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2話

2話



「私の今の研究があるのは祖父の礎によるものが大きかったのです」

 美山はそれなりに名の通った研究者であるようだ。

「その昔、超能力研究所という研究施設は、オカルトの類の同一視されており出資者も面白半分の道楽者というのが大半でした」

 その道楽者の機嫌を損ねないようにゴマスリに気をもんだり、いちゃもんに対応したり、自分の事をおもちゃとしか思っていないんじゃないかと、思うくらいの扱いを受けていたという。

「その祖父は認められる事無く亡くなりましたが、私が受け継いだ研究ノートが今の私の研究の基礎となっています」

 ここはミュータンツの体育館。月初めの全校集会の最中だ。

 校長のありがたい話。そう銘打って長々と話をされるのが普通の学校の常である。

 余談だが、あれは迷惑がられるというのが分かっていて長い説教を考えないといけない校長にとっても本当は迷惑な話らしい。

 ここは高校とは言うものの研究所。校長の代わりに研究員の一人がスピーチを考えて生徒たちに話すという事になっているというのだ。

 そうなると話が変わってくる。

 テレビカメラもやってくるとなって、自己顕示欲の強い研究員たちはスピーチの権利を取り合っているのだという。

 自分の研究はいかに革新的ですばらしいかとか、自分がいままでにどのような苦労をしたかとか、そういった話をする場となってしまっている。

 美山の言うようでは、この研究所の職員たちの研究はその祖父の研究ノートの力を借りているという事。研究ノートのおかげで自分の今の地位があるという事。

「ですがこれは恥じる事ではありません。自分の力が誰かから与えられたものであろうと、ただの運であろうと、最大限に活用をするのです。活用の仕方そのものにも、本人の裁量が問われるのですから」

 最後に、言い訳ともとれるような強引な教えの言葉で締めた美山。

 生徒達から形ばかりの拍手があり、それから美山が檀上から降りると生徒会長が檀上にあがる。

「皆の者! 今日は新しい仲間が入った!」

 開始のお辞儀もなし、あいさつの言葉もなしで生徒会長が話しだす。

 相変わらず型破りな生徒会長だ。いきなり本題に入っていく。

「この研究所の研究には力を持たないものに力を発現させるという研究もある。その被検体が今日から試験生徒として入学をすることになった」

 勇士の事だ。

 生徒会長の話はいきなり本題から入っていくから生徒達に誤解を与えることになる。

 いくら研究のためとはいえ、力を持たない人間をこの高校にいれて何をするというのか?

