弐…陸と山(奥)其ノ下
其ノ下です。至らない点などありますがよろしくお願いします。
夜、零時……………
僕は何者かに襲われた…胸をナイフで深々と刺された…と思ったのは僕を襲った犯人だけだったのだけれども…で、とっさに炎刀―炎雷―を造った。そして、犯人の首筋に剣先を向けた。顔を確認したらそいつは、火憐だった。
「おい、これは…どういうことだ?」
―――何も答えない。なのでもう一回。
「これは…どういうことだ?」
もう一回…
「これは…どういうことだ?」
「何度も言わなくても分かるわよ―謝ってもしょうがないけどね…私は、貴方…いえ、貴方達を殺さないといけないの。山から来た獣達を。でも、まず、貴方から殺らないと大変そうだったから―貴方にしたけど。」
…………なるほど、だから俺以外の奴らは放課後、教室に残っていなかったのか。多分、何か理由をつけて俺と二人きりになるようにして確実に仕留めようとしたわけだ。しかも、まだ学校が始まってから一ヶ月も経っていないし彼女と出会ったのが高校に入ってからなので安々と自宅に泊める筈がない。
「酷い事をするな…」
「しょうがないじゃない…『組織』が、貴方達を処分対象としているのだから。」
「『組織』ねぇ〜。じゃあ今、此処にいる三人目は、其の『組織』とやらの人間だと言うことなのか?」
「!!!!」
「殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル殺サレル」
「おい!どうした!しっかりしろ!」
もう此れは―気が狂ってしまったとしか言いようがないほど火憐は、泣きながらこのような事を奴が来るまで叫んでいた―俺にしがみついて―そう、自分を殺そうとした奴に助けを求めるくらい彼女―火憐には、余裕が無かったのだ。
そして、『奴』が来た…いや…奴の気配は感じたが奴の姿を捕らえることはできなかった。『奴』が火憐を襲うまでは…襲うといっても後ろから剣で胸を貫こうとしただけだけど。(そうなると俺も一緒に殺られてしまうので)俺が、それを許さなかった。鉄の板を火憐の背後に出し、『奴』の剣を折ったのだ。そして、刀で奴を斬る―だが、奴はやっぱりそれを避けるそして言った、
「なかなかやるねぇ〜見直したよ〜これじゃ、火憐がとどめを刺せれないのも理解できるよ〜あ〜でも、火憐、君はもう使えない。僕との契約も無いことにしていいよ〜但〜し、契約が切れた場合この屋敷は、僕の物になるけどね〜」
怯えていた火憐が、口を開いて震える声でこう言った。
「わかったわ、貴方と契約が切れるなら屋敷だろうとなんだろうと譲ってあげるわよ!だから―もうかかわらないで。」
「おい!それで良いのか?この家だってお前の家で家族だっているんだろう?簡単に譲るとか言うなよ。」
「いいんだよ―私には家族は、もういない…みんな私の目の前でこいつに殺されちゃった…」
「だったらなんで…」
「最後にお父さんが言ってくれたんだよ。『なんとしてでも生き残れ。絶対に死ぬな。どんな手を使ってでも生き残れ。』ってね。」
「そういうことだよ〜、『獣』〜だから早〜くこの屋敷を渡すんだ。」
「わかったよ。火憐どうする。」
「もう覚悟はできた。荷物もまとめてある…」
「ちょっと待って!荷物がもうまとめてあるってこうなることがわかってたの?」
「いえ、この家が大きすぎるから自分の使っている部屋にまとめてあるってだけ。」
ならいいけど――――
「続きね…今からこの家を準備ができ次第出るわ。」
「ほう〜わかってるじゃん。じゃあさっさと準備をして出てってもらおうか!」
「行くわよ。暁人…今日は、ありがとう。」
そう言って火憐は自分の部屋に行き荷物を全部持ってこの家を出ていった。勿論、僕も一緒に着いて行ったけど…外だってもう暗いし、しょうがないので僕の家(と言ってもただのマンションの一部屋なんだけど…)に泊まってもらうことにした。
「大丈夫だって!変なことしないって!僕は悠河の所で寝るから!今日は、此処で我慢して下さい!」というのが言い訳というか説得というものだけど―理解してこう答えてくれた。
「大丈夫。君の事は信用しているから気にしないで、今日はありがとう。後、ここで寝ても良いから…」
その後の事は余り記憶にないが…多分すぐ眠ってしまったと思う。ということで『奴』との出会いは、終わった。しかしこれからも厄介な事が続きそうな予感がしてきた。
こんな物語が誰かに読んでもらっている事がとても嬉しくまた、ありがたく思います。至らない点がありますがよろしくお願いします。
また、次回の投稿が大晦日前後になると思いますがご了承いただけると有難いです。