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戦空の翼  作者: 芝生侍
第一章 時代の背景
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プロローグ 雲鯨

 コックピットから見える夕日はやけに鮮やかで、眼下には夕日色に染められた雲が広がっていた。

美しいと素直に思う。

俺の愛機のジェットエンジンは小さく細かく振動している。

その揺れに、俺の身体の重さを委ねていた。


 不意に俺の相棒から通信が入る。


「今夜こそは飲みに行くぞ。」


 そういえばここ最近酒をのんでいない。

二つ返事で飲みに行くことにした。

美味しい焼鳥屋が、我々の基地の近くにある。

そういえば明日は休暇であることを思い出した。

今夜は飲める。


 我々の今日の任務は、最新鋭の空中戦艦を護衛することだった。

空中戦艦の300m近くある船体はまだ雲の中から出て来ない。

雲の中で速度を上げる実験をしているようだ。

しかし、俺は実験自体に興味はない。

戦闘機に乗って、敵の懐にミサイルを撃ち込む方がよっぽど楽しいしスカッとする。

護衛なんかは俺には似合わないと思う。

今日の任務だって進んでやりたくなるような物ではない。

上司に言われて渋々参加したのである。

そんなことを考えいると、俺にとっては嬉しいニュースが入って来た。


「前方に敵戦闘機!!数は4!!」


 相棒の声が俺の耳に入った瞬間、俺は既に行動に移っていた。

相手は旧型の戦闘機で、いつでも攻撃出来る体勢だった。

俺は相棒に空中戦艦を任せる。

そして動きの遅い1機に狙いを定めた。

後は攻撃指令を待って、一撃で仕留めるだけだ。

しかし攻撃指令が下りない。

私は司令部に無線を入れる。


「攻撃まだか?」


 どうやら私の攻撃は要らなかったようだ。

空中戦艦の正面部分から対空ミサイルが4本発射され、旧型の戦闘機は呆気なく海に落ちて行った。

どうやらこの空中戦艦は俺より優秀なようだ。

俺は思わずやるなと思った。

この戦艦は俺の護衛など必要がないらしい。

なんて退屈な一日なんだ。

俺は思わず舌打ちをした。

戦艦の周りをあえてアクロバティックに飛び、護衛の位置に戻った。

改めてコックピットから周りを見てみると、その時にはもう藍色の闇が空を覆い出していた。

今夜は最初から強い酒を飲もうと思う。

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