キャラクタークリエイト
気がついたら俺は雰囲気のあるバーにいた。バーに行ったことは数える程しかないがそれでも本物のようだと認識させるほどのクオリティである。このバーの再現だけでとんでもないVR技術の高さが伺える。
やはりあの会社はやばい。
そんなことを考えていたらカウンター奥のバーテンダー、いや、AromaCandleNight 総取締役社長、御門黒恋に話しかけられる。
この名前は元芸名であり、現ワークネームなので本名は知らん。
「ようこそ、GREEDY WORLD ONLINEへ!
…あれ?なっちゃん?
確か特別学生枠だったよね〜、おめでとー!」
相手が俺だとわかたったら声色も態度も変わりすぎだろ。何つーか社長なのに威厳とか全く感じないよね。俺も適当に挨拶する。
「あ〜めんどくさいやつに捕まったわ。
まぁしゃあない。説明よろ」
「オッケー、任せなさい。
それじゃあ最初はマニュアル通りの説明ね。
ちゃんと聞いときー。
こほんっ。
今から君たちが向かうのは神と人の欲望により生み出され彩られた混沌世界GREEDY WORLD 。
キミ達プレイヤー、ここでは【世迷い人】って言うんだけどね、そんなキミ達風に言えば剣が鍔迫り合い魔法が飛び交う異世界というやつさ。
うん、電脳世界でも間違ってはないかな?
この世界には人や魔獣、そして天使や悪魔、更には神様までいるんだけど、これらの中位以上の生命体はスキルという特殊技能を持つんだ。
寧ろこれがないと始まらないね。
ちなみにスキルを持たない下級生命体は言語を操れない、理解する知能がない、魔力や闘気も霊気も操作できない普通の動植物だよ。
さてさて、世迷い人は最初のスキルを自分である程度選ぶことが出来るんだ。
慎重に決めなよ。
あ、まずは種族とかを決めるんだけどね」
ピコンッ。
〈ユーザー設定を開始します〉
なるほどまさに王道って感じのファンタジーRPGってとこか。ある程度は事前のフレーバーテキストでわかっていたがなんて言うかできる限り情報を与えないことをモットーとしたような文しかなかったからな。
しかし口調すぐ崩れるなぁこの人は。咳払いのあと1文しかまともに出来てないよ。でもその時の声は見た目を裏切るダンディーさ。
でもさ、世迷い人って……酷くない?
ユーザー設定では種族、容姿、名前、ジョブ、スキルが決められるらしい。
まずは種族からだ。社長の話とウィンドウの説明をめちゃくちゃ掻い摘んで説明するとこんな感じかな。
ヒューマン:バランスがとれた種族。
エルフ:魔法が得意な種族。
ドワーフ:生産系が得意な種族。
獣人:戦闘が得意な種族。が多い。(哺乳類のみ)
4つか…何がいいかな〜。
まぁ、獣人よく見たら半端ないくらい種族多いからなんかあれだけどね。
さーて、ちゃんと考えるかな。
まず俺にとって専門生産系はないんだよな〜。ってあぁ、ハーフとかもできるのね。
それじゃヒューマンと……
思ったよりも血統が細分化出来たな。
結果俺はこれ。
ヒューマン50%
エルフ12.5%
ドワーフ12.5%
狐獣人12.5%
カモノハシ獣人12.5%
つまりハーフヒューマン!
でも表記は1番多い血統なので普通にヒューマンってことになるらしい。
本当にそれでいいの?
カモノハシの獣人がいたのは驚きだったわ。
哺乳類の1番怪しいとこだし。
え、なんでこれを選んだかって?
1番は水中でも行動できそうなのがいいなって思ってたんだよ。クジラやイルカやシャチでもよかったんだけど、もしかしたら今度は陸上でマイナスが付きそうじゃん?
