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怒気ッ! 血まみれ修業を乗り越えて! (ポロリもあるよ!)

 四方八方、あらゆる角度から影の化け物たちの攻撃が迫る。


 奴らの動きはとにかく素早く、変幻自在でつかみどころがない。

 その身体はまさしく影のように自在に形を変え、時には影の中を移動して死角から不意打ちを仕掛けてくる。



「くそっ! 次から次からキリがねぇ!?」



 背後からの敵の不意打ちを回避したと思ったら、続けざまに別の角度から敵の爪が喉元を掻き切って俺の首が飛んだ。

 

 首の断面から霊力を噴射してどうにか空中に逃れ、そのまま身体を一気に再生させる。


 我ながら人間辞めてるなぁとは思うけど、死ななきゃ安いもんだ。

 そうそうなんども殺されてたまるかってんだよ。


 重力に引かれて落下していく身体を全身の各所から圧縮した霊力を小刻みに放出して空中で姿勢を立て直す。



【スキル『飛行Lv三』を習得】


【称号『重力からの解放』獲得】



 よっしゃ! 新スキルと称号ゲット!

 

 制空権さえ取っちまえばあとはこっちのもんだ!



「これで終わりだッ! ッ波ァァァ────ッ!!!!」



 眼下にうごめく化け物の群れに向けて全力全開の霊力波をブチかます!

 俺の両手から降り注ぐ光の柱が敵を飲み込み光の中へ消し去って────



「gろじゃpめsえげえげwwwww」


「あ……? ……ゴフッ!?」



 刹那、俺の背後に現れた影の化け物の爪が俺の心臓を貫いた。

 く……っそ、空飛べたのかよコイツッ!?


 貫かれた胸の傷口が再生しない。

 どころか、傷口がどんどん謎の力でこじ開けられていく。



「ッ!? この力、アイツの!」



 チラリと臥龍院さんの方を見ると、彼女はこちらを見上げて真っ赤なルージュを愉悦ゆえつの形に歪めていた。



『一度はあなたを殺した呪いの力。見事打ち勝ってみなさい。フフフフフ!』



 背後の化け物が臥龍院さんの声で俺にささやく。

 チクショウ、このままじゃあの時の二の舞だ!


 ええい! どうせ死にゃあしねぇんだ。なんだって試してやらぁ!


 化け物の腕が胸から引き抜かれ、大量の血がドバっと胸の穴から溢れ出す。

 広がり続ける傷口に意識を向け、傷口を抑え込むように霊力を集中させる。



 もっと、もっとだ! 力ずくで呪いを抑え込め!


 

「ぐぎぎぎぎぎぎッ! がぁぁぁ────ッ!!!!」



 呪いの力を霊力のカプセルで強引に封じ込め無力化すると、傷口が内側から「ぞりゅん!」と盛り上がり瞬く間に塞がった。


 へっ、へへへ。やればできんじゃねーか……

 あーチクショウ、貧血でフラフラしやがる。



『スキル【呪怨封緘(じゅおんふうかん)Lv五】習得』


『称号【呪いがナンボのもんじゃい!】獲得』



 呪いを克服したことで新たなスキルと称号を獲得した。

 胸の穴が塞がったことで再生能力が正常に働き、失われた血がどんどん作り出されて身体中に巡っていく。


 口の中に残っていた血反吐を吐き捨て、俺の様子をニヤニヤと眺めていた化け物に向かい合って拳を構える。



「ぺっ! ……さあ来いよ化け物。第二ラウンドだ」


「がpがp? うgggげwwwww」



 指を「くいくいっ」と動かして「いいからかかってこいよ」とばかりに俺を挑発してくる化け物。

 上等だ、やってやらぁ!



「うおぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!」


 

 一気に急加速した俺は相手の懐に潜り込んで拳の連打を叩き込む。

 飛行能力の応用で腕自体を加速させ、打撃(インパクト)の瞬間に霊力を拳から放出して威力を極限まで上げる!


 化け物の胴体に拳型の凹みがいくつも刻まれ、トドメの超回転蹴りで化け物を床へ叩き落す!


 自らの影の中に飛び込んで床との衝突を回避した化け物は、レイラと戦っていた化け物の1体と合体して巨大化。

 さらに周囲の化け物を取り込んで巨大化し、大きく膨れ上がって弾けるように分裂した!


