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戦空の翼  作者: 芝生侍
第一章 時代の背景
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牛肉と白飯のハーモニー

村雨編

 午後11時過ぎに人工肉と白飯のハーモ二ーを楽しんでいる女性がいたら、それは私のことだと思って貰って結構である。

しかもその女性が男に負けないほど筋肉があり、短髪だとしたらほぼ私だと思う。

ここで私の自己紹介をしておこう。

私は新国際連合軍に所属する戦闘機パイロットの村雨という。

私の父も戦闘機パイロットだったが数年前に戦死した。

その背中を追って母親の反対を押し切り、軍に入隊した。

母を心配させるのは胸が痛かったが、父の事が私の心に今も引っ掛かっているからである。

こんなこと言っている間に、若い店員が牛丼の大盛りを運んできた。

大好物である。

私は店員に向かって静かに会釈をした。

店員は伝票を置いて去って行った。

私の趣味は食事と格闘技だ。

この職種に就くとファッションなどは気にする必要が無くなる。

女友達も限られてくる。

よって趣味はこのような物に落ち着く。

これはよくある話だ。

私には食事をする前にTシャツ1枚になるという掟がある。

今日もその掟を守り上着を脱ぐ。

するとこちらを見た店員が驚いた表情をした。

私のこの習慣を見る人は大抵驚く。

Tシャツの間から見える筋肉は、戦闘機に乗るために相当鍛え込んだ物だ。

Gに耐えながら操縦桿を操作するために必要だからだ。

この職業は実力主義であるから、腕の無い者は切り捨てられていく。

生き残るには男に負けない実力が必要なのだ。


「いただきます。」

 

 箸で人工肉と白飯を一気に持つ。

そしてそのままノンストップで口に運ぶ。

久しぶりの牛丼の味が口いっぱいに広がる。

普通の牛丼をこれ程美味そうに食べる奴は珍しいだろう。

その後私はかなりのスピードで牛丼を食べ終わった。

若い店員は私のその姿を見て多くのことを考えただろう。 

 

 東京の夏の夜は相変わらず暑い。

湿度が高いから簡易版のサウナの様だ。

普段は太平洋のど真ん中で生活している私にとっては、この湿気はなかなかハードだ。

今日から私は久しぶりの休暇を楽しむ。

休暇と言っても実家に帰って、母親に顔を見せる程度しかすることが無いが、この暢気な生活が一番休暇として良いのだと思う。

女友達が少ないからショッピングに行くこともない。

こんな世界によく飛び込んだ物だと今でも思う。

 

 私は電車に乗り実家を目指す。

電車の中は殆ど人がいなかった。

まあ当然かとも思う。

時刻は日付変更線に近づいていた。

私は眠らない東京の夜景を楽しみながら、母親の顔を思い浮かべた。

母親の手料理が食べられると思うと嬉しくなり、思わずニヤついてしまった。

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