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ドキッ! ポロリもあるよ宇宙一お嫁さん決定戦!

「という訳で唐突に始まりました『ドキッ! ポロリもあるよ宇宙一お嫁さん決定戦!』司会は私、臥龍院家筆頭執事逢魔高時が勤めさせていただきます」


 俺がすべてを丸く収めた翌日の夜。

 夢を通じて龍宮星の特設スタジオに召喚された俺とレイラは訳も分からず変なバラエティ企画に参加させられていた。


「なんなのよこれ!?」


「ふふん、来たな我がライバル!」


 突然喚び出されてパジャマ姿のままフリフリのエプロンを着せられ戸惑うレイラ。

 するとスモークが炊かれ、煙の中から出てきた龍姫が『ビシッ!』とレイラを指差し自信たっぷりに鼻を鳴らす。


 あ、龍姫ドラゴンエプロンだ懐かしい。


「なによクソトカゲ。まだ因縁つけようっての?」


「このまま引き下がったらお前に負けたみたいになるではないか!」


 脳内通信、俺から俺へ。

 どうしてこうなった?


 Re:俺から俺へ。

 それがさ、龍姫がこのまま引き下がったらレイラに負けたみたいで悔しいとか言い出してよ。

 それを臥龍院さんが面白がってあっという間に企画が決まった。



 なるほどいつものことか(白目)。


「そうじゃそうじゃ! 龍族の意地を見せつけてやるのじゃ!」


「負けるな姫! 頼むから勝ってくれ! 龍族の命運はお前にかかっておるぞ!」


 観客席から乙姫と龍王が娘に声援を送る。

 龍王だけ妙に鬼気迫っているのはなんでだ。


 脳内通信。俺から俺へ。

 なんか魔龍帝の封印は臥龍院さんが龍王の一族に任せてたらしくてさ。龍王は今回の件の責任を問われてるっぽい。

 ちなみに龍王は入り婿で乙姫に頭上がらなくて、乙姫と臥龍院さんはバチクソ仲悪いから昨日からずっと死にそうな顔してて見てられねぇよ。


 Re:俺から俺へ。

 板挟みかわいそう!


「ほっほっ、ではルールの説明に入ります」


 やけにノリノリな逢魔さんに合わせてスタジオに設置された巨大モニターに企画の説明が表示される。


 説明によるとルールは以下の通りだ。


 レイラと龍姫にはそれぞれ五〇〇〇のライフポイントが与えられる。


 二人は与えられたお題をこなし、審査員がそれぞれの基準で審査した「お嫁さんポイント」がそのまま相手へのダメージになり、先に相手のライフをゼロにしたほうの勝ち。


「なおライフがゼロになると服が弾けて裸エプロンになってしまいますのでご注意を」


「なんでよっ!?」


「ふふっ、そのほうが数字が取れるからよ」


 バカすぎる仕様にレイラが悲鳴を上げると審査員席の臥龍院さんが口元に愉悦を含ませてにっこりと笑い返す。

 相変わらずのドSっぷりである。


 しかも審査員席にしれっと閻魔様と爺ちゃんまでいるし。

 爺ちゃんは常に暇してるから分からんでもないけど、閻魔様はこんなアホな企画に参加して大丈夫なのか。


「最初のお題はこちら」


 逢魔さんが指を鳴らすとスポットライトが隣の特設スタジオを照らし出す。

 そこには一般家庭にあるようなごく普通のキッチンが向かい合うように二つ並んでいた。


 なんだか見覚えのあるキッチン……ってかまんま俺んじゃん!?

 醤油の減り具合まで忠実に再現されてて怖いんだが!?


「昨今多様な夫婦の在り方が生まれつつありますが、料理の得意な嫁が喜ばれるのは何時の時代も変わりません。そこで最初のお題は料理対決です。制限時間一時間半以内にその場にある食材を使い夫を喜ばせる料理を作ってください」


 龍姫とレイラがそれぞれキッチンに立ち冷蔵庫の中やシンク下の収納の中身を確認していく。

 ややあってレイラと龍姫は食材を手に取りほぼ同時に動き出した。


「どうやら二人ともカレーライスを作るようです。この勝負どうご覧になりますか審査員の閻魔様」


「食材もルーもすべて市販の物である以上、調理工程の工夫や隠し味などで味に変化をつけていきたいところです。付け合わせに何を添えるかでも個性が出そうですね」


 テキパキと調理を進めていく二人を審査員たちが真剣な顔で見つめる。


「龍姫選手はとてもいい表情ですね。愛する夫に喜んでもらいたいという気持ちが伝わってきます。お嫁さんポイント五〇〇点!」


「麗羅ちゃんはメイド仕えしてるだけあって様になってるなァ。料理前に髪を後ろで縛る仕草が個人的にグッときたぜ。お嫁さんポイント一〇〇〇点!」


「ふふふ、高いところのお皿を取ろうと背伸びしてるところが可愛いわね。龍姫にお嫁さんポイント五〇〇点」


 調理中もどんどんポイントは加算されその度に二人とも服が破けていまいち集中できない様子ではあったが、制限時間を少し残して料理が完成した。


 レイラはチキンカレーをメインに、彩り豊かなコブサラダと卵とコーンのスープ。

 龍姫はサバ缶を使ったシーフードカレーをメインにイタリアンサラダと卵とトマトのスープ。


 三人の審査員と俺の前に料理が並び採点が始まる。いただきます。


「このチキンカレー、とてもコクがあって奥深い味わいですね。隠し味のお好み焼きソースとコーヒーがいい仕事をしています。麗羅選手にお嫁さんポイント五〇〇点」


 バリッ!


「二人とも玉ねぎを電子レンジでチンしてから炒めてたわね。時短テクニックを積極的に取り入れていたところは評価できるわ。二人にお嫁さんポイント五〇〇点」


 ビリッ!


「先にサバ缶をカレー粉にまぶしてグリルで焼いてから煮込んだおかげでニオイが抑えられて旨味が増してるな。龍姫ちゃんにお嫁さんポイント五〇〇点」


 バリバリ!

 審査員たちが評価をつけるほどレイラと龍姫の服がボロボロになっていく。

 そんな涙目で睨まないでくれよレイラさんや。俺にはどうにもできん。

 破れたスカートからチラつく太ももとお尻が実に素晴らしゲフンゲフン!


 けど確かにどっちも美味いんだよな。

 付け合わせのサラダとスープも冷蔵庫の中の余り物を使ったとは思えないクオリティだ。

 二人の旦那になる男は幸せ者だな。あ、俺か! あっはっは!


「まそっぷ!?」


 なんて内心惚気てたらどこからともなく飛んできたロケットパンチが顔面に直撃した。前が見えねぇ……。


「なお観客席のヘイト値が一定数を越えると犬飼様に防御不能のロケットパンチが発射されますので悪しからず」


「どうして」


 逢魔さんが申し訳なさそうな顔でチラリと横を見る。

 彼の視線を辿ると臥龍院さんが口元をヒクつかせてほくそ笑んでいた。

 大画面に『すべてを察した犬飼晃弘』というテロップと共に俺の凹んだ顔面がアップで映し出されると会場から『ドッ!』と笑いが起きる。


 いや『ドッ!』じゃねーんだよ。なにわろとんねん!


「現在二人の残りライフは共に三〇〇〇ポイント。次の勝負で果たして決着はつくのでしょうか。続きはCMの後!」


後半へ続く


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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、ロケットパンチぐらいはあまんじて受け入れろ
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