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龍の試練

 謎の力に引き込まれしばらく異空間を漂った俺は、唐突に目の前に開いた穴からブリっと吐き出された。

 周囲を見渡せばそこはだまし絵みたいに立体的に交差する階段と、朱塗りの柱の回廊が延々と続く巨大迷宮の入り口だった。


 さて、龍王は能力の一部を封印するとか言ってたけど、久々にステータスでも確認してみるかね。



犬飼(いぬかい) 晃弘(あきひろ) レベル一(☆☆☆☆)


 戦闘力 一不可思議



 保有ソウル(端数省略)


 九〇〇〇那由多(MAX)/三不可思議(NEXT LEVEL)



 保有スキル


『不滅の身体Ex』『超霊闘気Ex』

『超感知Ex』『絶対防壁Ex』

『霊力波Lv一〇(MAX)』

『払魔闘術Lv一〇(MAX)』

『霊力弾Lv一〇(MAX)』

『超破霊拳Lv一〇(MAX)』

『呪怨封緘Lv八』『飛行Lv一〇(MAX)』

『魔核破壊』『仙術Lv一〇(MAX)』


 封印済みスキル

『魂魄開放Lv二』

『自動書記』『魔導士書』『魔導の極み』

『魔法創造』『悪魔創造』『空間移動』『混沌の種』



 獲得称号


『ゴーストバスター』『カリスマ除霊士』『波ぁッの人』

『急成長』『人間卒業』『幽霊物件クラッシャー』

『死を乗り越えし者』『ほぼ不死身』『超人類』

『デビルスレイヤー』『都市伝説殺し』

『ジャイアントキリング』『呪怨払滅』『魂の救済者』

『妖怪テイマー』『通じ合う者』

『呪いがナンボのもんじゃい!』『重力からの解放』

『ナマ言ってすんませんでした』『鬼いちゃん』『神へ至る一歩』

『星の破壊者』『世界の守護者』『自爆上等』『宝具クラッシャー』

『魔王殺し』



 封印済み称号

『魔法少女』『魔の叡智』

『混沌神』『現人神』『魔神』『迷宮地獄の主』『創造神』



 新称号


『創造神』

 宇宙を創造した神である証。

 枝分かれした宇宙の数だけ創造神は存在する。

 ■n■/y■@へ干渉できるようになる。




 うわ、マジかよ神の権能全部封印されてるじゃん!?

 まさか称号まで封印されるとは思ってなかった。


 新称号はシャオロンとりあったときに生えてきたやつだけど、文字化けした表記が不穏すぎる。

 なんだよ■n■/y■@って。絶対やべーやつじゃん、こえーよ。



なんじ、龍の試練に挑む者なるや?』



 と、入り口の前にブッ刺さっていた龍の頭蓋骨で作られた案山子かかしがカタカタと顎を鳴らして喋り出す。


『これより先に進めば試練を突破するまでこの回廊より出ることあたわず。回廊内で死すれば魂は輪廻へ還らず未来永劫この場に囚われ続け……』


「あー、はいはい。いいからそういうの。どのみちここをクリアしなきゃ俺は帰れないんだから。ほれ、喋れるなら道案内頼むぞ」


『あっ、何をするやめんか!? いやーん人攫ひとさらいーっ!』


「うるせぇ案山子だな」


 龍骨の案山子を力任せにブッコ抜いて杖の代わりにし、俺は龍の回廊へと足を踏み入れる。

 すると凄まじい重力が身体にのしかかってきた。

 無間地獄の数百倍ってとこか。だからなんだって話だが。


『……汝、なんともないのか?』


「まぁな」


 仙術の極意は周囲の力を自分の力に変換することだからな。

 むしろ場にこれだけ強い力が常にあるならその方がありがたい。


 しばらく回廊を真っすぐに進むと、分かれ道に出た。


「どっちに行けばいいんだ?」


『我が知るわけなかろう? 自分で考えよ』


「連れてきた意味ねーじゃん。使えねぇ案山子だな」


『だからやめよと言ったであろうに!』


 やめろと言われたらやりたくなる。それが人のさがだと思います。


『まあ我も長らくあの場に封印されて久しい身であったから、こうして龍の回廊の中を歩くのは新鮮ではあるのだが』


「そうなのか?」


『うむ。すでに我が何者であったのかも思い出せぬが、あの場に封印されたことだけは覚えておる』


「じゃあもしかしたらこの迷宮クリアできたら思い出せるかもしれねぇな」


 身体は案山子にされて迷宮の入り口に立たされ、記憶は迷宮の奥に封印されてるなんて、ゲームでよくある王道パターンだろこれ。


『かも知れぬな。いずれにせよ今の我はただのお喋りな案山子よ。持って歩いてくれる友連れがおらねばどうにもならぬ。道案内はできぬが我をゴールまで連れて行ってはくれぬか』


