夢への階段 ep2
引っ越しの夕飯に外食のため、家に居た新井家の子供二人と合流して、個室があるレストランを社長が予約していたらしく皆で談笑しながら食べた。大人数での食事に皆が皆会話が途切れることなく続いていた。
そんな楽しい出来事があった翌日、朝食にそばを食べ鈴花と礼奈は出掛けた。新居周辺の地理を把握するため、スマホで気になる場所を目印をして歩いていたが夏真っ盛りな天気に2人はバテていた。
「あぢ~〜、何件か見て回ったし家からの導線も頭に叩き込めた。そろそろ休憩しない?」
「そうだね。さすがにこんなに暑くなるなんて思わなかったよ。」
汗で服が張り付く感覚が嫌なのか、Tシャツの首元をパタパタとさせている。その行動を鈴花は止めなさいと言っても、暑くて無理と言って聞く耳を持たなかった。そんな礼奈の首元にカバンから出した冷感スプレーを噴射した。驚いた礼奈だったがかけられた首元がひんやりするのを感じて、鈴花の手に持っているのをふんだくってスプレーを噴射していた。
「ずかちゃん、いつの間にこんなの買ってたの?」
「買ったというか、汗臭かったらやだなって思って一応ね。熱中症対策に冷感シートとかもあるけど、濡らさないとできないから手っ取り早く冷たくなりたいならこっちかなって」
近場の喫茶店に入ると、渋い雰囲気が何とも言えない純喫茶のような佇まいで不思議と落ち着いている。中の冷房が効いてるのか涼しい空気を感じたが礼奈は首が寒いと言い出した。
「あまり噴射しないでね。かぶれたりするって聞くから。少しすれば、冷感も感じなくなるから。それより、近辺は一応何があるか把握できたけど。事務所はどの辺りになるだろうね。」
「ああ、だね。でも社長の事だから、近場に決めるでしょ。この辺りならシスターズの子達も行きやすいだろうしね。」
社長は若いけど、あれでも凄腕らしい・・・・(新井さん談)テンパるインパクトが強すぎるせいで他の評価が霞んでしまうとも言っていたが、それってマイナスなんじゃとは思っても口には出していない。
「おまたせしました〜。こちらアイスコーヒーとアイスティーで・・・・あれ?ずか先輩にれい先輩じゃないですか!」
注文にしか目を向けてなかったので、店員の方に向くと南道ニコがエプロンを着けて立っていた。
「ニコちゃん!?ここってニコちゃんの家なの?」
「そうです。うわ〜、先輩達が来るなんて思ってなくてびっくりしましたよ。」
「あたし達もよ。暑くて喫茶店入ったらニコの家なんて凄い偶然ね。で、今日は配信ないから店の手伝いをしてる感じなの?」
れいちゃんがそう聞けば、本当にそうらしい。配信だけだと不健康になりそうだから、率先して動くホールを担当していると言っている。遠くにいる夫婦でこちらを伺う様に見ているのでニコちゃんに言うと「大丈夫、先輩達だから2人も曲聴いたでしょ?歌っている本人達だよ。」なんてカミングアウトして、2人で焦ったが、よく見ると私達以外にもお客さんはいなかった。
「ニコ、流石にお客がいないからって顔出しNGのVirtualキャラクターの中身をバラすのはマズイよ。気をつけなよ。」
「あっ!!そうでした、すみません。先輩達に会えて嬉しくて失言してしまいました。」
礼奈の言葉でその事実に気づいて、ニコが申し訳なさそうに何度も謝った。




