繰り返す館での惨劇、その先にあるものとは。
今回初めて書かせていただきました。
昔から小説を読むのがすきだったので書かせていただきました。
是非お楽しみください。
今日もまた同じ夢をみる。
夕暮れの雨降る街を進んでいく。
「また同じ夢だ…」そうつぶやくのも仕方がなかった。
何故なら僕はこの夢を何度も繰り返している。
そしていつも同じ結果に辿り着く。
傘も差さず街を抜け住宅街に入っていく。
見たこともない風景なのにまるでここに何十年も住んでいたかのように迷いなく道を進んでいく。
あぁ着いてしまった。
この見渡す限り何もない閑静な住宅街に似つかわしくない大きな洋館がそこにたたずんでいた。
門扉を開けようとする。
しかし扉はピクリとも動かなかった。
横にインターフォンがあるのを確認する。
インターフォンを押す。
ピーンポーン軽い音が鳴る。
もう日も沈んできている。
「はーい」
インターフォン越しに声が聞こえる。
「〇〇です」
「あ,○○君!今開けるね」
可愛らしい女の子の声だ。
「○○君、今雨はふってる?」
この質問も何度目だろう。
「うん、降ってるよ」
「そう…すぐ行くね」
雨がより一層つよくなる。
扉が開かれる,中は真っ暗で人の気配もない。
少し埃っぽくてむせてしまう。
外の雨はより一層強くなっている。
とりあえず中に入らなきゃ。
ドン!
後ろから背中を押される。
押されるというよりぶつかられたそんな感覚を覚えた。
「いって」
床に膝をついて後ろを振り向くと、
制服に狐のお面をつけた女がそこにたっていた。
「いかないと」
女はそういう。
気味悪く,そのうえ突然タックルを決めてきた女に僕は至極当然の質問を投げかける。
「お前は誰だ?」
女は軽くため息をついて。
「じゃあ君は何者だい」
「は?俺は」
その瞬間俺は気づいた。
記憶がない自分が高校3年生だってことは認識できるのにその他の記憶が全く思い出せない。
僕が困惑しているのをみて。
女は一言
「もうすぐあいつが来るよ」
そういうと女は暗闇に消えていった。
「まて,お前は誰なんだ」
俺は動揺していた確かに俺はいつも同じ夢を見ていた。
だが今回はいつもと違う、いや違いすぎる。
いつもはこの洋館に入った時点で気を失って目が覚めるそういう夢だったはずだ
なのにいまは、洋館に入って謎の女に会って
そのうえ記憶もない。
あとあの女が言ったあいつが来る?
どういうことだこれはいったい何なんだ。
玄関の扉を開けようとしてもあかない。
窓を割ろうとしてもガラスにはじかれて割ることはできなかった。
窓から見える空は、月も見えず黒い雲から重い雨粒が降り続いていた。
あの女は「いかないと」そういっていた。
あいつは何かを知っているのか?
今は何の情報もないあいつの後を追おう。
暗い廊下を進んでいく。
この洋館は外から見ただけでも相当広いことはわかっていた。
だが実際に屋内に入ると外から見た洋館の何十倍の広さに感じられた。
廊下を進んでいく途中、部屋が何個かあったがどこも開かなかった。
廊下の突き当りに扉が見えてきた。
「開いてる」
戻っても行くとこなんてない、
扉のドアノブに手をかけて後ろに引く。
開けた瞬間僕は目を閉じてしまった。
眩しすぎて目を閉じてしまったのだ、と同時に甘い匂いが鼻につく
「キッチンか?」
周りを見渡す。
その時
「君は何者だい」
首にヒンヤリと冷たい感覚を覚えた。
首元をみるとナイフが自分の首元に当てられていることに気が付いた。
「え」
「動いたら殺す、大きな声を出しても殺す」
俺はその状況を理解できずただ固まっていた。
「君は何をしにここへ来たのかな?」
「わからない、何もわからないんだよ!
