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夢の途中 ep24

視点が山本鍵ニになります。

ころころと視点変えてすみません。次のページから鈴花に戻ります。

電話を終えた鍵ニは、ため息を付くとともに自室の椅子にもたれ掛かる。感情を爆発させた事で、いつもの自分では居られなかった。今の自分の精神状態がぐちゃぐちゃなのもわかる。


「ここまで来るのにかなり無理をした。それでも脇目を振らずに頑張ってきた。全ては、妹とずかちゃんとれいちゃんのために。」


株にFXや分譲アパートの売買や投資信託、下法にならないように細心の注意をしながら・・・なるべく家に居るようにして・・・佳穂に寂しい思いをもうさせないために。上の兄は僕を憎んでいる。妹は上の兄の記憶は朧げであまり憶えてないが父が生前の頃、父はミュージシャンでよく楽曲を作っては提供をしていた。


それを直に見ていた僕と兄は音楽にハマるのは必然でもあった。でも音楽の才能は僕と妹に行き、兄には引き継がれなかった。それから兄は僕と妹のことを避け始めた。両親が嗜めて表面上は仲の良い兄弟でいられた。本格的に決裂したのは父が事故で他界してから。


その兄が父の遺産を持ち逃げし渡米してしまった事。途方に暮れたが、生前父が兄の危うさに危惧して遺産を別けていた。そのお陰もあって何とか高校には、通うことが出来た。最初は高校すら通わないで働くと母に言ったがいい返事をくれなかった。


だから通いながら、早朝や内職をして家計を助けるために動いた。それでも大部分の負担は母にいってしまった。そんな時、仲良くなった早朝バイトの新聞屋が高校の近くのアパートを無料で貸してくれて、仕事の日数を増やしてもらいながら仕送りをしていた。


そんな時にネット配信で出会ったのが2人だった。仲良く和気あいあいと喋りながら、自分の生活に色がなかった人生に明るさを取り戻してくれた。


そして特筆すべきは、2人の歌声、礼奈は明るくも清涼感のある歌声を奏で鈴花は力強いく他を圧倒するような歌声に心から惹かれた。


そんな2人には惹かれていて、学校でも歌声を聴いていたがクラスメイトに声質が近い2人が居た。和気あいあいとしている姿に自分の好きな2人組とダブる事があった。意を決して、声をかければ自分が見ていた配信者の2人だった。


そこから仲良くなるのに時間はかからなかった。自分の音楽に対しての知識を2人に渡し、休日に家に帰り残っていた父の蔵書読み漁っては2人の歌声の糧にしてもらった。


2人は「いつもありがとう」「貰ってばかりでごめんね。」と、言っていた。いつも貰っていたのは自分なのに色や音楽に歌を僕に取り戻させてくれたのは2人なのに。中でも鈴花の歌に対しての愚直でひたむきな姿勢に惹かれていた。高校を卒業してもそれが続くと思っていた。


いつものバイトをして鈴花と二人でいる時に病院から電話があり、出てみると母が吐血をして倒れたと聞かされた。理由がわからず、動揺する僕に落ち着けと促され一緒に病院まで来てくれたが母と再会した時には心肺が停止していた。心肺蘇生を試みたが意味をなさなかったそうだ。


母が亡くなった喪失感とこれから妹をどう養っていくかで頭がいっぱいになったが、鈴花が一緒に手伝うと側に居てくれると言ってくれた。嬉しかった、自分と居てくれることを選んでくれたのだから。


でもそれは彼女の何より大切なものと引き換えにしなければならなかった。今までのペースで歌は出来ない。場合によっては全てを辞めなければならない。


そんな酷なことを彼女に選んで欲しくなかった。だから彼女の提案を拒絶した。でも言ってから気づいた、彼女がそれほど自分に親身になってくれていたか。自分という小さな存在を傾けてくれていたかを・・・・


拒絶した彼女の顔が今でも鮮明に思い出せる。自分の言葉を聞いて泣きそうで壊れてしまいそうな表情をしていた。それでも自分のした選択は間違いじゃない。・・・間違えにさせない。彼女なら・・・・いや、彼女たちならできると信じてる。


「8年は長すぎたな。でも僕がやれる事は格段に増えた。必ず、上に・・・・天辺まで駆け上がってもらうからね、ずかちゃん・・・れいちゃん。」


自室の窓から外の景色を見ながらずっと昔から胸に秘めている夢に想いを馳せる

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