肆…夏期長期休業其ノ貳
夏期長期休業其の貳です。至らない点がありますがよろしくお願いします。
仲間がいて良かったと思ってから三日後僕は、『驚異的な回復力だ』と、お医者様に言われて退院した。別に『驚異的な回復力』ではなくただ単に傷口を直したと言うか…『造っただけ』なのだが…それでも予定よりも早く退院できたのは幸運だ。早速家に帰る。家に帰るにはここからだと近くの駅から電車に乗らなければならない。別に電車は、好きでも嫌いでもないが混雑している電車だけは好きになれない。一回東京に行った事があるのだがその時の事が今でもトラウマになっている。でもここは田舎…程よい田舎。と言っても田んぼしかない田舎ではない。表現の仕方がよくわからないが…人口十万人の市位の田舎だ。それでも電車は混むし、下手をしたら都会と同じくらいになるときだってある(稀にだが)。但し、二両編成か、三両編成。
車が主流なので一時間に一本位しか電車が来ない。普通に乗り過ごしたら一時間駅で待っていなくてはならない。次の発車時間は……今から十分後九時五十二分もう手続きは済ませてあるので…、走る走る走る。限界まで飛ばす。あっ、ヤバイ。もう息切れしてしまった…走れない…それもそうだと思った。殆どの体力を自分の体の回復に使ってしまったのだ。体力が無いに決まっている。それでも諦めない………………
…………………間に合いませんでした。次は十時四十七分…。自分の体力の無さに落胆した…。しょうがない。待つか…。待っている間とあるSNSのグループで
akito『電車に乗り遅れた\(^o^)/』
と発言?した。陰娘からすぐに返事が来た。
こ〜『ざまーw』
続いて陰人
かー『大丈夫か?あと一時間だな。頑張れよ(笑)』
最後に止め…
悠河『ドンマイ。』スタンプ。そのスタンプがいかに僕を挑発してきたかにはご想像におまかせします。
このグループは、山(奥)だけのグループ、もしもクラスのグループに送信していたら…と考えると怖くてたまらない…。鶴河とか…いや待て、鶴河なら何とかしてくれるかもしれない…よし(๑•̀ㅂ•́)و✧連絡を取ってみよう!
akito『鶴河〜今病院出たんだけど電車に乗り遅れてしまったんで何か助けてください。』
鶴の恩返し『今ちょっと忙しいからそこまで行くのは無理…』
鶴の恩返し『でも、バスならその駅ならすぐ来るよ。それに乗りな』
akito『ありがとうございました。』
鶴の恩返し『いえいえ』
流石鶴河‼いろ色々分かっている。よしそのバスに乗って帰ろう。いや…ちょっと待て。鶴河が忙しいって何があったんだ?いつものなら暇すぎて死ぬとか言っている奴が…聞いてみよう!
akito『忙しいって、何やってるの?勉強?』
鶴の恩返し『違うよ』
と、送られてから写真が少し後に送られて来た。その写真は、鶴河と流のツーショットだった…。とても良い笑顔である。もしかして!!と思い返信。
akito『これってどういう事?彼女できたのか?一学期で?早くない?』
鶴の恩返し『いいでしょ!』
鶴の恩返し『お前も頑張れよ!』
akito『余計なお世話だ!』
akito『ところで、流とはいつ仲良くなったんだい?余り一緒に居るところを見たことが無いのだけれど…』
鶴の恩返し『それはお前の視点だろ?お前が見ていない所でも様々な物語があるんだ』
鶴の恩返し『今回は、その例の一つ。ていうか、普通は隠すと思うけど…』
akito『そういうもんか?』
鶴の恩返し『そういうもん』
これでSNSを使った会話が終わった。もうする事が無いと思ったけれどバスかを来た!よし!これで帰れる。早速乗り込んだ。
バス…この乗り物も、田舎では三十分で一本、または一時間で一本、酷い時は二時間とか待つ事だってある。バスなんて乗らない事が殆どだし、市民の足は、車なのでしょうがない無いのかもしれない。また車が運転できない僕達のようなものは、自転車か、歩くことが殆どだし、使う人もいるけれどそれほど多くなく、通学に使う程度で日常生活ではお世話になったことが無い。かくいう僕は前に一回だけ友達とバスに乗って帰ったことがある。その時にバスの事について色々教えてもらっていた。もし、教えてもらっていなかったら大変な事になっていたかも…でもそこまで大変では無いか…。
