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夢の途中 ep21

割ってしまった湯呑みを見て「ど、どうしよう。今度こそ怒ってやめちゃうかな?」と、でかい図体の割に肝っ玉が小さい社長。何とも締まらないなと2人は思うがこれが社長だ。こんな人だけど、人に寄り添い自分のことのように怒ってくれる社長の事を2人は心のなかで尊敬していた。


「大丈夫ですよ。怒られる事は決定事項ですけど。一緒に怒られますから。」


「れいちゃん、フォローになってないって。それで経緯だけで私達を呼んだわけではないですよね?何か手伝えることがあるのなら手伝いますよ。」


この後に待っている特大のイベントに萎縮している社長だが、気を取り直してこれからの事を話し始めた。何でも出荷物とは別口で社長が仲の良いレーベル会社の配布用に3万枚実費で購入したらしく、製品版と同じで問題ないから今から近くの何件か巡って置いてくるつもりで私達を呼んだらしい。


そうと決まれば、3人で社用車に乗り込んで何件かのCDショップや家電量販店、百貨店にも足を運んで社長と鈴花で近場に卸してきた。運動オンチな礼奈はその間、スマホで自分のと鈴花のチャンネルに事の経緯を簡潔に書き、沈静化に向けて動いていた。3人で販売店に頭を下げて回って事務所に帰った時には日が沈みかけていた。


クレーム対応も少しは収まりつつあるが、このままではジリ貧でしか無かった。


「これじゃあ、炎上してるのと変わらないわね。・・・・仕方がないか。あいつに責任取ってもらいましょ。」


礼奈がため息を付き、おもむろにスマホを取り出したかと思ったらどこかに電話し出した。


「もしもし、私だけど。現状は把握してるわね。・・・・そう。で、どうするの?・・・・うん、うん。・・・・なるほどね。DL販売まで3日あるし、それを小出しね。後はあんたの方である程度の経緯を話して。後でメールで送るから。・・・・はいはい、ファイルは社長のパソコンに送っといて。よろしく。」


「れいちゃん、どこに電話したんだい?私のパソコンに何か来るのかい?」


社長が気になり聞くと電話の相手はまさかのカメレオンで、一同驚愕していた。クレーム対応してた事務職員の人もだ。向こうは今回の経緯は知らないが何か合ったのだけは把握していたらしい。そこで経緯をカメレオン本人が配信で話す事とである程度の沈静化狙い、DL販売までMVを小出しにしてモチベーションを低下させないようにするつもりでいるらしい。


「れいちゃん、カメレオンさんも忙しいのに残りの6曲のMVが終わっているの?」


「やらないと気がすまないタチだから、公開したMVの時にはもう出来ていたらしいわよ。社長、後であいつからメール来るんでファイルごと私達のパソコンに送っといて下さい。今日帰ったらMVを1日1つを投稿するから、ずかちゃんも忘れないようにね。」


そんなわけで現状、やれる事はもう無いので帰って良いよと社長に言われ2人は事務所から出た途端、新井さんの悲鳴に近い声と怒号が外まで聞こえ思い出した2人は急ぎ中に入り社長の弁明に勤しんだ。

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