 そういう反応だ。

「それでは紹介しよう。狭山さやま 勇士ゆうし君だ!」

 おいおい……説明もなしかよ……

 そう思った勇士だが、紹介をされたからには出ていかないといけない。

「だっせぇ。なんだあの頭」

 そう声が上がってくる。

 そうだな……考えてなかった。このスカーフのデザインって結構ダサいよな。

 ふとそう持った勇士だが、引っ込むわけにもいかずに壇上に上がる。

「彼は無能力者であり、研究の力で微能力を得ることに成功した。なんでも彼は能力の兆候すらないという」

 この世界では能力を持たない事は恥ずかしいことこの上ないことだ。そこまで詳しく教えるなど、ただのさらし刑でしかない。

「そのおかげで少しでも能力を持っていたら使う事のできない、このヘンテコなスカーフを使う権利を得たわけだ」

 ヘンテコは余計だ。やはりこの生徒会長にはいろいろ問題があるようだ。

「それでは君、能力を使って見せてくれ」

 この微妙な能力を、生体戦術兵器と呼ばれるミュータンツの面々の前で披露しなければならないのだ。

「ええい……しょうがない……」

 勇士は手を前に出し炎を手から吹きださせた。

 すぐに生徒たちからクスクスと笑いが起きる。

 このしょぼい能力は生徒たちからしたら失笑レベルのものなのだ。


 教室に行き席に座る勇士はぐったりした。

 ここは実力が全ての学校である。最初から能力が底辺であると曝してしまっては友人ができるだろうかが心配なレベルだ。

「えっと……勇士君と呼ばせてもらっていいかな?」

 そうだ。こういう奴に声をかけるのはこういうタイプのみだ。

 いかにも委員長という感じの女の子。髪は三つ編みといってもさすがに昔みたいな無造作に両側に伸ばしたものではない。

 三つ編みの髪を頭に回し長く伸びたもみあげにささやかなリボンをつけられている子だ。

「はい……いきなり醜態を曝した勇士です……」

「ずいぶんと堪えているね……」

 あれは周りからの同情を買うレベル。彼女の反応からそれは分かる。

「えっと……私の事は遠声とおせって呼んでいいよ。一応、テレパシーの能力者です」

「はい……私は一応パイロキネシスの能力者です」

 他にも能力はあるのだが総じてしょぼい。曝すと恥の上塗りになるだけだから黙っている。

「本当に一応だったな」

 そこに、やたらと重そうな金属の腕輪をつけた少年が現れた。ミュータンツの生徒には、能力に合わせたアイテムを持つことが許されているのだ。

 遠声も腰にメガホンをつっている。

「俺は箔斗はくとまあ、あの会長の言う事は、忘れないようにな」

「箔斗君!」

「遠声。会長の言いたいこともわかるだろう? こいつは無能力者なんだから」

 学校とはいえここは研究所。研究の役に立たないものは基本的に不要だ。その点では一応勇士は問題ない。

 だがそれとともにここは能力者の養成学校でもある。能力を強化できない者は必要ないというのも事実だ。

「いつ研究が白紙撤回になるかわからんし、実力の世界だし、彼をこの学校になじませようって考える方が逆に残酷じゃないか?」

「箔斗君!」

 遠声は箔斗をとがめるように言うが、箔斗は耳を貸そうという様子はない。

 それに、箔斗の言う事も正しいのだ。

 研究が途中で頓挫するなんてよくある話。国家研究所は資金の取り合いでもある。あんな醜態を晒そうものなら、他から攻撃のタネになる事だってありえる。

 他人の研究が凍結でもされれば、その分自分の方に回ってくる研究資金も増えるのである。

「ホームルームだ。全員着席してくれ」

 教師らしい。研究員のような白衣を着ているのだがそれが全くにあっていない。

 まるで、ヴィランと思えるような、大柄な怪人のような姿だ。

「あれは、マックルーだ!」

 その教師として現れた男は、ナンバーファイブの人気を持つヒーローであるマックルー。本職は大学の教授であるとは聞いていたが、まさか自分たちの教師になるとは思わなかった。

「すまない。この姿を最初からひけらかすつもりはなかったのだが、どうにもガマンのならない事があってね」

 マックルーが言うには自分が抑えようのない怒りを感じた時、この姿になるのだという。マックルーにとって許しがたい事が起こったというのだ。

「勇士君……でいいかな? 君の苗字は読めないからな」

 勇士にとっては昔から何万回も言われたことである。いまさら気にする事ではない。だが朝の全校集会の事もあり、勇士の事となれば橋が転がっても笑う人間が出てくるような状態。

 クラスの生徒達はクスクスと笑いを漏らした。

「君の実力を試すことになった。あの程度の能力で、ミュータンツに入学する権利があるのかとね」

 箔斗の言った事は、いきなり現実となった。

『早くもかよ……』

 そう溜息混じりの声が聞こえてくる。遠声をチラリとみると、おずおずとした顔で勇士の事を見上げている。

「研究の初期段階が実用レベルのわけがない事くらい研究者だって承知だろうに、自分の研究の初期データを曝してからそう言え、とか個人的に言いたいことは多いのだが……」

 それからマックルーは続ける。

「君は、このクラスの全員と鬼ごっこをしてもらうことになった」

 鬼ごっことは聞かない言葉だが、何の事なのか、すぐにわかることになる。


「当然ながら子供の遊びの鬼ごっことは違う」

 それからマックルーは始める。今はクラスの人間は学校の運動場に来ていた。野球のグラウンドのようなこげ茶色の土が敷かれている。小石すらも転がっておらず、転んでもそれほどの怪我にはならなそうだ。