社長は「うふふ、どうでしょうかねぇ?」とか完璧な女声で言うしさぁ。
なら両方いけるのがいいなっておもってビーバーとかアザラシとか見てたらカモノハシが居たってわけよ。
カモノハシめっちゃ可愛いし、もしかしたら爪から毒出るかもだし。これいいんじゃね!と思った結果です。
あ、ちなみに狐の理由は可愛いし好きだからです。
この種族、というか血統作るのにもう10分以上使ってしまった。
残りは手早くいきたい。
それじゃ外見作ってくか。
えーっと、今出てるのはいつもの俺か。
身長は174なのでもっと欲しいかな……動かない?
ヘイヘイ、社長さんよォ。これどゆこと?
ある程度自分の体にそったものにしてだと!
ちっ、しかたねぇなぁ。
体型はもっと薄く、細く!
別にリアルで太ってる訳では無いからな。ただ筋肉の塊みたいな扱いを此処でもされなくないだけだから。
華奢で女の子みたいなのになりたいのですよ。
社長や水月君みたいな中性的なかっこよさに憧れるのだ。水月君は躰強くなりたいとか言っていたけどね。
まぁ隣の芝生は青いってことで。
髪はウェーブのきいたアッシュブロンド!
若干長めにして少し目にかかるくらい。
あと眉が濃すぎるので薄くしてっと。
顎も少しシャープに。
鼻も若干高めにして。
目の色は深紅!
うん?
なんかイメージと違うな。
えーっと、あ、これがいいかな、ガーネット。
こんな感じかな。
うーん、なんかインパクトが足りないなぁ。
オッドにするか。
右目はガーネットからエメラルドグリーンに変更。
やっぱ色変わるとグッと印象が変わるなぁ。
うん、ちょっとやり過ぎたかな。
いやいや、ゲームだしこんなもんでしょうよ。
いやぁ、でもなぁ。
オッドはやめました。
ガーネットの色彩を微調整で少し重くしてお終い!
もう後戻りは出来ねーぜ!
……後々課金すれば変えられるって。
そっかぁ〜、あはは。
ねぇ、それ今言う必要あった?
え、今だからこそだって、はいはい、わぁーった、わかったってば。
さてさて、名前はリアルは 朝霧 那薙。
最後の字の「薙ぐ」これから連想して「薙刀」そこから発想を飛ばして中世ヨーロッパの薙刀によく似た武器から取って「グレイヴ」にする。ゲームとかではいつもこれなんだけどな。
「ん〜、だいぶ混ざったヒューマンだねぇ。
容姿はカラーチェンジしてそれに合わせて違和感ある所を無くした微調整ってところかな。
あとなんか薄くなったね。
しかもシステムで許される最大限に。
まぁ元がいいから何するにしてもさほど苦労しないねぇ。
あ、でも何てゆーか僕の方に寄せてきたね。
キミは体脂肪率5%未満のガチッとしたその体躯で威圧して物を言わせぬツンツン成分99%のデレッ1%の鬼の生徒会長(氷属性、笑)じゃなかったのかい?
元々太く肥大化した筋肉ではなかったけど、今の姿は爽やかな中性的美青年って感じだよ。
あぁ、僕の事リスペクトして寄せてくれたのかな?
嬉しいなぁ〜」
「うるっせーっわっ!
