出来てまだ半年しかたってないし、危なげな配信はあるものの皆が楽しそうに配信している。唯1人だけ映像が切れ何かの破壊音がして配信が飛んだ子が居たけど・・・概ね大丈夫だと思う。
「まあ、何にせよ。これだけ社長が奮闘してるなら相当な案件なんでしょうね。さて今週スケジュールだけど、実況が2本と歌1本といつものれいちゃんとの雑談でいいわね?」
「はい、大丈夫です。ゲーム実況のゲームはこの間のですか?それとも新しいのです?」
「残念だけど、ずかちゃんの嫌いなホラーゲームよ。しかも2枠ともね。」
一気に眉間にシワが寄ったのがわかる。ホラーゲームは結構・・・というよりかなり苦手な部類だ。どうしても恐怖が勝ってしまってコントローラーを落とすし投げ出し、終いにはれいちゃんがプレイをして悲鳴を上げてれいちゃんにうるさいとまでは言われてしまった。ただ、怖がっている様子や声がかなり視聴者刺さっているのは分かっているけど〜。
「ずかちゃんが考えてる事はわかるけど。でもね、ホラーゲームをやってる時のほうが視聴回数や投げ銭が多いのも事実なのよ。」
逃げられない。最初から選択肢が無い上に視聴者が求めているなら仕方がない。コメントにも書いてあったがホラーゲームでしか得られない養分ってなんだよ。意味が分からないよ。新井さんに渋々、本当に渋々了承する。本気で嫌だけど。
「ずかちゃんが聞き分けよくて助かるわ。シスターズはなかなかクセが強すぎる人が多いから柿崎マネージャーが嘆いていたわ。」
シスターズとは、先程出た妹グループで私達の他のVirtualキャラクターを担当するタレント達4人構成で成り立っているメンバーだ。会ったことはあるが、親睦会1回きりでまともに話しやコラボができていない。
「柿崎さんもタレント業兼任でやればいいのに〜。あのツッコミとか仕切り回しとか凄かったな〜」