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夢の途中 ep4

視点が鈴花に戻ります。

昨日、生姜焼きを作り礼奈と2人で食べた翌日。鈴花は企業の所属事務所に来ていた。今日はボイトレして担当マネージャーから今後の打ち合わせをしに来ていた。


「新井さん。たまには歌の収録したいですよ〜。」


「無茶言わないの、ずかちゃん。今は土台がまだ不安定なのよ。社長が頑張って仕事を取りに走り回っている状態だもの、なかなか仕事の依頼はないわよ。配信でも案件くれる企業はほとんどが大手や個人の起用に回してるし、今は視聴者を繋ぎ止める事に重きをおいてね」


私のというか私とれいちゃんの担当マネージャーの新井理香子あらいりかこさん。ネット配信に未来があると信じて突っ走る社長が捕まえてきた、敏腕で有能な人だ。シングルマザーで子供2人、何でも卒なく熟してくれるが、残業が死ぬほど嫌いな33歳の女性だ。


結婚した旦那さんの子供の暴力に耐えかねて、裁判を起こしお金を毟り取れるだけ毟り取り旦那の実家に怒鳴り散らし捨ててきた逸材だ。怒らせると無茶苦茶怖いし理詰めで退路を絶ってこちらが「はい」しか言えないようにする所に恐怖を感じる。そんな人でも社長の言葉を信じて私たちの面倒を見てくれるのは大変ありがたいと思っている。


「わかってますよ。社長には大変助かってますし、視聴回数のお金や投げ銭をこっちに多くくれるようにしてくれてますから。」


「わかってくれているなら嬉しいわ。あの人、突っ走ると本当に止まらないからこっちが不安になるのは仕方がないことだけどね。フットワークが軽いのは社長の利点だけど、この間なんて3日徹夜してご飯もろくに食べていなかったんだもの。デスクワークしてたのに会社寝泊まりして、ゴミ箱に携帯食1つの袋しか入ってなかったのを見た時は流石に過労で倒れるかもと驚愕したわよ。」


そんな話しを聞いて苦笑するしかない鈴花であった。社長には5年前の私とれいちゃんとの歌の配信を見て聴いて、お声をかけてくれた人で初めて会う時に緊張してた2人だけど、私達以上に緊張してた社長だがどもるしコップの中身こぼすし、あろう事か床にこぼしてしまった水に足を取られ転んで頭を打ち付け悶え苦しんでる姿を見るハメになるとは思いもしなかった。


でもそんな姿でも私達の動画を見て真摯に話してくれて、これからの事やこれまでの事を我が事のように考え導いてくれてきた。正直頭が上がらない。出来れば社長には幸せな奥さんが出来ればと思っている。新井さんだってまだ若いんだし。


「新井さんが社長の奥さんになれば、いいのにな〜。」


「やめてよね、ずかちゃん。社長の事は尊敬してるし福利厚生もしっかりしてくれているから好感も持てる。でもね・・・考えてもみて、結婚しても社長のフットワークの軽さで家に帰らない。ご飯も食べないし寝ない姿を見たら社長のストレスより私に来る不安やストレスで先に倒れる未来が簡単に想像つくでしょ?」


新井さんに言われたことが簡単に想像つくのは言うまでもなく、社長ならやりかねない。現に今の状態がここ最近続いているからだ。

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