あんたは自分が至高だと思ってるから変えないでしょうけど普通は色々やりたいんだよ」
「え〜、僕だって若い時はもっとカッコよく筋肉質なのに憧れたことも少しはあるよ。
モデルとか俳優やってたから流石にコンプレックスとまではいかったけど不満を覚えたことぐらいいくらでもあるさ。
まぁそれはいいよ。
それに薄くしたって言ってもさほど違和感を覚えないしね。
なっちゃん元からどっちかっていうと細マッチョだしね。
というかヒューマンだと操作性変わるほど変えられないし。
さてさて、それじゃ気を取り直してお待ちかねのスキルと言いたいところだけどその前になっちゃん、いや、グレイヴ君のジョブを決めなきゃね。
ジョブによって今取れるスキルが変わってくるよ。
しかしねぇ今取れるジョブは人毎に違うけどメチャクチャ少ないからね。
ジョブ毎に取得条件があるからそれを満たせば転職できるよ。
ジョブの取得条件は転職してそのジョブ極めて初めて明記されるんだけどね。
鬼畜仕様とか言っちゃダメだよ。
あと最初に選べるジョブは人ごとに違うよ。
ここまではオッケー?」
「それはわかったけど今選べるジョブはランダムなのか?」
「そうだね〜、こっちが質問して候補を決めさせて貰うけど運次第だし地力次第でもあるのは否めないね。
あと身内贔屓もしないのでよろしく」
「そうでしょうね。面白くないですもんね、この快楽、愉悦追求主義者の変人様はねぇ」
「あはは、よく分かってるねぇ。
それより質問いくよ。
ズバリ、キミはこの世界でどう生きたい?
攻略トップで謎を解いて戦っていきたい。
可愛いNPCと結婚したい。
ヤバい性能の武器を作りたい。
勇者となってたくさんの人に崇めてもらいたい。
PKしまくって過ごしたい。
誰よりも強くなりたい、そう神よりも。
のんびりスローライフをしたい。
ゾンビっ娘を可愛がったりモフモフのモンスターを愛でまわしたりしたい。
超絶人気のアイドルになりたい。
自分以外全員美少女の王国を建国したい。
この世界をそこに住む住人諸共滅ぼし尽くしたい。
なんでもいい。
キミのやりたいことを聞かせてよ。
あ、別に全面的に叶えてあげるわけじゃないよ。
ただ今言った範囲のことはプレイヤー次第で出来ることだね。
さあ、キミはどうしたい?」
「ん〜。例が酷いな。
なんていうか俺は他人と被りたくないな。
俺という唯一無二であってほしい。
赤の他人と同じ道を辿るなんて真っ平御免だ。
俺は俺の思うままにただただ楽しんでやるさ。
あ、でもリアルじゃ飲めないから酒を飲みたいな」
「正直唯一無二はキミ次第だと思うんだけどねぇ。
元々キミはクセが強いし、異端だし…。
軽く自己承認欲求が振り切れてる気がするけど気にしないどこうかな。
しかし酒が飲みたいとは感心だねぇ。
この世界だけの食材とかもあるしうちの会社のワインを中心としたいくつかの酒はこの世界に持ってきてあるから楽しんでおくれよ。
未成年でも飲酒可能にするのに面倒臭い保身ばっかのこの国のえらい人と危ない資料引っ提げてお話ししたんだからね」
若干イラつく言葉とヤバい言葉があったが無視する。
この人に口で勝つなど出来やしないし、関わっちゃいけない所があることぐらい承知している。
それより…
「まじで酒飲めるの?
でもACNのワインが飲めるってどういう事だ?
この世界にもACNを再現してるとかか?」
「うん、勘がいいねぇ。
というか此処はこっちの世界のACNの経営するバーだから。
あとうちの新規商品の情報もこっちに少しばかり流すと思うよ。
それにほら、ゲームの中のアクセサリーとかが一部でもリアルで買えるのも面白いでしょ。
それでね、ACNはこの世界でも1番大きな商会として存在してるんだ。
こっちの世界の住人達も知ってるよ。
えへへ〜すごいでしょ。
褒めたたえて崇め奉ってもバチあたらないよ。
おっ、キミのファーストジョブ候補でたよ。
え〜っと、ファイター、ソーサラー、クラフター、クラウン、テイマー、サモナー、除霊師、退魔師、封印術師、闇医師だってさ。
結構って言うかレア職多すぎなんだけどぉ。
しかも最大数の10まででてるし。
何どうなってるの?
内部工作したの?
