夢の途中 ep20
寝ていた鈴花かは揺さぶられるような感覚を感じ、重いまぶたを開けて目に飛び込んできたのは礼奈の姿だった。欠伸を噛み殺し上体を上げる。
「どうしたの?今〜・・・・10時少し過ぎたくらいね。何があったの?」
「寝てたのにごめんね、緊急みたいで起こしたの。・・・もしもし新井さん、今起こしたからこれから向かうね。・・・うん・・・うん、了解。なるべく早く向かうから。じゃあまた後で。」
よく見ると電話をしていた。相手は新井さんらしいことは分かったが状況が理解できていなかった。とりあえず、言われたのはこれから事務所に向かう事、それもなるだけ早く向かわないといけないらしい。
礼奈に促され、パジャマから私服に着替えて早々に自宅を出る2人。道中向かいながら聴いた話には私達のCDが開店と同時に多くの客が押し寄せ品切れになり、販売店で阿鼻叫喚になっているらしい。事務所にも連絡が来てクレーム対応に追われているらしい。
早足で向かい、事務所に着いて中に入るとマネージャー両名と数名の事務職員がクーレ厶対応に追われていた。2人の姿を確認した新井が電話対応しながらメモに走り書きしてこちらに突き出してきた。メモには社長室に向えと書いてありそれを見た2人は新井を見て頷いてから、社長室に向かう。社長室のドアを叩き、中にいた社長に招かれ応対席に2人して座る。
「休日にごめんね。早速で悪いけど事の経緯から説明するね。簡単に言うと増産所がこちらが予定していた発注数より下限に見積りを出して生産したことが発端らしい。」
「は?それって書類修正を勝手にして偽装したって事ですか?」
礼奈の言葉に社長が頷く。そんな事が行われていたなんて、絶句する鈴花とは違い礼奈は苛立ちを隠そうとせずに舌打ちをした。
「書類偽装した人物は?どうしてるんです。」
「本日付けで懲戒処分で解雇だってさ。それで動機なんだけど・・・カメレオンだったんだ。」
何でも書類偽装した人・・・女性らしいけど、カメレオンの熱狂的なファンだったみたいで申請書類を見た時に嫉妬で改ざんを施し、そのまま誰も気づかずに発注をしてしまった。社長は今回社運をかけてこの事業に赤字覚悟で投資し、発注を多く見積もったのにも関わらず修正をされてしまった。それで色々な所に本来届くはずの個数すら満足に行き渡らない結果になってしまった。
「大事にしてきた2人の人生で初のお目見えでこんな低脳な嫌がらせをしてくるなんて・・・・・気分が悪い!!」
落ち着こうと飲んでいた湯飲みを社長が片手で割ってしまっと。こんなに怒っている社長は初めて見る。私達の事を想って言ってるのも伝わるけど・・・・でも・・・
「社長、怒りに任せて割った湯飲み・・・新井さんのお気にですよ。猫ちゃんの絵柄が付いたやつは。」
「えっ!?!?」
怒りで顔を真っ赤にしてたが次の瞬間には青白くなっていた。




