序章4話 『光-リュミエール-』(挿絵あり)
投稿期間少し開いてしまいましたが。
4話目、更新です。
今回はやっと少女の名前が判明します!
あと試験的にイメージ画を入れてみました。
ページの最後にありますのでよろしければ
ご覧ください。
ポワァァ
ポワァァ
ポワァァ
「ハァ……ハァ……」
ポワァァ
「ハァ……ハァ……」
----
チュンチュン
チュンチュン
コケコッコー!
新しい朝が来た、希望の朝だ。
イヤー、清々しい朝だ
こんな清々しい朝は初めてだ
めっちゃ体が軽い、今なら空も飛べそう!
まぁ、飛べないだろうけどね。
あれ……?
あの子がいない。
「もう、起きたのか?」
俺はベッドから起き上がり
扉へと向かう。
何気に、この家に来てから
この部屋以外に行くのは初めてだ。
キャハハハ
ホッホッホ
俺が扉の前へ来たところで
笑い声が声が聞こえてくる。
あの子の声とスミスさんの声だ。
(楽しくやっているようだな、よかった。)
ガチャリ
扉を空けると、リビングに出た。
テーブルではスミスさんと
あの子が、オモチャで遊んでいた。
樽に空いた無数の穴にオモチャの
槍を刺していき、ランダムに設定された
1本だけある正解に当たると
中央の白ひげさんが、スッポン!
と飛び出すオモチャ。
つまり、白ひげさん危機一髪だ、懐かしい。
「おう、楽しくやっているようだな。」
「おはよう。」
「おはよう!」
スミスさんとあの子が俺の方へと
振り返り、朝の挨拶をしてくる。
そして、それを真似する少女。
因みにこの少女
言葉を話せない訳では無いのだが
どうやら、言葉が知らないらしく
こうして、言葉を真似て話すしか
できないでいた。
「おう、おはよう!……てっフード!!!」
俺は挨拶もつかの間……
少女の格好を見て慌てる。
少女はスミスさんが用意してくれたのか
胸に部分に、赤いリボンをあしらった
白いワンピースに着替えており
隠していた素顔が、出てしまっている。
別に出ててもいいじゃないかって?
いや……。
ダメな理由があるんだ、何故なら……
「角と翼出てるって!!」
そう、少女には角と翼が生えている。
淡いピンク色の頭からは大きめの角が2本と
そのすぐ下に少し小さいのがもう2本の計4本。
そして、背中には白い小さな翼が
肩甲骨辺りから2本生えている。
明らかに人間とは違うその姿を
見せてしまうのはまずいと
俺は思ったのだが……。
「ホッホッホッ、慌てなくても大丈夫じゃ。ワシは驚きはせんよ。」
「……よかった。」
よかったー、理解ある人で……。
もしこの子の姿をみて追い出されたり
それこそ魔者と勘違いされたらかなわない。
……まぁ、冷静になるとさっきまで楽しく
遊んでたんだし大丈夫か……。
「まぁ、座りなさい、ご飯にしよう。」
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「昔はな魔族は結構、居たのじゃよ。」
朝食を終えコーヒーを飲みながら一息ついて居ると
スミスさんが突然きりだす。
あの子は隣で、スミスさんから貰った
神とペンにお絵かきをしている。
「魔族?」
なんだか聞きなれない単語が出てきたな。
俺はそう思った。
「そうじゃ、彼女達のような姿の者を総じて魔族と呼ぶんじゃ。」
「そうだったのか、知らなかった。」
全く知らなかった
昔は結構居たことも、魔族って呼ぶ事も。
「まぁ、お主が知らぬのも無理はない、なんせ13年前に魔族との争いが有ってな、今は居なくなってしまったのじゃよ。」
13年前なら俺は7歳か。
ん?でも魔族を見た記憶なんてないぞ?
