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わくわく地獄ランド開園!

 地獄の鬼に案内されて工事現場までやってきた俺は、現場監督の鬼の棟梁とうりょうから詳しい話を聞いていた。


「兄ちゃんにやってもらいてぇのは、ココ。モンスターを生み出すダンジョンの核の部分だ」


 鬼の棟梁が設計図の中心部を指差す。


「ダンジョンの迷路や罠はとっくに完成してるんだが、流石にモンスターまでは生み出せねぇからな。頼めるか?」


「やるだけやってみます」


 設計図によると地獄ダンジョンは八大地獄の全階層をブチ抜いて、さらにその下まで続いているらしい。

 下れば下るほど更なる地獄の苦しみが待ち受けるが、後戻りは許されず、亡者たちは転生という救いを求めて自ら地獄を下っていく。と、そういう仕組みのようだ。


「あの閻魔様、綺麗な顔して恐ろしいこと考えるな……」


 見れば見るほどえげつない構造のダンジョンに背筋が寒くなる。

 下に行けば行くほど時間が加速していくから刑期は早く終わるけど、比例して環境も厳しくなるし、罠も悪辣になっていく。


 ここにさらにモンスターまで加わったらそれこそ本当に地獄だな。


 まぁ、やればお礼も貰えるらしいし、地獄に落ちるような悪人相手なら遠慮する必要もない。徹底的にやってやろうじゃないの。

 と、その前にステータスの確認でもしとくかね。魔王戦からこっち、ずっと忙しくて見てる暇も無かったし。



 犬飼(いぬかい) 晃弘(あきひろ) レベル一(☆☆)


 戦闘力 一〇〇澗



 保有ソウル(端数省略)


 九九澗(MAX)/一二〇澗(NEXT LEVEL)



 保有スキル


『不滅の身体Ex』『超霊闘気Ex』

『超感知Ex』『絶対防壁Ex』『呪殺無効Ex』

『霊力波Lv一〇(MAX)』

『払魔闘術Lv一〇(MAX)』

『霊力弾Lv一〇(MAX)』

『超破霊拳Lv一〇(MAX)』

『呪怨封緘Lv八』

『飛行Lv一〇(MAX)』

『空間移動』『混沌の種』『魔核破壊』

『魂魄開放Lv一』

『自動書記』『魔導士書』『魔導の極み』

『魔法創造』『悪魔創造』



 獲得称号


『ゴーストバスター』『カリスマ除霊士』『波ぁッの人』

『急成長』『人間卒業』『幽霊物件クラッシャー』

『死を乗り越えし者』『ほぼ不死身』『超人類』

『デビルスレイヤー』『都市伝説殺し』

『ジャイアントキリング』『呪怨払滅』『魂の救済者』

『呪いがナンボのもんじゃい!』『重力からの解放』

『ナマ言ってすんませんでした』『神へ至る一歩』

『鬼いちゃん』『混沌神』『現人神』

『星の破壊者』『世界の守護者』

『魔法少女』『魔の叡智』




 新称号

 『宝具クラッシャー』

 神代の宝具を躊躇いなく使いつぶした豪胆な者に送られる称号。

 宝具を全力で使用しても壊れなくなる。もっと道具を大事にしてください。



 『魔王殺し』

 魔王を殺した勇者に送られる称号。

 すべての悪魔に対して与えるダメージが一〇〇倍になる。



 『自爆上等』

 肉体の喪失すら厭わず自爆して生き残ったクレイジー野郎に送られる称号。

 自爆攻撃の威力が一〇倍になり、消費霊力が半減する。



 『魔神』

 魔の神に至った者の証。

 人類の欲望が尽きぬ限りその魔力が尽きることはない。




 かんってのは確か、一〇の三六乗のことだったか。

 基準のよく分からない戦闘力はさておき、スキルも称号もかなり増えてきたな。


 魔神を取り込んで手に入れた『魔法創造』と『悪魔創造』のスキル。

 今回はこの二つを使ってダンジョンの核を作っていこう。


 まずはイメージを固めていこう。


 地獄のダンジョンなんだから、それに相応しいモンスターを大量に用意したいところだ。


 魔王城の書庫にあった複数の異世界のモンスター図鑑を参考にして……


 凶悪な特性だけをかけ合わせたモンスターがランダム生成されるようにして……


 ついでにモンスター同士で喰い合ってレベルアップする仕様にして、強い奴ほど下の階層に配置されるようにしよう。

 で、魔力を元にモンスターを生成する魔法と、亡者の発する負の感情を魔力に変換して回収する魔法を搭載すれば……ほい完成っと!


「……ふぅ。こんなもんでどうっすかね」


 閉じていた目を開けると、俺の手の中に握り拳程度の赤黒い塊があった。

 すると無数の目玉が眠りから目覚めるようにギョロリと開き、濃い紫のオーラが禍々しく立ち昇り始めた


「ヒエッ……おっかねぇ。ヤバい気配がプンプンしやがらぁ。お前、やっぱ邪神の類だったか」


 鬼の棟梁が顔を青くして俺に畏敬の視線を向けてくる。

 おいコラ! 誰が邪神だ!