 男子の運動着はアスリートの着るような伸縮性にとんだ運動着である。女子も上半身はそうであるが下半身は今は絶滅したとさえ言われるブルマを着ていた。

 勇姿はネットの噂では、『一人』の研究員が盛大にゴネてブルマが採用されたという噂を聞いた事があった。

 マックルーは全員がそろったのを見ると説明を始める。

「それぞれがシンボルになるアイテムを装備していると思う。それが相手に外されたら負けというシンプルなルールだ」

 そうマックルーが言うと、チョーカーをかけている生徒はチョーカーのカギをかけ、腕輪をかけた生徒は腕輪の調整をきつくした。

「あの……それってめっちゃ不利なんじゃ?」

 勇士は言う。バンダナは頭に巻いているだけだ。目に見えて簡単に外すことができることができる。

「君が希望するなら、今から頭に縫い付けてあげよう」

「希望しないよ! なんで比喩抜きで体の一部にしないといけないんだよ!」

「なら、そのままだな」

 マックルーは冷静な様子で言っていた、本気か冗談かわからない。この場でオーケーを出していたら、本当に縫い付けられていたかもしれない。

「見ての通り、体にくくりつけいている者もいるからな。相手を倒せば勝ちというルールも追加されてる」

「おい! それは最悪だぞ!」

 倒すという事は戦うという事だ。冗談ではない。ここはビルを吹っ飛ばし、ダンプカーを持ち上げるような連中の集まりなのだ。

 とはいえ、生徒たち全員が体に固定したシンボルを使っている。そのルールがない限り、勇士には勝機は全くないと思われる。

「まて……そういえば通声が……」

 彼女はメガホンを腰につっているだけだった。あれなら奪えるんじゃないかと思い、遠声を探す。

『残念だけど、私は実況だよ:』

 頭の中にそう声が聞こえてきた。

『テレパシーの能力者だから、実習には不参加』

 能力と言っても透視や予知の能力者もいる。そういったものは実習では裏方に徹して不利な方のサポートをするなどして経験を積むのだという。

『私の他にも予知の未来『みく』ちゃんと透視の内見『うちみ』ちゃんがいるよ。がんばって』

 まだ会っていないがそのような名前の子もいるらしい。予知能力者とテレパシーの能力者と透視能力者ののサポートがあるというのは行幸ではあるが、不利には違いない。

 ほかの生徒たちは獣が獲物を狙う目を通り越し、おばさんがバーゲン品を狙うような恐ろしい顔つきでカメレオンのような長い舌で唇を濡らして舌なめずりをしていた。

 無論、勇士からはそう見えたというだけの事である。実際にそんなに長いわけではない。

『ぷっ……おばさんがバーゲン品を狙うって……』

 遠声からそうテレパシーが送られてくる。考えている事は筒抜けらしい……余計な事は考えないようにしようと、勇士は心に決める。

『この勝負に勝ったら、ちょこちょこ君の頭の中読ませてもらうことにするよ。だから生き残ってね』

「こら! サポート陣! マジメにやれ!」

 サポート陣たちは全員まとめてクスクス笑っていた。マックルーからの激が飛んでいく。

『みんな無策でつっこんでくるつもりみたい。作戦なんて必要ないって』

 中にはバンダナを取った人間が昼飯を……とかどうとか、のんきな話し合いをしている者もいるというのだ。

 無策で突っ込んでいくるという事は足の速いやつが最初に来る。そいつの能力は怪力に対処できるだろうか?

