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プロローグ 3


 報告は、職務の遂行上本局には戻れないので、文章にして協力者を経由して届けるという形になっている。今の時代インターネットもなければ、郵便局もしっかりと機能はしていない。

 報告する内容というのは、教団のその時の人事や、教団の活動内容、財務情報、内政等々多岐にわたる。その中で私は活動内容に関して虚偽の報告を行っている。

 教団の活動内容としては、布教活動、教育活動、広報活動、教団下部にある企業の経営、教団内部での修行の指導、教本作成、他国の帰一教会支部との協議があり、私はその内容で、教団にとって都合の悪い情報の改ざんを行っているのだ。

 無政府状態とはいえ、この国には憲法があり、法律がある。政府との協力関係のある教団には、無視できないものなのだ。

 例えば、教団施設の新たな建設のための用地買収に際して、契約書を改ざんして土地所有者との合意に結びつけたこと。貸金業法を無視して、貸金業を行う企業を設立していること。政府との合意に基づき、信者人数の報告を一部人数を少なく表示していること。薬事法を無視して、帰一教会が開発した薬品を販売していること、等など、例を挙げればいくらでも出てくる。しかし、これを今政府に正しく報告をしてしまえば、上沢は首長を辞任する事になり、帰一教会が今まで納めてきた様々な事柄が一気に乱れてしまうことになってしまう。

 それを避けるためには、情報を改ざんして報告するしかないのだ。


 今の所政府は、教団に対しては懐疑的な目をしているものの、法令違反などが見えないため、何も手出しできないでいる。


 私は今では内務班では班長の座につき、上沢の右腕として教団内では知られるようになっている。もちろん私が政府の人間であることは誰も知らない。


 今私は、上沢と数人の教団の仲間とともに、神奈川の横浜に来ている。横浜はかつて東京に次ぐ二番目の都市として多くの人で賑わっていたが、先の大戦でほとんどが焼け野原になってしまい、住人が被害の少なかった神奈川の中央部に移住した為、現在は横浜のどこからでも太平洋の輝いた海原が見ることが出来る。

 ここに今私達は、教団の力を示し、教団の教えを確固たるものとすべく、すべての中心を担う施設、教団総本部『理想郷』を作ることにしただ。


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