 まぁ、思ったよりキモいデザインになっちゃったのは認めるけども。


 何はともあれ、完成したコアを地獄ダンジョンのコアルームに転送魔法で送り付けてやれば、ダンジョン全体にエネルギーが行き渡り入り口から禍々しい瘴気が漂い始めた。


 うーん、わくわく地獄ランドの完成だぁ。



【称号『迷宮地獄の主』獲得】



 『迷宮地獄の主』

 迷宮地獄の核を創造した主の証。

 迷宮内のモンスターをいつでも召喚できるようになる。

 また、迷宮内でモンスターが亡者を殺す度にソウルを獲得できる。



 ……またとんでもない称号を獲得してしまったな。


 早速獄卒に尻をしばかれて亡者たちが迷宮に叩き落とされていく様子を眺めながら、俺は自分の口角がニヤニヤと釣り上がっていくのを自覚した。


 これからアレが全部俺の経験値になるのか。

 不労所得って素晴らしいね。


「よしよし、うまいこと機能したみてぇだな。これで工事もようやく終わりだ。ありがとよ」


「役に立てたなら何よりっすわ。ただ、次からはもうちょっと穏便に連れてきて貰えると助かるんすけどね」


「まぁ地獄なんてのはナメられたら終わりだからな。怖がってもらわなきゃ困るんだよ」


 なるほど、そういうもんか。


「おーいオメェら! 宴会やるぞ宴会! お前さんも参加してってくれや。主役が来ねぇと締まらねぇからよ」


「俺未成年なんすけど!?」


「仙界の桃ジュース用意してあるから心配すんなって。おうテメェら! 神様を会場までお連れしろやい!」


 棟梁が周囲の鬼たちに声をかければ、酒の入った瓢箪ひょうたん片手に鬼たちが続々と集まってきて、あれよあれよという間にお神輿に乗せられた俺は、まだぞろワッショイワッショイと宴会会場へと担がれていくのだった。



 ★



「それでは皆の衆! 新たな地獄の完成を祝して────乾杯ッ!」


 『うぇーい!』と鬼たちが杯を掲げて宴会が始まった。

 ここは地獄の一丁目。

 獄卒たちが暮らす町の一角にある巨大な宴会場だ。


 上座に座らされた俺の目の前には、仙界から取り寄せたのだという綺羅びやかなごちそうが山のように並んでいる。


「……なんでお前までここにいんだよ」


「仕方ないでしょ、断る間もなくワッショイワッショイ連れて来られたんだもの」


 そして何故か俺の隣にはレイラがいて、警戒心ゼロでごちそうをパクパク食っていた。


「……なぁ、それ食っちまって大丈夫なのか? ほら、あの世のモノ食ったら帰れなくなるって言うじゃん」


黄泉戸喫ヨモツへグイのこと? それなら大丈夫よ。これ、全部地獄の食材じゃないもの」


「おうよ。現世から神様をお迎えするから失礼のぇようにって閻魔様から言われてっからな! 特上のモンを用意させて貰ったぜ。遠慮せず食ってくれや」


 鬼の棟梁が俺の盃に桃ジュースを並々と注ぎながらニカッと気持ちいい笑みを浮かべる。

 そっか、せっかく俺のために用意してくれたんなら、食わなきゃ失礼だよな。


 俺は盃に注がれたジュースをグイッと一気に飲み干した。

 うっま! 何これめっちゃとろける!


「おっ! いい飲みっぷり! さぁさぁ、食って飲んで楽しんでくれや!」


 飲んで食い、騒いで踊り、歌ってはまた飲み。

 鬼たちの宴会はここが地獄とは思えないほど明るく愉快だった。


「んふふ、たのしいわね」


「ああ、なんらかいい気分になっへきらぞぃ」


 次第に頭の奥がフワフワして、何だかいい気分になってきた。

 あれれー? うへへ、おっかしいなぁ。お酒は飲んでないはずなのになー。ま、いっかー。にひひひ!


「そーれ、よきにはからえー♪」


 混沌の力を使い、宴会場の一角に名酒の泉と美味い肴の生る木を生やすと、鬼たちから拍手喝采が巻き起こる。

 そーだそーだ、もっとおれをほめたたえろー。


「んふ……なんだか火照ってきちゃった……」


 レイラがメイド服の胸元をはだけさせて、手団扇てうちわで首元をパタパタ扇ぐ。


 ほんのりと上気した頬と白い鎖骨がなんとも言えない色香を放っていた。……ゴクリ。


 コイツ、こうして見るとやっぱりすげー美少女なんだよな……

 

「むにゅ……ねむぃ……」


 小さくあくびをしたレイラが、突然俺の膝を枕にしてすぅすぅと寝息を立て始めた。

 な、ななななんだよ! 今日はやけに無防備だなオイ!?


「んあー? ……オイこれ仙桃酒じゃねーか! 誰だコレ用意したのはッ! 神様は未成年だから酒は駄目だって散々口酸っぱくして言ったろうがよ! 今はコンプライアンス厳しいんだぞ! ったく、また閻魔様に叱られちまう……」


 鬼の棟梁が桃ジュースの入っていた瓢箪ひょうたんの匂いを嗅いでがなり声を上げる。

 地獄の鬼の口からコンプライアンスなんて言葉聞きたくなかったなぁ。


 つーかこれ、お酒らったのかぁ。どーりでフワフワするはずだぁね。


「あはー、らめらぁ。フワフワのフラフラぁ……はらひれほろひり。……きゅう」


「あっ神様!? おーい! ……寝ちまった」


 いよいよ酔いが回ってきて雲の上にいるような心地になった俺は、そのままふわりと意識を手放した。

 

今期の目標 コンプライアンス大事に! 

By閻魔

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[一言] コンプラは大事
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