生憎この日もバスには乗客が全員座れるスペースがあり、椅子を一人一人が二つ占領している。病院からは海は、見えなかったがだんだんと見えてきた。初めてここに来たときは『海だーー!』と騒いだものだが…今になってはなんとも思わない。そんな事を思っていたら…。普通の人ならば多分、絶対に入れない所に集落があった。海斗から聞いていたのですぐピン!ときたが、あれは海村。僕は海の中にあるものだと思っていたがどうも違っていたらしい。海上にあるが陸とは続いていないと、思う。しかし、陸(海岸)でも生活しているらしいので何処かに陸と続いている所があるかもしれない。海の中にも陰らしきものがあったので不思議に思った。分からないところはまた海の人達に、聞いてみようと思う。
そしてバスは、まだまだ海岸沿いを走り続ける。
「海〜海でございます。」
アナウンスが流れた。海でも止まるんだなと改めて思った瞬間だった。
ピンポーン
誰かがボタンを押した。バスが停まり、ドアが開き殆ど全員が降りていった。全員海の人だった。結構衝撃を受けた。
乗る人なし。
現在乗車人数、僕を含めて三人、運転手さん、お婆さん以上。といってもさっきまでの乗車人数だって八人という少なさだった。ので流石にバスの運行会社は厳しいなと思わざるを得なかった。バスの運行数も少ない理由と分かった気がする…。
海の集落の次は、少し陸の方に入ってくる。そう僕がいつも通っている大きい道に入る。但し、学校前で下りなければ僕が住んでいるマンションから遠ざかってしまうので学校前のバス停で下りる。ちょうどアナウンスが聞こえた。
「学校前〜学校前でございます。お降りの方は…」
ピンポーン
「次。止まります。」
やっと着いた…。お金二百二十五円を払い下りた。しかしここからまた、歩かなければならない。しかもマンションまで結構な距離がある。体力持つと良いなと願いながら歩いていく。まさしく地獄のようだった。しかし、実際の地獄は、もっと凄いのだろうけれど…。
いつもならなんともないのに、歩いているうちに足が痛くなる。今までこんなことは絶対になかった。しかも息切れがとても早く感じる。傷口を直しただけでここまで体力が減るのもおかしいなと、今頃になってから気がついた。自分で言うのもあれなのだけれど…遅かった。もっと早いうちに気づくべきだった…。例えば…病院から駅まで行くのに時間がかかり、電車に乗れなかった時に…でも、後の祭りだ。そんな事を今恨んだってしょうがない。だったらいかにして早くマンションに帰るかが重要になってくると思う。まだ午前中だから良いのだが…『悪霊』が出て来る夕方は、今の僕にとってはとても危険である。下手をしてもしなくても今度こそ死んでしまうかもしれない。かも知れないではなく、確実にと言った方が良いかもしれない。そんな事だけは絶対にやだので気力を振り絞って歩く。携帯電話の存在も今の僕の頭にはなかった…。距離は、後、半分。やっとここまで来た。物凄く苦しい。痛い。気が遠くなる。
キーンコーンカーンコーンと正午の合図がこの街中に響いた。もう、こんな時間になっている事には気付かなかった。しかし、日が沈む前にはマンションに帰れそうなのでホッとする。
あ〜苦しい。息が直ぐに切れてしまう。正午のチャイムから一時間後、バス停から計二時間と三十分、やっとマンションに着き、玄関に入った。いつもなら一時間と三十分で着く道のりだった。流石にこれはまずいと思い、陰人を訪ねようとしたけれど…。ち…からつ…き…て、し…まった……。
そういえば最近一日中寝てた日がなかったなと思いながら…
夏休みです。そういえば夏休み、八月中に山の日というものができましたが…八月に祝日ができたので六月にも何らかの休みがほしいと思っている今日この頃です。
休みといえば、今年は祝日が結構潰れるらしいですね…まあそういう年もあるということでしょう!
これからもよろしくお願いします。