「俺、魔族の記憶ないぞ?7歳なら覚えていそうだが。」
「それはの、魔族はその見た目から、悪魔だの魔者だの化け物だの色々言われて迫害されておったのじゃよ、じゃから当時から魔族は身を隠しながら生きておったのじゃ。」
なるほどな、だから俺は知らないわけか。
……でも、記憶には無いがもしかしたら
何処かで会っているのかもしれないな……。
あの子を見たとき、なぜだか初めて会う訳じゃないような何処か懐かしい、そんな感じがした。
「そんな訳じゃから、魔族は争いの日から完全に姿を消した訳じゃな。」
「酷い話だな……。」
酷い話だ、やはり人間は自分と違う者を
排除しなければ生きられない……
そんな生物なんだな……。
「じゃが、姿を消した魔族は、今も何処かで『魔族の国』を作り、生きておる、そんな噂は聞いたことがあるのぉ。」
「なるほどな……。」
よかった、魔族も滅んだ訳では無いんだな……。
「じゃが……な、その子は少し違うようなんじゃ。」
「と、いうと?」
「魔族はの、『動物の特長がある人』の事を総じて魔族と言うんじゃ、その殆んどは『猫やウサギ等の動物の耳がある人』や『体に動物の特性を持つ人』ばかりじゃ、しかし、この子は角が生えて翼がある……その様な動物は見たことも聞いたこともないまるで古い伝承の『龍』みたいではないか?」
確かに……
魔族が『動物の特長がある人』だと言うならば
そんな動物は居ない……。
それこそ『龍』しか当てはまる物が無い。
「……それに、お主はやけに傷の治りが早いとは思わぬか?」
言われて、見れば確かにそうだ
運び込まれてからの約2日
俺の傷はもう、ほとんど塞がっている。
グルグル肩を回してみる。
全く痛みを感じない。
立ち上がり体をひねってみる。
全然痛くない。
えぐられた魔臓の場所はまだ痛いが
ほかは全く痛くない。
「……不思議だな?」
確かに傷の治りは人より早い方だったが。
あくまで人より少しだけだ……。
こんなに早いなんて、今までにない事だ。
もしかして……
俺の隠された能力でも目覚めたのか?
今なら、空を飛べたりするかも!
「空は飛べんじゃろうな。」
スミスさんからツッコミが入る。
アウチ
言葉に出ていたようだ恥ずかしい。
「それと、実はのぅ、昨日の1時頃……見たんじゃよ。」
「見たって……何を?」
……まさかお化けではないでしょうね?
……そう言う話はマジ勘弁!
とりあえず身構える俺。
「その子がお主に、何やら光を当てておったわい。」
よかった
お化けじゃなかった。
……?
「……てっ、なんだそれ?」
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『前日の夜』
ポワァァ
ポワァァ
ポワァァ
「ハァ……ハァ……」
ポワァァ
「ハァ……ハァ……」
深夜1時すぎ
部屋の中には、優しい明かりが灯っていた。
少女がアスラに手をかざしており。
手をかざした所が光輝き、暫くし消え
また手をかざして光る、を繰り返していた。
次第に、少女の顔には、疲労の色が見え始める。
……ガチャリ
「成る程のぉ、傷の治りがやけに早いと思ったら、お主が原因かの。」
扉が開きスミスが入ってくる。
手にはお盆を持っており
上には、皿に乗ったサンドイッチと
オレンジジュースが乗っている。
「!?」
少女は驚きベッドの影に隠れ
はしっこから少しだけ顔を覗かせている。
まるで小動物のようだ。
「すまぬの、驚かす気は無かったんじゃよ。お主、まる1日眠っておったから、お腹空いてるじゃろ?ほれ、これでもお食べ。」
スミスはそう少女に言うと、手に持っている
サンドイッチとオレンジジュースを差し出す。
「……。」
しかし少女は相変わらず
顔を除かせては居るが……
警戒してなかなか出てこない。
グゥーーー!