彼は僕のことをじっと見つめると、
「君はここがどういう場所か知らないの?」
「何度もいっているだろ、俺はなにも知らないんだ」
彼は急にうずくまると、
「ははははっはははははっはははっは」
急に笑い出した。
俺は半ば切れ気味で、
「お前はいったい誰なんだ」
「あぁ僕?」
「僕は柊阿 秋雨柊阿 とうあでいいよ」
「お、おう」
何なんだこいつさっきまで刃物を突き立ててきた男とは思えないくらいフランクだ。
「とうあここはなんなんだ」
そう俺が言葉を発したその時、
チーーーン
「あ、できたみたい」
そういってとうあはレンジのほうへ駆け寄ると、
レンジを開けるとより一層甘い香りに包まれた。
「君も食べる?」
とうあは出来立てのクッキーを運びながらそう尋ねてくる。
「いきなり刃物突き立ててきたやつの食い物なんて食えるかよ」
吐き捨てるように僕はいった。
「あっそ、じゃああげない」
俺は動揺していた何なんだこいつはさっきまでとはまるで別人だ。
「ここはいったいどこなんだ、お前は誰だ お前は俺を殺す気か?」
「ははは、そんないきなり何個も聞かれてもわかんないよ」
とうあは笑いながらクッキーを口に運ぶ。
「あ、あの女もお前とグルか?お前ら俺になにするきだ」
とうあの手が止まる、
さっきまでのお茶らけていた彼は一瞬で消え去り。
「女?この家は僕と君だけの場所のはずだろ」
顔は笑っているが声色からは哀しみを感じた。
「君の質問に答えよう」
彼はそういうとソファーに深く腰掛けた。
「君も座りなよ」
そう促され向かいのソファーに座った。
「君の質問に2つ答えよう、1つはホントのことを言おう、もうひとつは嘘をつかしてもらおう」
「ちょっとした遊びさ」と彼は笑う。
やっと情報を引き出せる、変な条件が付いているが僕にはプラスでしかない
ここから出るために、この夢から覚めるために俺はここの謎を解いていく。
「それで十分だ」
一番聞きたかったことを俺は聞いた。
「お前はいったい何者なんだ」
とうあこいつはいったい何者なんだ俺はこいつを見たこともない、夢というのはある程度その人間の記憶から引き出されるものではないのか
俺はこいつを知らない、服装は学生服にペンダントをぶら下げて耳にはピアス
なにより下のカッターには血のようなものが付着しているのが見える。
もちろん胸ポケットにはナイフ、歳は恐らく僕と変わらない。
「んーーー」
彼は少し考えた後で。
「僕は希望をもって生きて、絶望を抱かされて死んだ滑稽な存在だよ」
彼はそう笑いながら言った。
「さぁ次の質問をどうぞ」
「ここはなんなんだ」
外の雨がより一層強くなった気がした。
「ここは夢の墓場そう言われているよ」
「俺はここから出られるのか」
彼は僕の目をじっと見つめると、
「質問は2つまででしょ、知りたいことがあるなら自分で探しなよ。ここには君の望むものがあるはずだよ」
ソファーから立つと彼はもう一つの扉の前と進むと、
「一緒にここからでようね、いかなきゃ」
彼はそういうと扉を開け暗い闇へ消えていった。
なんなんだあいつ。
机に置いてあったクッキーを手にする。
匂いもする
頬をつねる
痛みもある
これは夢だけど夢じゃない。
この世界で意識を失ったらどうなるんだ、現実世界に戻れるのか
あいつは言っていた夢の墓場、ここには俺の望むものがあると。
「いかなきゃ」
あいつの進んでいった扉に向かった。
扉を開ける。
「また廊下か」
廊下を少し進むと、扉が見えてきた。
扉をあける。
「普通の部屋だ」
ベットに勉強机、クローゼット、普通の部屋だ。
部屋を見渡すと机の上に1枚の紙があることにきずいた。
なんだこれ、
そう呟きながら手に取る。
「もうここにきて何日経つだろう、ここにきて分かったことを書いていこうと思う
この館は夢の墓場そうよばれてるらしい、この館は常に一定ではない部屋の形や物の配置も全く異なる。
そして…あいつの見た目も一定ではない」
「あいつ?」
「この館から出ることは基本的に不可能だ窓を割ろうとしても意味はない。しかし俺は見つけたこの館から出る方法を…」
そこで文章は終わっていた。
「は、ここで終わりかよ」
部屋を隅々まで調べたがなにもなかった。
部屋をでる暗い廊下の先何かが動いた気がした。
「おい、誰だお前」
足音が近ずいてくる。
狐仮面の女か?とうあか?
いやどれでもないな、
感覚でわかる嫌な感じがする。
月明かりがそいつを照らす。
人?獣?判別がつかない。
なんだこいつ。
ただ本能で感じる逃げないと、
そう思うと同時にそいつは俺の目の前にいた。
その瞬間腹部あたりが熱くなる。
腹部をみると包丁が刺さっている。
強烈な痛みが体全体に走る。
「ひゅうゆふyhy」
化け物が何か言っている。
目の前が暗くなっていく、
「はまぶみがでて、ぼのじど悪い人」
消えゆく意識の中そう聞こえた。
「悪い人?」
俺に言ってるのか?
ああ、なにもわからない、
夢なのに苦しいな…
読んでいただきありがとうございました。
アドバイスなど是非お願いします!
反響があれば続き書いていきたいと思います。