 分裂した化け物たちは皆、不定形の怪物からスマートな人型へと変わっていた。

 しかしその全身から溢れ出る圧倒的な覇気が、あれらすべてが自分たちよりも格上であると本能に訴えかけてくる。



 戦闘力一〇〇億。それが合計八体。



 今の俺の戦闘力が七五億。

 息を切らせて敵を見据える三人の側へと降り立ち、全員に声をかける。



「へっ、どうした! お前らこんなもんでへばっちまったのかよ」


「はぁ!? 冗談でしょ。ようやく身体が温まってきたところよ!」


「オレもだぜ! いいなこの身体! 最高に筋肉って感じだ!」


「僕も能力の応用法をどんどん思いついて楽しくなってきたところです!」



 ったく、どいつもこいつも何度も殺されまくったくせに笑ってやがる。


 いや、むしろ逆か。

 何度も殺されまくったせいで、タッツンとマサのもともと緩んでた頭のネジが完全に吹っ飛んでしまったのかもしれない。


 けどそれくらいぶっ壊れてなきゃ、自分より格上で数の多い相手になんて挑めっこない。

 化け物たちの獲物を狙う肉食獣のような視線が俺たちに絡みつく。



「いくぞお前らァッ!」


「勝手に仕切ってんじゃないわよ!」


「よっしゃーっ! 筋肉に不可能はねぇーッ!」


「やってやりますよふはははは!」



 身体に纏わりつく恐怖を振り払うように声を張り上げ、オーラをたぎらせた俺は一直線に敵の群れへと突っ込んだ!





 ☆





 無明の闇の中にロウソクの火が「ぼうっ」と一つ灯る。

 続けてもう一つ、また一つとロウソクが灯り、その傍らに立つ何者かの影を闇の中に浮き彫りにした。



「みな集まったか」



 部屋の一番奥、金色の阿修羅像を背後に立つのっぺらぼうのお面を付けた男が部屋を見渡して言った。

 紋付き袴姿で、肩幅は広く背も高い。声の印象から恐らく五〇代前後だろう。


 部屋の中に灯ったロウソクの数は全部で七つ。



「首尾を聞こう」



 のっぺらぼうが再び口を開く。



「こっちは順調よ。あと三日もあれば必要量の霊力は確保できるわ」



 ピエロの面を付けた女が経過を報告する。


 声はまだ若く、恐らく二〇代前後だろう。

 大胆にくびれた腰と大きな胸、スラリと伸びた脚を強調するかのような攻撃的なボンテージのキャットスーツ姿だった。



「ちっ、まだ三日もかかんのかよ。まつりの準備はとっくに終わってるってのによォ」



 天狗面の男が不満げに声を上げる。

 赤い特攻服姿で、腰のホルスターに収まっていた二丁の巨大な拳銃を構え、手の中でくるくると弄ぶ。



「私も彼の意見に同意ですねぇ。どこかの誰かのせいで臥龍院の目を欺くのもそろそろ厳しくなってきましたから」



 東南アジアの魔除け面を付けた白衣姿の男が、天狗面の意見に同調しつつ、般若面の男へ視線を投げる。



「おいおい言いがかりは勘弁だぜ。呪物のテストがしたいって俺に出来損ないを丸投げしたのはお前だろ」


「一世代のみで出せる出力としては上々だったと思いますがね。今後の課題も色々と見えてきましたし、次はもっと上等なものを作りますよ。ひっひひひ!」


「おぇーっ、趣味悪ぅー」



 わざとらしく手をヒラヒラと動かしておどける般若面の男に、狐面の女子高生が不愉快そうに「フン」と鼻を鳴らして簡潔に報告を済ませる。



「【鍵】はすでに入手した。あとは【(はこ)】を手に入れるだけだ」


「あ、じゃあじゃあ、次は私行っていい?」



 魔法少女のキャラクターお面を付けたゴスロリ少女が元気に手を挙げる。

 年齢は一〇歳くらいだろうか。

 それだけ見れば如何にも年相応なのだが、片手に引き摺る血まみれの金棒が少女の内なる狂気を表していた。



「……やりすぎて殺すなよ?」


「はーい! キメラの呪いでも死ななかったんでしょ? 楽しみ楽しみ! いっぱい遊べるといいな! きひひひひひ!」



 血まみれの金棒を軽々と持ち上げ、うっとりとした手つきで撫でまわすゴスロリ少女。

 すでに狐面の女子高生の注意は彼女の脳内から消え失せていた。



「では、各自最後の準備を進めるように。解散」



 のっぺらぼうの号令と同時、部屋をぼんやりと照らしていたロウソクが「ふっ」と掻き消え、人の気配も消えた。




首がポロリ☆


おっさん、セクシーお姉さん、特攻服、狂気ロリ、マッドサイエンティスト、クール女子高生、飄々としたお面野郎。


どいつもこいつもヤバそうな奴らばっかりだぜ!(コラそこっ! どっかで見たことあるとか言わない!)



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― 新着の感想 ―
[一言] 次も待ってる〜
[一言] 悪の組織によくいそうな連中
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