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数週間経ち、私は牢から出ることができた。
パリス様、レオナルド、そして王都警備隊の隊長らが、「貴族の既得権益を守ろうとする者たちが、国民のための改革を目指す王妃に、反逆罪の濡れ衣を着せて処刑しようとしている」と情報を流し、これまでの私の働きぶりを評価してくれていた民衆や下級貴族たちが味方についたのだ。
王妃糾弾の中心人物とされたニールストン伯爵の屋敷は武装した民衆に取り囲まれ、亡命も阻止された伯爵は、爵位と財産を返上して、自身と家族の命を守るのが精一杯だった。
エドナ自身は王妃への殺人未遂…しかも王宮内で凶行に及んだ…で死刑確実だったが、私の嘆願で助命され、辺境の修道院へ送られた。パリス様は渋ったが、もとを正せばご自身の浮気が原因なのだから、折れるしかなかったかたちだ。
ニールストン伯爵に味方してエドナを擁護していた貴族たちも、民衆の勢いに恐れをなして私への非難を慌てて取り消し、事態は収束に向かった。
牢から出た私は、平民に国政に参加してもらうことがアズミアにとってプラスになると、心を尽くして説明することに努めた。公の場でも、私的な会合でも、何度も何度も説明し、パリス様に協力していただいたこともあって、少しずつ賛同者を増やしていった。
王政を維持をしながらも、平民が国政に参加する仕組みづくりに苦慮したが、平民でも能力のあるものは政府の要職に就任できるようにし、国王直下の諮問機関として、福祉、商業、工業などいくつかの分野に分かれた平民による委員会を設置することに落ち着いた。
初めて平民出身の商務副大臣が就任し、委員会も始動したときには、私の21歳の誕生日が間近に迫っていた。
22:00に最終話更新予定です。