 勇士はこの絶望的な状況で頭を巡らせた。

 ゲーム脳だ。絶望的な状況でもとりあえず勝ち筋を考えるのは頭に叩き込まれてる。

『そ……そうだね。足が速いと言えば飛田とびたさんだけど……』

 遠声から送られてくるテレパシーの内容で飛田の能力は分かった。

 推力増強だ。自分の周囲に力場を発生させ、思い通りの場所に動くことができる。

 自在に移動や飛行が可能と考えればいい。速さは二百キロ以上になるがその速度を出すにはマスクを装着する必要がある。無いとまともに息ができない。

 そのマスクがシンボルだ。

「あれか……」

 飛田の姿を確認する勇士。口の部分を覆うマスク。それにはハートのマークがプリントされていた。

「はじめ!」

 マックルーが言うと、飛田が真っ先に勇士の前にまで飛んでくる。その動きは素早く、一瞬で勇士のバンダナに手を伸ばした。

 だがその行動は分かっていた。

 飛田の手を掴むとその手を思いっきりぶん回した。

 能力としてはしょぼいとはいえ百キロのバーベルを持ち上げる怪力だ。四十キロ前後であろうと思われる小柄な少女くらい楽々と放り上げることができる。

 腕をつかみ飛田を地面に叩き伏せた後、勇士は飛田に馬乗りになってマスクを引きはがした。

「へ……?」

 飛田は呆然とした顔をして勇士を見上げた。

 そして、クラスのメンバーも同じような顔をして勇士を見つめていた。

 マックルーも少しの間そのような顔をしていたがすぐに正気を取り戻す。

「試合を続けろ!」

 そう言われ他の生徒たちも正気に戻って勇士に向かっていく。

『俊足のしゅう君だね』

 遠声から送られるテレパシーで蹴の能力を確認。肉体強化である。シンボルは走るために足に取り付けられた錘だ。

 肉体強化となれば……

 勇士は必死に考えた。

「これだ!」

 勇士は水を操る能力がある。勇士の回りの土の水を一瞬で蒸発させ、砂地にした。

「うおぉ! なんでいきなり!」

 情けない悲鳴を上げた蹴。グラウンドがいきなり砂になり走りにくくなったので足を取られて動けなくなったのだ。

「さらにだ!」

 さらに足元の砂を蒸発させる。錘のせいで足が埋まって思うようにうごけなくなっていた。

 ちいさなつむじ風を起こし、蹴のまわりを砂が覆う。

「砂嵐だ! 口を押えて目と耳を閉じないと砂が入るぞ!」

 言われて蹴はうずくまった。

「蹴! 失格!」

 マックルーから宣言が飛ぶ。これで蹴を倒したと判断されたようだ。

『みんな本気になってきたよ……』

 遠声を通して、ピリピリとした空気が伝わってきた。ここからが本番と言う事だろう。

「次は俺がいく! 文句は言うなよ!」

 なんか順番で勇士にかかってくるような空気になってしまっていた。

 全員でくれば俺はひとたまりもないのに何を考えているんだ?