だが体は正直だ
お腹から大きな音がなる。
少女を見れば口元からよだれが垂れている。
「ホッホッホッ、体は正直じゃな。」
ゴトリ
スミスは床に、お盆ごと置くと
数歩遠ざかる。
そうすると……
出てきた。
そろーり
警戒しながら
恐る恐るサンドイッチに手をのばす。
「!!」
余程お腹が空いていたのであろう。
物凄い勢いで、サンドイッチを平らげていく。
「ゴホ!!ゴホ!!」
がっついて食べたため
喉につまらせ、むせかえる。
「ホッホッ、急がなくも食べ物は逃げぬよ。」
むせかえる少女にジュースを渡すスミス
ジュースを受け取った少女は一気に飲み干す。
少女は一息つくと
笑いかけてくるスミスに笑顔で返した。
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「しかし、お主の力……不思議な力じゃのう。怪我を癒す力なぞ、ワシは聞いたことないぞ?」
そう、この世界には魔法はあれど、それは
地を操り、鉱物などを変形させたりする
『地属性魔法』
水を操り、水を精製したり凍らせたりする
『水属性魔法』
火を操り、燃やしたり温度を上昇させたりする
『火属性魔法』
風を操り、風を起こしたり刃にして飛ばしたりする
『風属性魔法』
この基本4属性、これしかない
怪我を癒すような魔法は存在しないのだ。
たとえ、有るとすればそれは……。
「まるでおとぎ話の『光の神 リュミエール』のようじゃの。」
そう、それはおとぎ話の中だけなのだ。
『光の神リュミエール』が
癒しの力を使って人々を癒していた。
そんなおとぎ話が有る……それだけだ。
「もしかして、リュミエールの生まれ変わり、なのかもしれんの……。」
リュミエールの生まれ変わり。
そんなあり得ない話が、もしかしたら……。
なんて思うのも無理はない。
「何はともあれ、もう遅い時間じゃ、お主も寝なさい。」
そう少女に告げるスミス。
時刻は深夜2時を回っている。
もう子供は寝る時間だ。
「……?」
「"おやすみ"、じゃよ。」
スミスは言葉が
解らないのか、首をかしげている少女に
教えるように言葉を伝える。
「……おやすみ?」
少女は
意味は解らずとも
何気なく、スミスさんの言葉を真似してみる。
「そうじゃ、おやすみじゃ。」
スミスは、笑顔で答え
静かに扉を締め、退室する。
……そして、夜は更けていく……。
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「つまりは、傷の治りが通常ではあり得ないほど早いのは、その子が原因と言う訳じゃ。」
スミスさんの口から
俺の寝ている間のことが語られた。
……何だって!?
俺の隠された能力が覚醒したのでは無かったのか!?
「まぁ、そうじゃろうな。」
またしても
スミスさんからツッコミが入る。
Ouch
また声に出ていた。
「傷を癒す力か……まるで、『光の神 リュミエール』だな。」
傷を癒す力なんて
おとぎ話でしか聞いたことがない。
懐かしいな……
よくアリシアに読んであげてたっけ。
「ワシも流石に驚いたわい、じゃがこの子がお主の傷を癒して居たのは事実じゃよ。」
そんな事があるなんてな……。
なるほど。
国が必死こいて研究していたのも頷ける。
しかし
いつまでも、あの子この子じゃまずいよな……
そうと決まればこの子の名前は……。
「……よし、決めた、お前の名前は『リュミエ』だ!」
俺は、隣でお絵かきをしている
彼女に向けてそう告げる。
隣でリュミエは……
首をかしげていた。
イメージ画です。
『リュミエ』はこんな感じのイメージです。
前書きにも書いたとおり
今回はイメージ画入りです。
こんなイメージだと言う参考になればなー
と思います。
試験的なのでまだ解らないですが
今後も挿絵を入れていきたいです。
※8月2日現在
プロローグ以外の全話を再編成しました。
地の文が大幅に増え
複写がだいぶ解りやすくなったと思います。
ちゃっかり登場人物も増えています。