肆…夏期長期休業其ノ參
文章など至らない点がありますがよろしくお願いします。
田仲火憐、彼女は僕を刺し殺そうとした。実際、僕は死ななかったので殺人未遂として捜査されるはずなのだが捜査はされていない。それどころかこの事件が無かった事になっている。なぜなら、現場には証拠となるようなもの、僕が池のように流した血だって存在しなかったそうだ…。確かに僕は病院に運ばれてたが、それも何らかのことがあって倒れてしまった。と言う事になっていた。有耶無耶にされてしまった…。多分…僕の勝手に考えたことなのだが、地下…黄泉国…『奴』が関わっているかもしれないと思った。(黄泉国といっても全体がこんな事をするはずが無いと思う。)もし、そうなのであるとすれば警察にだって何らかの影響を与えることだってできるかもしれない。例えば『殺す』とか…。しかし物凄い厄介なことに巻き込まれてしまったと改めて思う………………………。
前置きはこのくらいにして、僕が玄関で倒れてしまった後にどうなったか…から語っていこうと思う。あの後僕は自分の部屋に運ばれたらしい。一番はじめに気がついたのが陰娘。大声で…
「…陰人!今すぐ来て!!」
と言ったらしい…実際想像が全くできなかった。その後直ぐに陰人が来て僕の様子を見て部屋に運んだらしい。病院に何故行かなかったというと、応急処置だと言っていたけれど、多分陰娘の治療で間に合うと思ったのだろう。それもそれでどうかと思ったのだが…後の祭りだ。しょうがないで済んで本当に良かった…で、陰娘が診断した結果、僕は相当な疲労だったそうだ。素人なのによく分かったものだ…
「…暁人違う…。私は、人をじっくり見ることでどんな状態か分かるの…。」
いつからここにいたの?びっくりした。布団の横にいて看病してくれていたのか…ありがとう…。
「そうなんだ…初めて知ったよ…。」
「…だって今日初めて言ったもん…。暁人に…。」
陰娘についてまた新しい情報を手に入れた。赤石姉弟本当に何者だ?
話しを戻そう。その後安静にして僕は丸一日寝ていたらしい。やっぱりなと思うと言うか…想定内だった。一日で済んだのが意外だったのだが…。しかし、その後に分かった事に驚愕した。
僕は殆どの体力を失った。僕を刺したナイフにそういう能力があったんだと…。体力を失う=物を造ることが難しくなる=山の最弱がもっと最弱になるという事。もう言葉も出ない…。因みにナイフの効果は、陰娘が直接火憐に聞いたらしい。それもそれでどうかと思ったのだが…終わりよければ全てよしではないけれど結果オーライなのでいい事にする。
確かに学校からマンションに帰るのだって一苦労した。て言うことは…歩くのだってままならないと言うことになる。もうどうして良いか分からない。ナイフを壊してもいいけれど壊して意味があるのか?と問われると自信がなくなる。もしもとに戻らなかったら…と考えると恐ろしい。余談だが夏の課題はすべて終わらせた。体力が取られる前で良かったと思っている。多分、これだけが今の僕の支えになっていると言ってもおかしく無いと思う。文字、課題が終わっていなかったら…怖くて考えることも出来ない。
今の状況を一言で表すとするならば『絶望』だ。それ以上であっても以下ではない。山の最弱の最弱…、こうなったら火憐の家に行き『奴』と戦うことだってままならない。そもそも火憐の家に行けるかどうかだって分からない。完全なる置物だ。今の自分にはなんの価値もない。夏休みは、後三週間と少し…、その間に何とかしなければならない。もし……
ネガティブな推測はよそう。
それにしても、今日は、暑いな。三十度は超えている…当たり前か…。三十五度位かな。この頃また気温が上がっていると思っているけれど、どうも今は、恐竜がいた時代、白亜紀などよりも気温が低いそうだ。一応氷河期?らしい…。何処かで誰かから聞いた話なので信憑性があるかどうかは責任を負えないが…。
よし!こうなったら寝て体力回復に集中しなければならない。せめてでも、学校には自力で登校したい。もしも悠河にかつがれて登校なんてしたら次の日から絶対に学校にいけなくなってしまう。体力つけるなら運動した方がいいという意見もあると思うが、そんなことしたら死んでしまう。そんな恐ろしいことできたものじゃない。運動するんだったらもっとマシにならないと…。多分日常生活には支障が出ないと思うが…。一から体力を造り直すのも手かな?と思えてきた。何とかして頑張らなくては!
あ、そうだこのことを聞かなくては、布団に横になった状態で僕の事を看病してくれている陰娘にこう質問した。
「火憐は、その後どうしたんだい?ここに帰ってきたの?」
「…うん。…帰ってきた。…泣きながら。…そして、…部屋に入って。…まだ出て来ていない。…でもご飯は、…毎日出したら、…食べてくれている。」
「そうか…結構ショックだったのかもしれないな…これからどう接していけば良いのだろう?」
「…普通に接すれば良いんじゃない?…そのほうが、…私だったら気が楽。」
「ありがとう。気を付けてみるよ。おやすみ。」
「…おやすみ。…何かあったら呼んでね。」
僕の部屋の電気を消して、陰娘は部屋を出ていった。
外はいつの間にか夕方になっていた。夕日が眩しい。あれ?目から水が流れてきているぞ?どうしたんだろう?何か変なものでも食べたのかな?クソ、枕が濡れてしまうではないか。
「くそ……………」
駄目だ、いくら拭いても目から水が流れてくる。止まれよ!止まれよ…。あ〜もう寝よう。その後火憐が僕の部屋に入って来たのを僕はその時知らなかった。
何か夕方って寂しくなりませんか?私は、なってしまうような気がします。でも夕焼けがあれば明日は晴れだといいますし、希望だってあると思うのです。
これからもよろしくお願いします。




