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精巧

 復活の時を待つ者にとっては非常に長い時間に感じられていた。過ぎ去っていく景色を自分の影に隠し通すように付近を捜索している人々を嘲笑っていた。俺は一つの感情に支配されることがないままに、ここまで来ていた。再び立ち上がって歩き出した時には、手元に炎がまとわりついている。

 その力によって世界を滅びへと誘うのであるが成功する確率は問題になるほど高くはない。ここでは個々人の理解を要求する場面に従って生じる疑問を解き明かすのである。精巧に作り上げられた祭壇を破壊する感覚に陥らないように気をつけながら、俺の言葉を話そうとする有象無象を殺戮する。

 現象のように現れる変換器はまさしく虹の風貌であって、それを丸く塗りつぶすような空に掲げられている。俺はそれを見上げながら、自分の高さに落ちないように気をつけている。周りの男は複数人ではなく、半整数のような人材であったからその不可分な実態と同一化するように試みている。

 再び世界が明るくなっていくのを目の当たりにしながら俺を繋ぎ止めていた鎖を食いちぎっていく。獣の力で抑えられるほど強大な者ではなかったから、全てが花を萎れさせるほどの光となって放出される。進みゆくままに、次元は様々な方向に路線となって列車を走らせるのである。

 貨物のように乗せられているあらゆるもののかけらとなって、衝突を繰り返していた人々の中に俺は隠れている。現れた時には新しい色合いとして老化現象を止めようとしている。成長が終わっている人間には果たして価値があったと言えるだろうか? 少なくとも地位に縋り付いているに過ぎないのである。

 それらの理解から遠ざかっていく中で俺は生き方を変えようと模索していた。どのようにしても医師の助言は求めていなかったから、傷跡を塗りつぶすほどの黒煙に狂ったように漂っている。揃いも揃って何もできない人相ばかりが俺の目の前を通り過ぎていって、一人ずつを選別するまでもなく殺していた。

 血眼になって何かを追い求めている馬鹿げた哲学者気取りの男は何十人という天才もどきの中に帰還しようとしている。強いられるはずもない理屈を作り出して、彼らは自分が満足するように理論体型を築き上げようとする。その全てが誤謬に塗れていたのだとしても、木の枝にかかれば構わないと言うかのように。

 だから俺は哲学というものが大嫌いだった。あえて宣言する必要もなかったが、それでも本当の理解というところには霊的な力を養成したのであって、人間の概念は全て偉大なるところから流れ出ている。来るべき時に備えている人々ではない何者かが、自分の理屈を世界の片隅に接合しようと必死になっている。

 哀れみを覚えながらも生きている時間はとても長く感じられていた。電子機器の画面越しに見つめる真実は本当の美しさを臨むほどに精巧には作られていない。全ては人間の脳の中の煌めきとして実現できるはずだった。そうやって何者かを魅了しては、引き摺り込むようにすべてを撮影していくのである。

 交錯していく思いばかりが様々な人種を一つの台の上に止めようとしているのを感じていた。俺の目の前の画面には文字列が羅列して右から左へ、左から右へと重なり合うように一つの言語を生成している。具体性を持たずに抽象化されたただその場しのぎの蒼穹の言語として理解を受ける時を待ち望んでいる。

 震えるような時の中にありながら、人間の理性では到達できない真理などあるのかと思い描いていた。ないものはなく、あるものはある。ただそれだけの光景のために光が解き放たれる。俺はすべてを目撃してきた男であって、それを卒業間近の高等学校時代には知らなかったことを今まさに獲得しようとしている。

 指示されるまでもなく闇の中から這いずり出てきては、掴み取ろうとする真実の仮面を自分の顔に近づける。そうやって新しい人間へとすり替えようと試みていた。成功に終わっても失敗を導いたとしても、それが俺の形を変容する。虐げられている人間の中に落とし込まれては、上昇するのを待ち侘びる。

 可能性はすでに消えていて、俺の生き方はたった一つに決まっていた。そのつもりでいて、世界を不規則に飛び回っては、決定論に抵抗しようと自由意志を発揮している。何もないところから俺の言葉が出てきたつもりが、自分の主君の元へとすでに帰っているという事実を明らかにするのである。

 空は暗くなり続けていて、時に光をもたらすことがある。俺はそれを人間の中に飛び散らせていたから、時々英雄じみた賞賛の雄叫びを受けるような気がしていた。何も見えないところから現れるのは人間の形をした栄光であった。それらが様々な姿へと譬え話を交換するように時には獣を歩かせた。

 人間の姿形をしたものとして空に二つの手を掲げている。その間には力が満ちていて、新しくなるたびに歓声を受けている。染み入るような感情と共に走り出していたのは、影から言葉を発する歌の羊飼いであって彼は世界を草原へと塗り替えていくような牧歌的な働きを有していた。

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