 そう思うがそれをとがめる遠声の念波が届く。

『そういう考え方ヒーローらしくないよ。邪魔者なしで一対一で戦いたいって思うものじゃない』

 ヒーローらしくないという言葉は微妙に勇士の胸に刺さった。

 その男子生徒は、こうというらしい。手から光線を放つという。自分の光線で目をやられないようにサングラスをかけている。それがシンボルだ。

 手を前にかざし、勇士に狙いを定める。

 勇士は光の頭の中を読む。くる瞬間がわかっていればたとえ銃弾だろうが光線だろうが避けられる。ついでに光の身体能力は運動神経のいい高校生レベルらしい。

 なら近づくのが一番いい。

 勇士は光が光線を放つと同時にテレポートで移動した。

「このっ! このっ!」 

 訓練をしているだけあって熱くなっても光線の照準は的確であった。

 何度撃っても、テレポートをくりかえしてジリジリ距離をつめていき、やがて勇士は光の眼前に立った。

 光はそれでもあきらめず勇士の目と鼻の先に手を伸ばす。

 だが、光線は何もないところに放たれた。懐にまでテレポートで移動した勇士は、光を持ち上げてからバスターで地面に叩きつける。その後サングラスを取り外した。

「知っている奴と戦うのはバツが悪いと思っていたが、こういう事なら別だな」

 次に出てきたのは箔斗だ。

「俺の能力は金属の自在操作だ」

 自分から能力を言う箔斗。手首の金属製の腕輪を剣の形に変えた。

「チタンってのは軽いぞ。足元を崩しても意味がない」

 ご丁寧にさっきの戦法は効かないと教えてくれた。

 小細工の効く相手ではなさそうだと思い、勇士は箔斗に向かっていく。

「真っ向勝負だと!」

 勇士が真正面から向かってきたのに箔斗は驚いたようだがすぐに迎え撃つ。

 距離をとって勇士は炎を撃ちだした。

 火炎放射器のような強力な炎が箔斗を襲う。

 数秒間時間が流れた。炎を撃つが反応はない。マックルーが止めにも入らない。

 勇士は炎を止めて箔斗の様子を見てみた。

 箔斗はチタンを使って盾を作り炎を防いでいたのだ。

「油断だな!」

 箔斗は縦をチェーンに変えて勇士に向けて伸ばした。チェーンは勇士に絡みついて拘束をする。

「これで勝ちだ!」

 箔斗が宣言をするが勇士はすぐにテレポートで拘束から脱する。

 あの金属は武器にできる。武器になって攻撃をしてきた時が奪い取るチャンス。

 勇士はそう考える。つまり箔斗からの攻撃を誘い、それで武器を奪うのが取るべき戦法だ。

 長い得物を生成させて奪い取るか、近づいて攻撃を誘うかの判断だ。

 近づくのはリスクが大きい。距離をとって様子を見ることにする。

 箔斗の事を見ると、こちらの事を注意深く観察していた。箔斗の頭を読むと、やはりというかこう考えていた。

『もしかしてこいつ、テレパシーも持っているかも?』

 正解だよ……

 勇士はそう考える。

 それから考える事はこうだ。読まれていてもよけきることのできない攻撃を使うしかない。ならそれには速度である。

 チタンを槍の形に変えて勇士に突き刺す。

 早い……ギリギリだな……

 勇士にとっては避けるので精いっぱいの攻撃であった

 箔斗も手ごたえを感じたようだ。次々に勇士に槍を突き刺していく。狙うのはシンボルのある頭部が多い。バンダナが引っ掛かって外れれば儲けものと考えているのだ。

 当然フェイントも兼ねて胴体にも攻撃をしていた。

「槍なんだから……」

 ふと勇士の頭に考えが浮かぶ。テレポートで槍のすぐ隣にまで飛び、槍を掴んだ。

「かかった!」

 箔斗は勝ったつもりである。槍をグニャリと変形させて勇士に巻きつけた。この反応は予測済だ。

 勇士は箔斗の体に思いっきり蹴りを入れて槍を引きはがすつもりだった。

「そこまでだ!」

 そこに声がかかる。

 勇士と箔斗の二人がうざったく思いながらそちらの事を見ると、遠声が一人の生徒に捕まっていたのだ。

「バンダナを外しな。そうすりゃ放してやるよ」

 首に腕をまわされて拘束をされている遠声の顔に、パイロキネシスの炎が突きつけられていた。

「問答は無用だ。三秒以内に外せ」

 勇士はバンダナを外した。そうすると遠声は離され、その男子生徒は勝ち誇って宣言する。

「俺が勝ったぞ!」

 当然こんな勝ち方でみんなが納得するわけもない。みんなこの結果に唖然とした顔をしていた。

 悔しがっているのは勇士くらいである。

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