まぁムリだろうけどね。
あと闇医師だって〜。
アハハッなっちゃん闇医師似合う〜。
さてさてどのジョブが気になる?
やっぱ闇医師?」
「クラウン、テイマー、サモナーってとこだな」
「なるほどねぇ。
除霊師以下もかなりレアだし、いくつか揃えるといいことあるけどそれは置いとこうか。
まずクラウンは道化師だよ。
王冠じゃないよ。
様々な武器や道具、魔法が使えるし器用だから生産も強め。
縄とかサークルとかカードとかも使えて面白いよ。
テイマーは従魔術師。従魔法によって出会った魔物を従わせて戦うね。基本的に本人はオールラウンダーだね。
今のところレアだけど結構人気はあるかな。
話をしてると欲しがってる人が多いみたい。
うん、もちろんそう簡単に出ないけどね。
サモナーは召喚魔術師。これは召喚魔法によって魔物、精霊、英霊、神様とかを呼び出すんだ。
召喚するための方法がメチャクチャ多いから把握とかは無理だと思うけどね。
本人はソーサラー並に魔法が得意だから後衛になると思うよ。
サモナーとテイマーの1番の違いはねテイマーはモンスター、魔物ならなんでもある程度簡単に使役できるんだけどサモナーは足掛かりが、というかとあるアイテムがないとまともな召喚できないし、本人の適性でもほんとに変わっちゃうんだよね。
まぁ、アイテム手に入れればそれなりに楽になるし、選ぶプレイヤーも増えるだろうけどね。
しかしやっぱり序盤はキツいだろうね。
まぁその代わりと言っちゃなんだけどモンスター以外も使役可能なんだけどね。
あとテイマーの従魔法スキルはレベルアップで強化できるけどサモナーの召喚魔法スキルは成長しないんだ。
とゆーか召喚はアイテムだとかイベントだとか本人の行動、更にはステイタスとかほんとーにイロイロな要素で成り立ってるからそれをどうにかするのがメインだから召喚魔法スキルは殆どおまけだね。
そしてこれぞ大本命の闇医師ね。
これは毒物、劇薬、を扱うジョブの中では素のステイタスも高いしバランスも良いジョブだよ。
もちろん普通の医療行為も出来るけどね。
加えて魔法もそれなりに適性があるし。
武器もかなりアクが強いけどいくつか強力なのが使えるよ。
超大型の注射とか大鋏とか大型消毒鉗子とか拷問具各種とか……プププッ
あと初期装備がかっこいい白衣(裾が血濡れ)だよ!」
「召喚には様々な方法があると…なるほど。
この説明聞くとサモナーあんましよく聞こえないよな。
とにかくめんどそう。
でも魔法使い、ソーサラーはもっとないって感じだ。
だってそうだろサモナーはソーサラーと同じぐらい魔法使えてモンスター召喚出来るんだから」
「あれ、闇医師無視なの?
