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戦空の翼  作者: 芝生侍
第一章 時代の背景
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人と船

長門編

 その船はとても巨大で、ドッグにいる我々に向かって圧倒的な存在感を放っている。

数少ない空中戦艦の7番目に建設された夜真瀬やませである。

その名の通り、深夜の闇のようなカラーリングは見る者に恐怖を与え、その300mを超える巨体は戦場で敵の軍隊を圧倒するだろう。


 夜真瀬はほぼ1ヶ月前に本体が完成しており、残すはシステムの調整と周辺機器の調整である。

この艦の製作は私が所属する開発部が主となり、行っている。新国際連合軍はこの艦を戦場での空中拠点として使用する予定で、艦の格納庫からは様々な航空戦力や地上部隊を送ることが可能である。

防御面では衝撃のエネルギーを機械エネルギーに変換できる熱変換システムや、熱線によって敵の攻撃をシャットアウトする熱線壁が搭載されている。

他にも数多くの新しいシステムを搭載している空中戦艦は、まさに21世紀最強の戦術兵器と言えるだろう。


 私たちは今、この最強兵器の調整を行っている。

開発部の部長はもちろん霧島三佐である。

彼女の指示は的確で、現場はスムーズに仕事をこなしている。

ややこしい配線作業やシステム管理などは高学歴のエンジニア達が知恵を出し合って進めている。

対して私は艦橋内の椅子にクッションを付ける作業をしている。

クッションと言っても、今回空中戦艦用に新しく開発された特注品である。

衝撃をしかっり吸収する素材でできており、座り心地は最高である。

取り敢えず艦長席にクッションを付けてみた。

正しく付けられているかを判断するためだと心の中で、クッションに座る理由を作る。

そして艦橋に誰もいないのを確認してからゆっくりと艦長席に座ってみた。

クッションが体重を受けて静かに沈む。

体の形にぴったりとフィットする。

完璧だった。

このまま寝られそうだが、さすがに職務中なので体を起こす。

艦長席は艦橋内を一望できまさに自分が艦長になったような感覚である。

将来私がこの席に座ることはあるのだろうか。


 空中戦艦の開発は新国際連合軍が独自で行っている。

しかし技術的な問題にぶち当たり、一般企業に助けを求めたのは有名な話である。

現在地球上では紛争が止まない。

特に内陸各地での紛争が酷く、政府が援助を求める国や地域が数多く存在する。

そこで新国際連合軍は紛争を鎮めるべく、空中戦艦を各地に派遣する計画を立てているのである。

既に完成している夜桜よざくら青峰せいほう芝吹しばぶきなどは出撃しており、各地の紛争を鎮める拠点となっているらしい。

現在開発中の緒火鉈おびなた夜真瀬やませも出撃日時が決定している。

他にはヨーロッパ圏で藍風あいかぜ冬空ふゆぞらなどが活躍している。


 

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