夢の途中 ep22
社長の弁明と新井さんが矛を収めてくれるのに多大な時間を使っていて、気づけば夕食の時間帯になっていた。さすがに帰ってご飯を作る気力は鈴花には残っていなかったので礼奈に夕食は外食でも良いかと聞くと、嬉しそうに頷いた。
「れいちゃん、なんか嬉しそうだね。やっぱり外食の時はテンション高くない?」
「配信生活するようになってさ、規則正しい生活を心掛けてるじゃん。まあ、ずかちゃんのおかげで出来てるんだけど。それでもさ久々にジャンクフードとか食べちゃうと罪な味だな〜って思うんだよね。」
礼奈の言いたいことは理解も共感できる。高校生の頃はよく飲食店で夜通し語り合ったりしたし、食生活に時間を割こうとか一ミリも考えたことはなかった。アイツに会うまで・・・・
「とりあえず〜・・・どうかした?私1人浮かれてたけど、ずかちゃんあんまり寝てないよね。もしかして気持ち悪くなった?」
少し影を落としていたのを気づいた礼奈は心配そうにこちらを見ていた。
「あはは・・・大丈夫だよ。そうじゃなくてさ、アイツ・・・・どうしてるのかなって・・・ちょっとね。」
久しぶりに鈴花の方から昔一緒に居た友人を出した。それを聴いて礼奈は、鈴花の言葉を待っていた。
「何か急に配信チャンネルの登録者数も上がりCD出すことになったり、目まぐるしく変化しているからちょっと昔の事を思い出したの。料理も元はアイツに仕込まれたからね。何か急に懐かしくなったの・・・かな。」
ポツポツと小さく話す。3人で色々な事をやってきた。配信も音楽もゲームも本当に色んなことを、変わらないモノってあるんだと思っていた日常。それが音を立てて崩れた時のことを・・・・
「気持ちはわかる。あたしも3人でなら何でもできる、何にでもなれるって思ってた。でも・・・・あいつがずかちゃんにした事、あたしはまだ許せそうにない。」
「私も本心ではムカついてるし、許せない気持ちもある。でも・・・あの時あの状況で自分はアイツ・・・きー君みたいに冷静でいられたかなって。時々考えるんだ。」
きー君も虚勢を張っていたと思う。頭が良い彼のことだから色んな事が一気に考える事がきて一杯だったのかもしれない。私は寄り添いたいと隣に立ちたいとも思った。でも、きー君がそれを拒んだ。
「私はきー君の何になりたかったのかなって、何が正解だったのかなって。わからないよね、人生ってやつはさ。」
「・・・ずかちゃん」
「でも今は目の前の事をやっていくしかない。私が出来ることを一歩ずつ・・・だから、頑張ろうね。れいちゃん!!」
久しぶりに友人の話題を出し、会いたい気持ちが膨らむ。でもそれは出来ない。会いに行ったら多分臆病な自分は逃げてしまう、今まで頑張ってきたものが壊れてしまう。それだけは嫌なんだ。
そんな鈴花の気持ちを理解してるのか、礼奈は泣きそうに笑う鈴花の顔を見て切なくなる。会いたい気持ちを隠して頑張ってる自分を見てもらいたくて、でも鈴花は行動に移さない。また拒絶されるのを恐れているから・・・・