まぁ言うとおりだね。
まず聞いてきた3種はどれもレア職だからそもそものスペックが癖があるけど高め、ってのもそうなんだけど、倒した敵の経験値は召喚モンスターにも分割されるから個人の成長がちょっと遅くなるし、サポートも必要になるからね。
一概にどれが絶対劣ってるとかは言えないね」
「わかった。
……サモナーで頼む」
「ほ〜、テイマーかと思ったんだけどねえ。
あぁ、あと今のうちはテイマーは二人いるけどサモナーはキミだけだよ。
よかったね、唯一無二の人!」
「そうか、そいつぁは良かった」
いちいちうるせえなコノヤロウ。って言いたいけど間延びするから我慢する。
しかし俺の台詞と俺の心の底で思ってることも全て見透かしてるような目をしながらニヤニヤしてやがるのはひっじょーにイラつく。
「ふふ、じゃあ初期スキル選択に行くよ。
キミの場合はサモナーだから召喚魔法は確定ね。
あと4つ決められるよ。
そのうち1つは必ず魔法系にしてね。
残り3つは魔法でも武器でも生産でもなんでもいいよ。
因みに闇医師だったら医術、闇魔法、錬金術、調合、鑑定で固定だったんだよ」
社長の話を聞き流しながら俺は数多くの選択肢から4つを選んだ。
水魔法、錬金術、鑑定、収納、である。
錬金術はサモナーなら誰でも取得出来るけど比較的珍しいそうなので取っておいた。錬金に水が必須とのことで水魔法も取得。鑑定は武器や素材、人まで情報を見ることが出来る。但しあまりにレベル依存だから最初はそこまで役に立たないが育てておけとの事だった。そして収納。これで荷物を減らす。態々VRで大量の荷物とか嫌すぎる。アイテムボックスというお約束なポーチもあるらしいが高価だし壊れたらぶちまけられて大変なのだとか。
純戦闘系のスキルがないが取り敢えず武器を使って1戦すれば取得可能になるらしいし今は必要ない。
スキルのレベルは使っていれば勝手に上がるらしい。
召喚魔法や収納等のレベルがないスキルはスキルの効果が上がらないものや使ったから上がる訳ではなく別の要因で強化するものらしい。そうそう、収納はプレイヤーの基礎レベルに準じて内容量が増えるそうだ。
「あぁ、あとこれを引いてくれるかな」
神社によくあるおみくじ的な六角柱な物体を渡してくる。
「それは見たまんまだけどくじでね、運が良ければユニークスキル系の宝珠っていうキミだけのスキルを覚えられるアイテムや強い装備やアイテムボックスや魔法薬なんかのお役立ちアイテムそれにボーナスポイントなんかもGETできる。
何もなし、とかのハズレとか大凶的なのはないから気楽に引いておくれよ」
何もなし、がない。大凶的なのはない。
つまり凶ぐらいのものはあり、何かデメリットのありそうなものはあると。なるほどねー。
手に取っておみくじの様に振る。
カラカラと乾いた音がして1本の銀色の棒が出てくる。そして手の上で光って丸い球体になった。
「へー、やっぱり運がいいね〜。
ユニークスキルだよ。
よかったねぇ、キミが大好きな唯一無二のスキルだよ。
ていうかほんとに内部工作を疑うレベルで運よすぎなんですけど。
まぁそれよりスキル名は【茨】だよ。
それは【茨の宝珠】。
SPを消費するけど魔法でも武技でもない。
分類不可能のユニークスキルだ。
その宝珠を使うとユニークスキルがゲットできるから大切にしなよ。
まぁ個人的にはすぐに使って使いこなせるように訓練するのをオススメするけどね。
誰か愛する人に捧げるっていうなら別だけどね。
そういや恋人…」
煩いので被せにいく。
「それでそいつはどんなスキルなんだ?」
「ん〜。ごめんね、ユニークスキルについてはあんまり教えられないんだ。是非自分で確かめていってくれよ。そういうのが僕等好みだってわかってるでしょ。
でもまぁ名前から想像できるようなスキルさ。だけど名前にだけ囚われすぎるのもダメだね。
スキル名の茨って言うのは後付けだからね。
本質を理解すれば最強にもなれるし一気に化けるすごーいスキルだよ。あとレベルがないスキルで少し面白い方法で成長するよ。
それから最初は「ん?」ってなると思うよ」
言うと思ったよ。
このドSの変態と真面目に話すのはやっぱり俺には無理だな。
でもまぁ俺だけのスキルだもんな、正直めっちゃ嬉しい。使い方がわからんがまぁ戦闘にも使えそうな名前だしな。
「さあ、準備は良さそうだね。
行ってらっしゃい、グレイヴ君。
キミの旅路にキミが夢見る幸福があることを祈っているよ」
俺と変わらない、いや、むしろ若いようにも見える少年が琥珀色の酒が入ったグラスを差し出しながらそう言った。
瞬間、目の前がホワイトアウトする。