「まあ連れてきたのは俺だしな、最後まで付き合ってやるよ」


『おれのほうが先輩だからな! 敬えよ新入り!』


 と、俺の影から影友さんがニョキっと顔を出す。


『カッカッカ! なんとも愉快な旅路になりそうだ。よろしく頼むぞ先輩』


『えへへ、分かってるじゃないかホネ助。ガンガン行こうぜブラザー!』


「おう」


 喋る案山子のホネ助(仮)を仲間に加え、俺はなんとなくの勘に従い左の道へと足を進めた。



 ☆



 〜天の川銀河外宙域〜


「あのクソアマァ……ッ! 絶対許さねぇッ!!!!」


 ニーズヘッグジュニアは怒り狂っていた。

 本来なら今頃は龍姫との見合いの席にいるはずだったのに、龍姫に逃げられたばかりか他の男と結婚するなどと宣言されれば無理からぬことだった。


「俺を舐めたらどうなるか思い知らせてやるッ!」


 天の川銀河宙域を見渡せる地点へ到達したジュニアが吼えると配下のドラゴン愚連隊たちが一斉に口を開け、その喉奥に破滅の光が収束していく。


 その数、およそ一〇〇〇万。

 一瞬で銀河が跡形もなく消し飛ぶほどの大戦力だ。


 天の川銀河は宇宙の中でも、霊的に重要な霊力の坩堝るつぼ

 この銀河が消滅すれば龍宮一族は大きく弱体化し、支配領域を攻撃されたとあれば、龍宮側も全面戦争に出るしかなくなる。


「俺に続け! 開戦の狼煙を上げろ!」


 ドラゴン愚連隊が一斉に極光を吐き出す。

 すべてを滅ぼす龍の息吹が宇宙の闇を切り裂いて星の海を貫いていく。


「少々おいたが過ぎたわね。トカゲ坊や」


「なっ!?」


 ────だが、龍の息吹は銀河を破壊することなく闇に呑まれて消え去り、代わりに闇の中から西洋喪服の美女がぞるりと姿を表した。


「臥龍院尊……ッ!」


「あら、トカゲのくせに物覚えのいいことね」


 宇宙空間の中にあっても常の優雅さを失わず、喪服の女主人が皮肉げに真っ赤な唇を笑みの形に歪めた。


「辺境惑星の管理者風情が馬鹿にしやがって! 俺を誰だと思って────」


「命が惜しくば退きなさい。二度は言わないわ」


 ゾッ、と、喪服の女主人の気配が膨れ上がる。

 刹那、その場に集まった龍たち全員が己の死を幻視した。


 果たして本当に自分たちはまだ生きているのか。

 死を疑似体験したことによる不安が龍たちの脳裏をよぎり、恐怖が心を満たしていく。


 恐怖に満たされた心は呪力への耐性を失い、底なし沼に嵌ったかのように、喪服の女主人の術中へと落ちてゆく。


「あまり悪さばかりしていると、怖いオバケに食べられちゃうわよ?」


 喪服の女主人の呪力を帯びた言霊は龍たちの脳髄を犯し、龍たちの精神を狂気に満ちた幻覚の中へと連れ去っていく。


 ────パンッ!


 喪服の女主人が一拍手を叩く。

 瞬間、龍たちは悲鳴を上げて一目散にその場から逃げ去って行った。


「はぁ……。この程度の幻覚にも耐えられないなんて、龍の質も落ちたものね」


 どこか物憂げに溜息をき、喪服の女主人は星の海の彼方を見据えて僅かに微笑む。


「けど、龍姫のワガママのおかげで彼の育成工程をいくつか省略できたのは嬉しい誤算だったわね」


 こうも立て続けにトラブルに巻き込まれるとは、やはり彼は何かを持っているとしか思えなかった。


「ふふふ、頑張りなさい犬飼くん。あなたには誰よりも強くなって貰うわよ」


 意味深な笑みを残して、喪服の女主人は再び闇に溶けるように姿を消した。

祝 100話超え!


臥龍院さんはあらゆる平行世界の中でも五本の指に入るくらいつおいよ

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― 新着の感想 ―
[一言] 五本の指… えー、これクラスが後四人か
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